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【読書メモ】今週読んだ5冊

ライトノベル強化週間。私が書きたい小説はどちらかというと純文学というよりラノベ的な作風になりそうなので、参考のためにガッツリ読むことにした。


『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』川原 礫


クリアするまで脱出不可能のデスバトルMMO『ソードアート・オンライン』に接続した主人公・キリト。最上階層を目指す≪攻略組≫の彼以外にも、様々な職業や考え方を持つプレイヤーがそこには存在していた。彼らはログアウト不可能という苛烈な状況下でも、生き生きと暮らし、喜び笑い、そして時には泣いて、ただ≪ゲーム≫を楽しんでいた。≪ビーストテイマー≫のシリカ、≪鍛冶屋≫の女店主・リズベット、謎の幼女・ユイ、そして黒い剣士が忘れることの出来ない少女・サチ──。ソロプレイヤー・キリトが彼女たちと交わした、四つのエピソードを、今紐解く。

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・なにかと風評被害を食らっているラノベ。主人公はイキリオタクではない。
・ヘテロ(異性愛)もの。1巻の感想はこちら
・今回は1巻の舞台となった「アインクラッド」というMMO世界で暮らす、主人公以外の人々の日常や戦いを描く短編集となっている。言わばキャラクターや設定の掘り下げ。物語の本筋とは直接関係ないっぽいけれど、私は飛ばして読むような無粋な真似はしません。
・1巻の感想では「強敵には苦戦するし俺TUEEEEじゃないかも」と書いたけど、やっぱり俺TUEEEEだわこれ。一回だけピンチに陥る状況があったけれど、基本的には圧倒的な力の差を見せつけて勝つやつだわ。
・バトル描写はあまり無かった。戦闘が始まったかと思ったら、数回切り結んだだけですぐに終わる感じ。バトル描写の参考のためにそういうシーンがありそうな作品を読んだので、ちょっと拍子抜けである。

『七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記』宇野 朴人


オリバーたちが入学する五年前。魔法使いの家に生まれながら落ちこぼれと蔑まれた少年・ゴッドフレイの人生は、ひとつの報せによって一変する。失敗だらけの受験行脚で得たひとつきりの合格通知。それは「魔法使いの地獄」と称される名門キンバリー魔法学校のものだった。
 
 初歩の呪文ひとつ満足にこなせない状態で入学したゴッドフレイ。当然のように授業では爪はじきにされ、他の生徒たちからは笑いものにされる日々が続く。が、唯一の癒しである友人カルロスの窮地に直面したその瞬間から、彼の状況は大きく変わり始める――。
 後に生徒最強と謳われ「煉獄」の異名で呼ばれる男。これは若き日の彼とその仲間たちがキンバリーで駆けずり回った灼熱の日々、青春の記録である――。

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・なぜか惰性で読んでいるラノベ。1巻でとんでもない主人公の目標が提示されたのでワクワクしながら追っていたんだけど、なかなか達成されないのでそろそろ飽きてきた次第。俗にいう「引っぱりすぎ」である。1巻で提示した目標は遅くとも6巻あたりで一度達成して、そこからさらに新しい目標が提示される、という構成のほうがよかったんじゃないかなーと、素人ながら思ったりします。
・今回は外伝。主人公が通う学園の言わば「生徒会長」な男性キャラを主人公に据えて、主人公が入学する前の出来事を描く前日譚となっている。ラノベで主人公以外の男性キャラにスポットが当たるのって珍しい気がする。
・「魔法剣」という戦闘手法が発達した世界が舞台。魔法と剣術を交えたバトルシーンがけっこう読み応えあり。
・ダンジョンの真上に建っている魔法学校が舞台のため、ダンジョン攻略系と学園モノを両立させるという実に欲張りな設定である。それでも突飛な組み合わせという印象はなく、自然にそうした設定を呑みこめる手法はすごい。

☆おすすめ!『明日の世界で星は煌めく』3巻 ツカサ


“終わった世界”で、最後に掴む未来はーー。
突如として現れた怪物“屍人”により、人々は襲われ、世界は終わったーー。
父親の遺した魔術を使って生き延びる少女・南戸由貴は、かつて別れた“唯一の”友人・榊帆乃夏と再会。行方不明になった帆乃夏の姉・春香探しを手伝うことに。
京都で出会った“鋼の魔女”九条夜未と、その姪でゴーレムを使役する羽衣の協力を得て、終末の真相に少しずつ近づいていく由貴たち。
さらなる情報を求め、由貴・帆乃夏・羽衣の3人は、日本魔術師連盟の本部があった東京へと向かうことにする。道中、廃旅館と温泉で英気を養いつつ、絆を確かめ合う。
まるで導かれるように辿り着いた渋谷のスクランブル交差点で、少女たちは思いがけない真相を知ると同時に、苦渋の選択を迫られることになるーー。
過去に一度、離れ離れになった由貴と帆乃夏が、“終わった世界”で最後に掴み取る未来は? ガールズサバイブストーリー、ここに完結!

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・ゾンビパニックを銃と魔法で生き抜く百合ラノベ、完結編。1巻の感想はこちら
・女子が女子を想う気持ちが余すことなく、ふんだんに描写されている。良い。すごくよい。普段は大人しい子が大好きな子のためなら激情に駆られて、敵に対して生まれて初めて殺意を向ける。これよ、これ。女子のために強くなれる女子はカッコいいのよ。
・Audible版での再読だけれど、朗読者さんの演技がものすごい。クライマックスに相応しい鬼気迫る演技で、再読なのに初めて読んだような物語世界に引き込まれる感覚がある。
・最終巻ということもあって百合シーンがパワーアップしている。二人の関係は「友人」と表現されるけれど、主人公がヒロインに向ける感情は明らかに友情以上のもの。ちなみに異性愛要素は主人公たちには無し。
・異性愛が滅ぼした世界を百合が救う話、という構図がすごくよい。なんか、すごくよい。
・終わった世界で未来に希望を賭ける百合、というテーマは同作者の『ノノノ・ワールドエンド』にも通じるものがある。よかったらこちらも読んでね。
・やや駆け足で終わった印象があるけれど、あとがきによると最初から全3巻の予定だったらしい。打ち切りではなく、もともとこういう構成ということなので少し安心した。
・絶望の中で光る百合、という作品にビビっとくる人は迷わず読もう。


『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』羊 太郎


……自習。清々しく大遅刻した非常勤講師グレン=レーダスは、そう黒板に書ききってから居眠りに入った。生徒たちはグレンの奇行に不審がるも、その原因は生徒たち自身の“当たり前”が生んだ、重大な誤解で――!?

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・男女物のラノベ。主人公の男がクソ不真面目でクソ情けなく、ぶっちゃけ欠点だらけなので多くの男性読者は親しみを覚えるんだと思う。主人公が完璧超人だと親近感が湧かないからね。だけど大事なシーンで決めるところはしっかりカッコよく決めるので、親しみと憧れを両立させている。
・作中における魔法の説明が設定の羅列ではなく、キャラ同士のやり取りでそれとなく描写されているのに感動してしまった。「小説家になろう」系に毒されているな、私。
・でも、主人公がセクハラするのはやっぱりちょっと無理。人格が終わっているのはそういうキャラ付けだからまだ良いとして、セクハラはちょっと違うでしょ。
・男性向けヘテロ作品名物「女子更衣室で同性の胸を揉む女性キャラ」のシーンがある。何気に実物を見るのは初めてかも。胸のサイズいじりと男性主人公のラッキースケベもある。役満なり。
・性暴力未遂シーンがあるので注意。

『陰の実力者になりたくて!』2巻 逢沢 大介


大人気・中二病×勘違い×異世界転生黙示録!!
聖地・リンドブルムで行われる「女神の試練」イベントへと訪れたシド。
一年に一度、「聖域」の扉が開かれるこの日に、突如現れたのは、かつて世界に混乱と破壊を招いたと言われる「災厄の魔女・アウロラ」だった。
「災厄の魔女」と「聖域」、そして「ディアボロス教団」と「シャドウガーデン」の思惑が錯綜する!

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・いわゆる「なろう系」の男女物ラノベ。WEB小説にありがちな設定の羅列や転生後の成長過程を長々と綴るやつは無いので、なろう系はなろう系なりに成熟しているのかなーと。
・前巻までのあらすじや、キャラの改めての紹介は無し。私みたいにあいだを開けて読む人もいるので、簡単でもいいのであらすじやキャラの説明をしてくれると嬉しいのぜ。
・胸のサイズいじりがあり。もはや驚かないのが悲しいね。
・「豊かな胸元が揺れた。」←いたってシリアスな戦闘シーンの真っ最中に挟まれた一文。これ、いる?
・基本は三人称視点の文章だけど、ときどき一人称視点のパートが挟まれる。そういう表現手法なんだろうけれど、視点が統一されていないのはどうしても気になってしまう。
・物語を引っ張る「謎」が弱いように感じる。一応ディアボロス教団という謎の組織が暗躍しているのだけれど、その正体や目的を知りたくなるような魅力が無い。登場する教団のメンバーが揃いも揃って小物ということもあり。いまのところ悪役に魅力が無いのも残念。


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