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ブルーでもイエローでも美しくもなく、モンキー

家の近所の百均ショップにとても好みの女性店員がいる。

これをもし、男が書いたら「他人の女をジロジロ見て観察しあまつさえ好みとSNSに書くのはハラスメントに値する」とかなんとか言われるだろう。
私はこういう時、女でよかったと思う。そうやって思うことが往々にしてある。
そもそもなんで女による女への性犯罪とかはないのだろう。同性と異性ってどこからどんな風に違うのだろう?どこからが許されて、どこからが許されない範囲なのか分からない私は、世間がモラハラとかフェミニストがなんたらとか性差別とかを議論している中でどこか蚊帳の外にいるような気持ちをずっと感じている。
もしかしたら私は性別というものを持っていないのだろうか?そう疑問に思うけど、自分は女性であることを自認しているから性自認もきちんとあって、だけれど好きになった女性が今まで生きてきたなかで何人かいた。そして心の中では、男性特有の身体つきとか性格とか思考とかより女性のそれのほうが好ましいと思っている自分がいる。そういう自分が一体生物学上、学術上どのような位置に立っている人間なのか分からない。今はやりのブルべとかイエベとかいうパーソナルカラー診断みたいに、もっとこう、気軽にそういうものを判断して私の存在を確かなものにしてくれるものとかはないのだろうか。そして私は世間的にアウトなのかぎりぎりセーフなのか、それだけでもぜひ教えてもらいたい。けっこうこれでも罪の意識を感じたりしてしまうことがあるから、できれば事実だけ淡々と伝えてもらって早く楽になりたい。ブルーでもイエローでも美しくもなく、モンキーでいいからさ。

そして冒頭の一文に戻る。
家の近所のダイソーにとても好みの女性店員がいる。彼女はタイプからいうとボーイッシュで、ボブより少し短い髪型だがうなじを刈り上げている。目はすっきりとした一重。耳にピアスを付けている。彼女が淡々とさばくレジの前に行くと、少しどぎまぎしてしまう。声もすっきりしていてよく通る。私は彼女と接する客として、首尾一貫、当たりさわりのない女性客としての態度を貫いている。当たり前だけれどそれ以外のことが認められているわけでもないし、それ以上の干渉はきっと許されない。けれど私は彼女のことをいろいろと考えてしまう。今までどんな風に生きてきたのか。どんな恋人がいたのか。どんな音楽が好きなのか。恋ではない。執着しようとも思わない。ただ、百均ショップの店員と客という関係をずっと続けて、彼女がレジに立っていた時には「ラッキー」とだけ思う。ただそれだけだ。

私は男性的な女性が好きなのか?私の心がそれを求めているのか?かと思えば、すごく女性らしい女性をかわいいなぁと本気で思ったりもする。自分の服装やメイクなども、特別マニッシュだったりだとかガーリッシュだったりすることはない。最近の服のマイブームはナチュラル北欧系だ。

何かに抑圧されているからそういう偏ったスタイルにしない、というわけでもない。
とにかく私は「~なわけじゃない」「~ということでもない」とかそればっかりなのだ。
自分の性別と心の性、それと自分が好きになる人の属性についてはいまだに全くこれといった答えが見つかっていない。こういう人って、他にもいるのだろうか。そういうコミュニティを自分の中に持っていないから気になるが、別段コミュニティに属したいという気持ちでもない。「あなたはこうです」「こうするべきだ」とかいう人間的な意見やアドバイスをもらいたいわけでもない。
少しだけ、自分の存在に難しい名前を付けられるのが怖いのかもしれない。だから自分は「愛の定義が広い人間」だと思うようにしている。
そうやって言うとまるで聖母みたいに粛々としているが、たまにすごく暴力的な性の欲求に苛まれることがある。すごく仲の良い女性の友人と、性的関係を持つようになったらどうなるんだろうとか、あ、この人好きだな、こういう人とホテルに入ったらどうなるんだろうとか、そういうことを考える思考回路で街中だったり電車で何食わぬ顔をして過ごしている自分が怖くなる。私が男性だったならばこんなこと、本当に取り返しのつかないことになるだろう。
女性だから許されるのか?そんなわけはない。でも今まで、「女性が乱暴に女性によってホテルに連れ込まれた事件」など見たことがない。立派な犯罪なのは分かっているけれど、男が女にそれをするのと、女が女にそれをすることの違いは一体何なのか?たとえば「女性専用車両」で「女性による女性への痴漢」が起きたら?

私は理性と恐怖で自分自身をぜんぶ、ぜんぶちゃんと、収めている。
「男」であること、「女」であること、どちらでもないこと、それを自分の中で定義しないことが、色々な行為のストッパーになっている。
「どちらでもなく」て、「女」が好きなら、今頃何も迷わずに女性と付き合っているだろうと思う。

定義されるのが怖いんだ。
本当は、百均のあの人のことを少し好きになりかけていることなんて気づきたくなかった。
相手も迷惑だろうし。男じゃないけど。ほら、男じゃないけど、ってまた。
これは一体何なのだろう?このもやもやする気持ちは。

ぜんぜんわからない。


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