ナナつばき@百合と読書

百合(ガールズラブ)と読書で生きている社会人です。 オススメの百合作品の紹介と、週イチ…

ナナつばき@百合と読書

百合(ガールズラブ)と読書で生きている社会人です。 オススメの百合作品の紹介と、週イチの読書記録をメインに更新します。 読書ペースは1~2日に1冊、平均週4冊。乱読の鬼。ときどき自分でも百合小説を書きます。

マガジン

  • 読書メモまとめ

    これまでに読んだ本の感想です。サクッとしてるので、面白そうな本を気軽に探したい時にどうぞ。

  • 百合掌編まとめ

    サクッと読める、とある百合カップルの日常を描く短い小説です。 特に順番は無いので、どれから読み始めても大丈夫。

  • 百合(GL)作品紹介まとめ

    イチ推しの百合・ガールズラブがここにある!

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【読書メモ】2023年に読んだ128冊をザックリ紹介!

『羊と鋼の森』宮下 奈都 ・特に才能もないけれどピアノ調律師になった人の話。 ・「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつです」  「こつこつ、どうすればいいんでしょう。どうこつこつするのが正しいんでしょう」  すごく印象に残ったセリフ。「こつこつやれば夢は叶う」ってよく言うけれど、「こつこつやる方法」が分からない人は多い。 『すべて真夜中の恋人たち』川上 未映子 ・社会性のない30代女性の恋の話。 ・「大人の恋愛」と呼ぶには落ち着きのない、甘酸っぱい恋。 ・年上の年代

    • 【読書メモ】今週読んだ5冊

      『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』道尾 秀介 ・前半は過去話が多くてなかなか現在軸の話が進まないけど、その話自体が面白いからダレはしない。前半で前置きをしっかりして、後半で一気に盛り上げる構成となっている。というか後半はほぼジェットコースター並みの急降下と急上昇の連続。ハラハラするのが好きな人向け。 ・40代男性と10代少女が同居する展開があり、いかにもおっさんが見る夢という感じがする。 ・(男ふたりで晩飯作るなんて)「そんなオカマみたいなこ

      • 【読書メモ】今週読んだ5冊

        『成瀬は天下を取りにいく』宮島 未奈 ・2020年の夏から始まるポストコロナ作品。これからこういう設定の作品が増えるよ。 ・「ローカル局の夕方のワイドショーの中継で映る」という、一見しょうもないことを夏休みの目標に掲げる親友の成瀬。彼女の行動に付き合うことになる島崎はしかし、意外とノリノリなのであった。地元に百貨店を建てる、200歳まで生きるなどの目標も掲げる唯我独尊の女の子が振りまく「おかしみ」に元気づけられる一冊。 ・途中でヘテロフラグ的なものが立ったけど、最後には

        • 【読書メモ】今週読んだ5冊

          『夜明けのすべて』瀬尾 まいこ ・恋愛関係にならない男女の関係性が良い。異性愛などという狭量なものではなく、もっと尊いナニカというやつ。 ・PMSとパニック障害のキャラクターが主人公であり、具体的な症例と服用している薬の名前も書かれている。これはけっこう覚悟のいることですよ。症状はあくまで主人公たちのものであり、患者によって異なることをしっかり書いてはいるけれど。実在の病気や症候群を登場させる際は気を付けるべきことが多くある。それだけの覚悟を持って書かれた作品であると読

        • 固定された記事

        【読書メモ】2023年に読んだ128冊をザックリ紹介!

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        • 読書メモまとめ
          28本
        • 百合掌編まとめ
          6本
        • 百合(GL)作品紹介まとめ
          5本

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          【読書メモ】今週読んだ5冊

          『タイムマシンに乗れないぼくたち』寺地 はるな ・主人公の女性がぶつかりおじさんに遭遇して、会社でそのことについて話していたら男性の上司が「そいつも寂しいんだろう」と擁護するようなことを言うシーンがある。そのことに対して「自分のさびしさのために、他人に危害を加えてはならない」と主人公が独り言ちるシーンが印象的。 ・もし、あなたがさびしくて苦しいなら、ただ横に並んで同じ方角を向いてくれる。そういう一冊。 ・「女としての幸せ」を押しつけてくる家族、嫌なひそひそ話や目くばせをす

          【読書メモ】今週読んだ5冊

          【百合掌編】勝浦の風

           二時間ドラマのラストみたいな眺めだった。太平洋が視界いっぱいに広がり、はるか下からは岸壁に打ち付ける波の音が響く。ドラマと違うのは、真犯人が自白しているシリアスなシーンでこんな可愛らしい鐘が置いてあったら台無しだろう、ということ。  ここは『理想郷』と名の付く場所。かつて別荘地にする計画があったが、立ち消えて名前だけが残った。今では空と海と潮騒と、それから鐘だけが存在する静かな世界。避寒地とされたこともあり、陽射しは柔らかく私たちを歓迎してくれる。ただ、今は暖かい陽射しより

          【百合掌編】勝浦の風

          【読書メモ】今週読んだ3冊

          『アンデッドガール・マーダーファルス』3巻 青崎有吾 ・1巻は吸血鬼やフランケンシュタインの怪物がトリックに関わってくる特殊設定ミステリ。2巻は一転してトリックに怪物が関わらない王道ミステリ。では今回は?  結論を言うと、再び怪物の能力を活かしたトリックだった。 ・今までは事件の真相が明かされた後にバトル展開が始まる、ミステリパートとバトルパートの二部構成だった。けれど今回はバトルが始まっても事件の真相は明かされず、ミステリとバトルが並行して進む構成となっている。3巻に

          【読書メモ】今週読んだ3冊

          【読書メモ】今週読んだ6冊

          『86-エイティシックス-』2巻 3巻 安里 アサト ・少年少女が多脚戦車に乗って戦う男女物ラノベ。2巻と3巻で上・下となっていたのでまとめて読んだ。 ・1巻では捨て駒として母国に使いつぶされてきた主人公たち少年兵。2巻では母国よりマシな国に保護されて、ひとときの平和な日常を得る。だけど戦場で生まれ育った主人公たちは、戦うことでしか生きられない。だから一度は与えられた平和を捨てて再び戦場に戻る。という展開となる2冊。フィクションに対してノンフィクションの話を持ち出すのもナ

          【読書メモ】今週読んだ6冊

          【読書メモ】今週読んだ2冊

          ☆おすすめ!『同志少女よ、敵を撃て』逢坂 冬馬 ・本当の敵を見抜き、殺す話。 ・独ソ戦を舞台に女性狙撃手部隊の戦いを描く。本作の物語自体はフィクションだけど、女性兵士は当時のソ連に実際にいた。 ・Audibleで再読。朗読の演じ分けがめちゃくちゃ良い。 ・戦争では人間の尊厳が損なわれる。そのなかでも特に傷つけられるのが女性だ。戦時下の性的暴行は枚挙にいとまがない。本作の主人公の少女、セラフィマはその戦争のなかで「女性を守る」ために戦うことを決意する。 ・女性兵士は味方の

          【読書メモ】今週読んだ2冊

          【読書メモ】今週読んだ4冊

          『幼馴染みが絶対に負けないラブコメ』二丸 修一 ・タイトルの通り、幼馴染ヒロインが主人公の男を巡って「ポッと出の女」に勝つヘテロ(異性愛)ラノベ。 ・タイトル勝ち。このタイトルを考えた瞬間、「売れるっ!」ってほくそ笑んだでしょ。 ・主人公に何一つ取り柄がなくてもヒロインにモテるのが最近の異性愛ラノベのトレンドとお聞きしているけれど、本作の主人公は「元天才子役」という武器を持っている。それでも本作は売れているらしいので、「無条件モテモテが売れる」という風潮も一概には言えん

          【読書メモ】今週読んだ4冊

          【読書メモ】今週読んだ4冊

          ⭐︎おすすめ!『光のとこにいてね』一穂 ミチ ・小学生、高校生、そして大人。お互い男と結婚しても、それでもなお惹かれ合う二人の女性の物語。 ・途中で主人公たちが男と結婚するけど、それを凌ぐ女同士の関係性の強さを再確認できる作品です。 ・二人の関係性がその後どうなったかは読者の解釈に任せる系の終わり方だけど、これは女同士の関係性の大勝利ENDと言って差し支えない。 ・異性愛が女同士の関係性を前にして身を引く感じのお話。そういうの嫌いじゃないよ私。 ・女同士の関係性目的で読

          【読書メモ】今週読んだ4冊

          【読書感想】百合ファン兼 佐藤友哉ファンが『大火』を読んだ感想

          前置き  佐藤友哉がはじめて百合を書くと聞いた時、真っ先に浮かんだのは「え!?大丈夫!?」でした。  デビュー作『フリッカー式』で男性主人公による女性キャラへの一方的な暴力をノリッノリで書いていた、佐藤友哉だよ!?  『鏡姉妹の飛ぶ教室』でコテコテの「変態百合キャラ」をお出しした、あの佐藤友哉だよ!?  酔っ払いに車の運転を任せるような不安感が、正直なところありました。おいおい、この人に百合を書かせていいのか。  私がどれくらいのレベルで佐藤友哉ファンなのか、これまでに読

          【読書感想】百合ファン兼 佐藤友哉ファンが『大火』を読んだ感想

          【読書メモ】今週読んだ3冊【数字タイトル縛り】

          『777 トリプルセブン』伊坂 幸太郎 ・「死にたくても死ねないホテル」を舞台に繰り広げられる、殺し屋小説。ブラッド・ピット主演映画『ブレット・トレイン』の原作『マリアビートル』の実質続編でもある。 ・布使いの殺し屋女子コンビ、爆発物使いの「コーラ」と「ソーダ」、呪いめいた記憶力を持つ一般女性と、彼女を狙う6人の殺し屋集団。そして何も知らずに巻き込まれる世界一不運な殺し屋男性。非常識なまでに個性的な殺し屋たちが入り混じる死闘がはじまる。 ・物語の最初から最後までひとつのホ

          【読書メモ】今週読んだ3冊【数字タイトル縛り】

          【読書メモ】今週読んだ5冊

          『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘III」』香月 美夜 ・「小説家になろう」発の転生モノ、第3巻。平民は本なんて高価なものは到底読めない世界に無類の本好きの女子大生が転生して、なんとかして本を読もうと奮闘する話。 ・主人公の行動原理が「本が好きだから本を求める」とハッキリしているのが分かりやすくて読みやすい。行動原理がハッキリしていないと「こいつは結局なにをしたいの?」ってなることがよくあるので。 ・主人公は虚弱体質のうえに「身食

          【読書メモ】今週読んだ5冊

          【読書メモ】今週読んだ5冊

          『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』丸山正樹 ・耳が聴こえる人の発言を手話で翻訳して、耳が聴こえない人に伝える手話通訳士が主人公のサスペンス。物語の中で「手話」と「ろう者」が重要なキーワードになっているが、マイノリティ属性を物語のネタとして都合よく利用するような軽さは感じず、作者の誠実さを感じる取り上げ方だった。 ・日本の手話には「日本手話」と「日本語対応手話」の二種類があることを恥ずかしながら初めて知った。「ろう者」がなんか良くない言葉で「聴覚障害者」が無難みたいな風潮

          【読書メモ】今週読んだ5冊

          【百合掌編】江ノ島の夜明け前

           昼間は観光客でごった返す道に、今は私たちふたりだけ。人気のたこせんべいの店もしらす丼も今は眠りについていて、行燈の形をした街灯が誰もいない通りを柔らかく照らす。  ふたり、手を繋いで肩を並べて通りを歩く。昼間にこんなことをしたら絶対ジャマだろうなあ、と思いながら。なにせただでさえ混み合っている道を地元の車も通り抜ける、ちょっとしたカオスなのだ。あえて彼女との会話はない。ここにあるのはお土産屋さんだけではなく、地元の人の家も並ぶ生活空間だから。夜明け前の静謐な空気と、手のひら

          【百合掌編】江ノ島の夜明け前