暗黒労働おとぎ話 『のっぺらぼう』(下)
立て続けに恐ろしい"のっぺらぼう"(のっぺりした顔の、パワハラ坊主)に遭遇してしまい、心の病にかかってしまった与太郎は、すっかり引きこもりになってしまいました。
そんな与太郎を母は心配し、ひと月の後、無理やり病院に連れていきました。
与太郎は、顔をうつむけながら、ボソボソと自分の見てきた恐怖体験を精神科医に話しました。
与太郎が話を終えると、精神科医は
「 あ
そ 」
と二言だけ言って、様々な種類の抗精神薬の処方箋を与太郎にグッと突き出しました。
この感じは・・・。
イヤな感じがした与太郎が、恐る恐る顔をあげると・・・・
この精神科医の顔も、無表情の、の~っぺりとした顔だったのでした。
背筋がゾ~っとした与太郎は、病院にすら行けなくなりました。
すっかり引きこもりになってしまった与太郎を、母は毎日心配しておりました。
日に日に痩せ細る母の姿を見て、与太郎は悲しくなり、
なんとかしなくてはいけないと思い立ちました。
そこで、心を強くするために、与太郎は薬に頼らず、仏教の修業をすることにしました。
一念発起して、宿坊の修行合宿を申し込んだ与太郎は最初の修業で、小さな手応えを感じました。
そして、滝行、阿字観瞑想、写経と小さな修業をボチボチと続けていくうちに、だんだんと与太郎は心の健康をとり戻していきました。
仏道に希望を見出した与太郎は、苦しみや忍耐の多い汚れきった娑婆と決別するために、とうとう出家しました。
そして、四種三昧(ししゅざんまい)業を終えた与太郎は、のちに千日回峰行(※)に挑戦し、ついには”大阿闍梨(だいあじゃり)”と呼ばれる高僧になられたそうです。
おしまい
※ 修行についての
しかし、仏教も侮ること勿れ。
現世に、救いはあるのか?
もう『成仏させてよ!』?
不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。