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映画『八つ』

2016年オーストラリア映画。
Amazonプライム・ビデオをサーフィン中に目に留まったので見る事にした。
表題の画像から私は勝手に『リング』のようなホラー映画を想像していたが、実際に観たら別物だった。

強迫性障害を患った女性の起床が延々と綴られているまぎれもないドキュメンタリーだった。
ただひたすら一人の女性が起床し、シャワーを浴びて、掃除して、身支度をし、出かけるまでの様子を80分間黙々と描いている。
確かに普通の人だと30分もあれば終わってしまうような事を、異常なまでの強迫観念により肌が荒れるまでシャワーを浴びて身体を洗い続けたり、同じ行動を8回繰り返さないといけなかったりする。
その朝の時間に別居中の夫と娘、また宅配業者が訪れたりするも、彼女が自身に引け目を感じている素振りでドアを開ける事が出来ない様子が描写されている。

兎に角、淡々と強迫性障害の様子を描いている。逆にその無機的な雰囲気が病いに苦しんでいる女性の苦悩を映し出している。
この日常はほんの一部の切り取りで、毎日毎日この行動を繰り返していると想像すると苦しくもある。
欲を言えば、何故、彼女が強迫性障害を発病し、ここまで悪化したのか知りたいと思った。そうなると逆に尾鰭が付いて映画の意味も変わってしまうだろう。

強迫性障害を現実的に理解するには良い映画。
インテリアの雰囲気もオーストラリアの日常が見えてとても良い。映像もシンプルで洗練されたリアリティが有る。
ただ、本当にある女性が身支度をしているだけなので、とてもシュール。

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