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震えるのは喉と心だけで良いのに

久々に実家にある電子ピアノを弾くと、ギリギリ両手で弾けるくらいのレベルは保てていた。私は4歳くらいから12歳までピアノを習っていました。おばあちゃんちの近所の個人教室に毎週水曜だったか、ピアノを弾く稽古をしに出かけていました。なかなかうまく弾けずにへこたれたりふてくされたりすることもありましたが、良い経験だったなと思います。

ピアノが弾けるということを人に言うと、ちょっと弾いているところを見てみたいと言われるけれど、私はそれに対し苦笑いしながら断るしかない。
あれだけ習っていたにも関わらず、人前で楽器を演奏するのがものすごく苦手なのだ。習っている時は先生と1対1だったので、先生にしか聞かれないのが日常になっていました。小学校の音楽会などは親とか観客がいるけれど、大勢いる同級生の中のひとりだし、だいたい数人は同じ楽器を演奏しているのでそこまで緊張していなかったのでしょう。

演奏が苦手なのは中学校から発覚。リコーダーのテストが嫌いでした。手が小さいせいで1番下の穴に指が届かず、低いドの音がうまく吹けない。そして、クラスメイト達の前で課題曲をひとりで吹かなければならない。緊張で足が震えてしまう。
夏休みの宿題で、何か楽器演奏を1曲仕上げるというのが3年間ありました。ピアノならいけるかと猛練習したのに、本番では今度は腕が震えてしまいました。結局うまく弾くことはできなかった。
高校ではギターを弾けるようになりたいがために美術、音楽、書道の中から音楽を選択しました。しかしやっぱり手が小さいのでうまく弦を抑えきれない。そしてテストはやはりひとり。グループに分かれてバンドを組んでの発表もあったけれど、それでも緊張してしまって足を引っ張ってしまったので、楽器に関する記憶にあまり良いものがありません。

こんな私ですが、歌を歌うのは平気でした。小学校で合唱部に入り歌うことが好きになったり、夏に独唱の練習をしたりもしていたからか。歌の方がテストでものびのびと歌えるし、点数も高かったです。今でもたまに大学の友人と大学の隅っことかでアカペラで歌ってみる。何かを歌っている時は、緊張せずむしろ心から楽しめている自分がいる。

本当は楽器を人と楽しんでみたかった。ピアノは実家に帰った時しか弾かないし、ギターはホコリを被ったケースの中で眠り続けている。大学に入った時、思い切ってジャズ研に入ろうかとも考えました。しかしやっぱり怖気づいてしまって今の部活に入部しました。いい先輩、同級生、後輩に恵まれたこの部活に後悔はないけれど、もし違う道を選んでいたらと考えてしまうことはある。
もしまた機会があるのなら、もう一度ピアノとギターに挑戦してみたい。震えるのは喉と心だけで十分だ。

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