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【読書メモ】今週読んだ2冊



『謎好き乙女と奪われた青春』瀬川 コウ


藤ヶ崎高校一の美少女、早伊原(さいばら)樹里は恋愛に興味がない。友情にも興味がない。もちろん、部活にも。彼女が愛してやまないこと、それは日常に潜む謎。衆目の中ですり替えられた花束。学年全員に突如送られた告発メール。教室の反対側からの不可能カンニング。やがて僕の過去が明らかになるとき、「事件」の様相は一変し……。彼女と「僕」が織りなす、切なくほろ苦い青春ミステリ。

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・青春に見捨てられてミステリに愛された、ミステリ嫌いの少年の青春。男女物。
・エキセントリックなヒロインに振り回されるヤレヤレ系主人公のコンビ構図。
・ミステリー的なものが嫌いなのに学校生活でミステリー的な出来事に定期的に巻き込まれる主人公、という設定が面白い。
・治安の悪い学校のヒリつく空気感の描写がヒリヒリする。
・ミステリなのに主人公が弱者属性(クラスの嫌われ者の陰気な生徒)なのは新しいと思った。ミステリの主人公って自信満々の探偵だったり刑事だったりと、強者のパターンが多いので。


『イクサガミ 地』今村 翔吾


東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。

夜半、剣客・愁二郎を待ち受けていたのは、十三年ぶりに顔を合わせる義弟・祇園三助。

東海道を舞台にした大金を巡る死闘「蠱毒」に、兄弟の宿命が絡み合う――。

文明開化の世、侍たちの『最後の戦い』を描く明治三部作。待望の第2巻!

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・1巻の感想はこちら
・東海道五十三次デスゲーム in 明治、第2巻。作者は歴史小説の人なので時代設定がカッチリしている。時代考証で資料にいっぱい当たらないといけないので、近代以前が舞台の小説を書くのは大変そうだな~と作家志望として思った。
・集められた参加者が明治維新で仕事にあぶれた侍や血に飢えた武士ばかりなので、デスゲームでよくある「嫌だ、殺し合いたくない!」というキャラは少数。主人公たちはその少数のひとつだが、大半はむしろノリノリで殺し合う。
・サブキャラのバックボーンも紙幅を割いてしっかりと作りこまれており、キャラ立ちがはっきりしている。ダメなデスゲーム物でよくある「よく分からんキャラがよく分からんまま死んでいく」ようなことはない。デスゲームを書く時は見習いたい。
・主人公たちが強キャラであり、同行者に守るべき弱キャラがいるんだけど、弱い女性と弱い男性が両方いるのがよかった。強キャラサイドにも女性がいるし、女性キャラを男性に守られるための要員にしないところが良い。



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