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映画『ムーンライト』

2017年のアメリカ映画。

アカデミー賞を受賞して話題に上ったこともあるようだが、実際にこの映画を観たら納得できる。
ただの『LBGT』を描いただけでもないし、ただの『ブラックムービー』ではない。それぞれの心の中にある弱い部分、曖昧な部分に響くようなヒューマンドラマである。

恐らく90年代のアメリカ・マイアミの低所得者住宅に薬物中毒の母親と暮らす少年・シャイロン。子供の頃から弱弱しいと言われ虐められるが、ドラッグディーラーのフアンと出会い父親のような愛情を注がれたり、幼馴染みの同級生に恋心を抱いたり…。
自己の感覚に正直に飾らずに生きることで、苦難に襲われ、周囲との隔たりに苦悩し、自分への諦めに似たような心理状態になってしまう。
高校でのトラブルによりシャイロンの人生は違う方向へ進んでしまう。

この映画では『黒人』、『貧困』、『ドラッグ』、『いじめ』、『差別』等の様々な問題が織り込まれているが、実際、この全てが起こりうる現実というのは身近にも存在する。この問題を誇張することなく自然に描かれている事で彼の置かれている世界を感じ取れる。

この映画で感じたのは「人は変われるけれども、本質は変わらない」ということ。
どんなに強く肉体と環境を武装しても、心の中にある繊細な部分は変わらない成年期のシャイロンの姿が物語っている。
もしかしたら、大半の人達は自信を偽って振舞い、偽りの姿が自身の本来の姿だと思い込んでいるのかもしれない。だからこそ、忘れ去られた本心との葛藤に苦しむのだろう。

たくさんの思いがこみ上げてくる映画なので、感じ取ったことの一部分しか感想を書けていないけれども、映画レビューとしてはこのくらいで終了。
間違いなく心に響くので多くの人に観て欲しいお勧めの映画。

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