面接で上司が不二家すぎて、もうダメだった話 #仕事の思い出
派遣は、本当は派遣法上「面接はしてはいけない」ということになっているんだけど「顔合わせ」「職場見学会」と名前を変えて堂々と行っている。というわけで、タイトルには分かりやすいように「面接」と書いたけど、正しくは「顔合わせ」だ。
あるシステム開発会社に行った時のこと。
人事部の人と、直属の上司にあたる30代後半の男性と
派遣会社の営業担当と私の4人で「顔合わせ」をした。
人事部の方は、普通の地味なサラリーマンだったのだが、直属の上司の顔が、どこからどう見ても不二家のマスコットキャラクター「ポコちゃん」だった。
大きい目が、つぶらな瞳が、ポコちゃんそのまんまなのである。くるっとしたお目々。光の入り方まで、真のポコちゃんなのである。
奇跡なレベルの"ポコちゃんおじさん"降臨。
私は元々、笑いの沸点が低すぎるうえに、ツボにハマると止められない性質。
上司がポコちゃんに似ていると認識するやいなや、ブホッと、すでにツボにストレートに入ってしまった。
自分の経歴を話す前に、もう吹き出しそうになっていた。
(ぐ、ぐふぉおっ!
こ、こ、堪えるんだ。ここは!
耐え抜けーーー!)
必死にこらえる。
口を開こうにも、目の前には真面目な顔をしたスーツのポコちゃん。
悪いけど、笑いの波が押し寄せてくるのが止められない。
ぬおお、とにかく、耐えろ自分っ!!!
「落ち着け!落ち着くんだ」と、自分の仕事の経歴を読み上げながら考えていたが、地獄の苦しみであった。
頬がブルブル震えそうになるのを、必死で止めた。
笑いを止めるのは、こんなに苦しいものなのか!
もっと笑いの沸点が高ければ!くそぉ!
笑いの沸点のことで、自分を責めるなんて初めてだ。
まさか不二家が、ポコちゃんというキャラクターを生み出した時に、いつかどこかで、誰かが面接で苦しみまくるなんて思ってもいなかったろう。
30分で終わる顔合わせだが、考えまいとしても「ミルキーはママの味」と、CMまで頭の中で再生し始める始末。
「この顔合わせが万が一、就業に結びついても、あの上司と毎日顔を合わせるのは耐えられない」
ポコちゃん似だから耐えられないなんて、人生で初めてである。人間には、こんな苦しみもあるのかと思った。
あの男性と一緒に働いてる人は、彼が「ポコちゃんに似てる」と思わないのか。
「ポコちゃんに似てる」は悪口なのか違うのか、褒め言葉ではなさそうだけど、どうなんだ?
なんて微妙なラインなんだ。
面接中に必死で吹き出しそうになるのを堪えたのが不自然すぎたからか、翌日、残念な結果になったとお知らせが来た。
「残念で良かった〜」と、ホッとした。
残念で良かったというのも、珍しいもんだ。
ローソンのホットミルクにシロップを入れて、心も体も落ち着きたいな。
はっ!それってミルキーの味!?
どこまでも、ミルキーが追いかけてくるっ!
不二家も、ポコちゃんというキャラクターのせいで、こんなに振り回されるOLが、後の世に出現するとは思わなかっだろう。
それにしても、ポコちゃんは、かわいすぎる。
ケンタッキーフライドチキンの、カーネル・サンダースなら、笑いのツボには嵌まらなかったかな?
いや、やっぱり、笑っちゃうのかな?
上司がカーネルおじさん似で「いい人」なら、やたらとフライドチキン食べたくなりそうだし、「嫌なやつ」なら、ケンタッキーを避ける人生になっちゃうのか?
いろいろなケースを想定したが、あれから、何かのキャラクターに似た上司に遭遇したことはない。
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