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【休職からの復職体験談】(3)ステップ3.休職直後からの療養

ステップ3.では、休職を始めてから、自宅で体調よく生活できるようになるまでを解説します。療養経験から得た学びを書きました。

<休職前から復職後までの6ステップ>
ステップ1.事前の備え
ステップ2.不調になってから休職開始まで
ステップ3.休職直後からの療養
ステップ4.復職に向けたリハビリ
ステップ5.復職の手続き(復職決定まで)
ステップ6.復職直前から復職後

仕事から離れて、頭と身体を休ませる大事な時期です。休み始めると今までの疲れがどっと出るかもしれません。かかる日数に個人差がありますが、頭と身体を休ませていると体調が底打ちする日が来て、だんだん回復していきます。

目次から気になる所を読んでいただき、療養のヒントを見つけてみてください。自分に合うやり方で療養すると、確実に回復して復職に進める可能性が高まります。 

※記事内の情報は、自己責任で利用をお願いします。

ステップ3-1.安心して休職するための手続き

休職中の生活で、お金は重要です。しかし休職直後は、もらえる金のことにまで気が回らないと思います。必要に応じて、家族や医療機関などから手助けを得るようにしましょう。

もらうお金の申請(申請しないともらえない。問い合わせ窓口は待っている)

●もらえるお金を あきらめない
私がいろいろ調べて感じたのは、意外に「使える制度がある」ことです。インターネットやSNS、動画共有サービス(YouTubeなど)で検索することをオススメします。

支援制度でもらえる金は、漏れなくもらっておきましょう。治療や休職中の生活は、意外にお金がかかります。

●申請しないと何ももらえない(申請主義)
健康保険の傷病手当金などは、自分から申請しないと何ももらえません。審査があるので、申請すると必ず支給されるわけではありませんが、申請しないと可能性は0%です。

困った人を助けるのが支援制度です。病気で困ってるのだから、使う権利があります。遠慮はいりません。

【注意】お金をもらえる制度は、使える条件や注意事項があります。十分確認した上で申請してください。

●窓口は「待っている」
・自分から相談しないと、困りごとを聞いてくれない
・情報を持っている所に問い合わせないと、情報は得られない
と、個人的には感じています。

どこに問い合わせたらよいかわからない場合、私は「こういうことで困っている。どこに聞いたらよいか、適当な相談窓口を教えてほしい」と聞きました。

「何かもらえるかも」「ダメ元で問い合わせよう」と考えて相談窓口をあたってみると、使える制度が見つかるかもしれません。

●こちらから問い合わせないと、情報は得られない
会社が関係する手続きは、人事担当者に問い合わせましょう。民間保険に入っている場合、保険会社から情報を得てください。

●家族などに頼る
自分の頭や身体が思うように動かない時、申請や問合せで頼りになるのは家族です。生活に関わることなので、家族にも協力してもらいましょう。

家族に頼れない方は、役所の窓口や、会社の人事担当者などに相談してみるとよいです。

●もらえる可能性があるお金を確認する
休職中にもらえるのは下記が考えられます。(他にあるかもしれません。いろいろ調べてみることをオススメします)
・健康保険組合からもらえる傷病手当金
・会社が契約している団体保険からもらえるお金
・本人が個人で契約している民間保険からもらえるお金

●傷病手当金(健康保険)
傷病手当金は、2022(令和4)年1月1日から、(もらい始めて1年6ヶ月で終わりから、)1年6ヶ月分もらえるように変わりました(途中で働いたら、その分後ろに延びるように改正)。
参考:協会けんぽ/病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

●過去に傷病手当金をもらっていたら、同一傷病か違う傷病かを確認
違う傷病として扱われると、受給期間(いつまでもらえるか)が別カウントになります。判断に迷う場合、健康保険組合に問い合わせることをオススメします。

私が健康保険組合に相談したときは、傷病名が違っても「同じ」と判断する場合があるとのことで、「迷う場合は申請を出してほしい」と言われました。

●手続きの流れ
傷病手当金の手続きは通常、本人→主治医→本人→会社→健康保険組合→本人への通知→本人への振込の順で進みます。

●処理が止まっていないか、確認が必要なことも
待っていても通知がこないときは、
(1)会社の担当部署
(2)健康保険組合
の順に問い合わせてみてください。もし処理が止まっていたら、早く振り込まれるよう念押しすることをオススメします。

健康保険組合から「傷病手当金 支給決定通知」を受け取ったら、
・受給開始日
・(連続して休んだ場合の)受給期間満了日
を確認してください。


会社支給の機器を持っている場合は返却を検討する

会社支給の機器を自宅で使っている場合、会社の指示に従ってください。

とくに休養を優先する時期は、会社支給のパソコン、スマホなどの使用はオススメしません。使うと調子が悪くなっていたら、使わないほうがよいと思います。医師の助言に従いましょう。

休職が長期に渡りそうなら、会社にいったん返却することを検討してください。上司に相談しましょう。会社の機器には費用が掛かっていますし、OSやアプリのアップデート作業も必要になります。

返却時は「社内ルールなどを知りたい時は、速やかに情報を得られること」と、上司や人事担当者にお願いしておくとよいです。


ステップ3-2.頭と身体を休ませる

とくに休職直後は、頭と身体を休ませることを優先しましょう。休職直後によく休んでおくと、後の回復・復職が楽になります。(私の失敗経験から自信をもって言えます)

主治医の指示に従い、治療と休養に専念する

●医師から安静するよう言われたら「安静に」

発症してもすぐに安静な生活に切り替えられれば重症化せずに治るケースもあります
しかし多くの人はムリして仕事を続け重症化してしまうのです

「ある日突然、慢性疲労症候群になりました」ゆらり (著)(合同出版) p.152より

【私の経験】起き上がれる=運動してよい、ではない
休職直後から、日中も起き上がれず寝たままでした。2週間くらい経って起き上がれるようになった頃から、復職に向けて昼間に散歩などの運動をしました。ある日突然寝込み、なかなか調子が戻らず。休職が長引きました。

●「安静にしろ」と言われても、復職できるか心配
ごもっともです。私も心配で眠れなかった経験があります。「焦らないで」と諭されると余計に落ち込みました。

休職できる期間、会社から言われていること、復職や生活に困っていることなどを主治医に伝えて、具体的に何をやればよいか相談してみましょう。

【私の経験】「不安」と言うと「気持ちの問題」扱い診察室で「このままでは復職できるかどうか不安」と言うと、「大丈夫」「きっと回復するから」と励ましの言葉。しかし、回復の見通しや生活上の注意を診察時間に聞き出せなかったので、余計に不安になりました。

気持ちが楽になるだけでは、問題は解決しません。

【反省】励ましがほしいときを除いて、「不安」の言葉を使わないほうがよいのかもしれません。具体的に聞きたかったら、具体的に質問する必要があります。

●夜に眠る生活(昼間は体調にまかせる)
とくに休職直後は、寝たいだけ寝ればよいと思います。頭と身体を休めるのが、この時期に重要な仕事です。もちろん、主治医の指示を優先してください。

●朝の起床リズムは?
主治医の指示に従ってください。2つの考えがあります。
・とにかく寝たいだけ寝て休める
・起床リズムを保ち続ける

【私の経験】
体内時計を整えるために朝同じ時刻に起きるほうがよい理由で、朝はいったん起きるよう主治医から指導されました。身体がツラいときは、朝は起きて朝食をとったらすぐ寝ました。

●朝の散歩は?朝日を浴びるほうがよい?
主治医にご相談ください。本人の病気や体調の経過で変わるはずです。精神疾患では朝日を浴びることをオススメする情報を目にします。

個人的には、ME/CFSやコロナ後遺症の場合、朝の散歩はだいぶ回復してから始める方がよいと考えています。私の場合、外に出て朝日を浴びるだけでも疲れ切って寝込んだことがありました。やることは少しずつ増やすことをオススメします。


生活記録のすすめ(無理しない程度に)

「回復して復職する」目標に向かうために、「自分の現実を直視する」必要があります。現在地と目標の差、つまり問題がはっきり分からないと対策がうまくいきません。

自分の健康状態を直視するために、生活記録をつけることを強くオススメします。生活記録のフォーマットは、書籍やインターネット上にあるので、参考にするとよいでしょう。

<記録したい項目>
・睡眠・食事の時間
・症状や体調の変化
・頓服薬の服用
・外出やイベント

やり方は何でもよく、簡単でかまいません。続けることが大事です。後から事実を確認できれば十分。生活記録から、体調を崩す兆候や、回復させる対処法を導けるとベストです。

【注意】症状が重い時、細かい記録はオススメしません。記録することが重労働な時期なので、体調を崩す原因になります。ある程度回復してきたら、思い出して書き出してみてもよいでしょう。


待つことに不安を感じるとき

●回復をじっと待てと言われるが…
回復を待つ間、じたばたせずにじっと待つことが大切と言われたことがあります。しかし、無策で待つのではなく、やれることをやっていくことが必要と思います。
例えば自分のできる範囲で、
・自分に合う治療をみつける
・自分が必要な助けを求め続ける
・セルフケア

【!】コロナ後遺症のセルフケアはオススメです。
寝たきりレベルから復職後まで使えます。検索エンジンやTwitter、YouTubeで「コロナ後遺症 セルフケア」などのキーワードで検索すると、いろんなセルフケアが見つかります。いろいろ試してください。(私がやっているのは、呼吸リハビリ、ゆるめる瞑想、鼻うがい、つまようじ鍼などです)

●いつ回復するかわからない…
主治医に、(仮でもいいから)回復の見通しを聞きましょう。「焦らないで」と言われて、主治医から見通しを聞けない場合もあります。しかし、会社の休職期間や上司に言われたことなどを話して、見通しが必要な理由を訴えるとよいと思います。

【私の経験】
主治医に発言の責任が減るように誘導(*)すると、回復の見通しや、オススメのリハビリを聞きやすかったです。

(*)「予測が難しいのはわかっていますが、だいたいどれくらいですか」、「実際に判断してやるのは私(患者)の自己責任です」などのクッション言葉を入れました。

復帰できそうな時期、回復しそうな時期について、自分の予想が外れる場合があります。主治医の意見を聞いておきましょう。

さらに、「具体的に何をやればよいか」を主治医に聞いておくと、療養期間を有効に使えます。


主治医に「復職したい」と言っておく

休職中に復職を望んでいる場合(つまり、辞めたくない場合)、主治医に「復職したい」意思を伝えておくべきです。休職期間中に復職することを目指して、主治医に治療を進めるようお願いしてみましょう。

●休職期間の上限ギリギリで復職しようとしない
休職できる月数が長いと、主治医が「ひたすら待ち」の姿勢に入ったと思うことがあります。「持ち時間をギリギリまで使ってしまう」パーキンソンの法則が当てはまるケースです。

うまくやれば早く復職できるのに、不必要に上限ギリギリまで休職することがないように注意しましょう。

「仕事の量は、完成のために利用可能な時間をすべて満たすまで膨張する」という有名な法則がある。1955年にシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」だ。これはただのジョークではないし、仕事に限った話でもない。

「限りある時間の使い方」オリバー・バーグマン (著)(かんき出版)p.54より引用

復職手続きの期間や、復職後の再発も想定して、余裕をもって復職できるように主治医に相談することをオススメします。


ステップ3-3.会社への定期報告

「月に1回」「診断書の提出時」などのタイミングで、会社に報告を求められる場合があります。会社の指示に従って報告しましょう。

会社に復職の意思表示をしておく

復職を望んでいる場合(つまり、辞めたくない場合)、上司や人事に「(退職せずに)復職したい」意思を伝えておくべきです。

●傷つくことを言われるのは当たり前。勢いで退職しない
会社の人や産業医が、厳しい言葉を本人に言ってくることがあります(私も経験あり)。言われて腹が立つこともありますが、ぐっとこらえてください。勢いのみで退職しないことをオススメします。

疑問点は遠慮せずに聞く

会社ルールの疑問点などがあれば、遠慮せずに問い合わせましょう。自分から伝えたいことがあれば、報告しておくべきです。

とくに会社への定期報告指示がない場合は、患者本人から動きましょう。

予定より復職が早まりそうな場合は、早めに伝える

回復が予想より早くなったケースです。喜ばしいことなのですが、復職可能の診断書をいきなり出すと、会社側はビックリします。復職手続きが早まりそうなことを早めに伝えましょう。

例えば、診断書は「3ヵ月の見込」で出していたのに、実際は1ヶ月で復職できそうな場合、主治医の意見を十分に聞いた上で、会社の上司か人事担当者に伝え、復職を相談してください。遠慮は不要です。


ステップ3-4.だんだん回復してくる。無理をしない

頭と身体を休ませることに専念していると、悪くなる一方だった体調が底打ちする日がきます。寝たきり同様に動かなかった「頭と身体」が、ほんの少しずつ動かせるようになります。(私の経験だけでなく、休職・復職に関する本にも書かれている内容です)

ただし、体調の底打ちまでに何日かかるかは個人差が大きいです。何ヵ月もかかる場合もあります。体調が悪いままの状態が続いても、必要以上に落ち込まないようにお願いします。

動けるようになってきたら、動きすぎない

動けるようになったら、嬉しくて動きたくなります。しかし、ここで活動量を大きく増やしたり、休憩を挟まなかったりすると、疲れがどっと出ます。ペーシング(活動量の調整)が大切です。

主治医にも助言をもらい、自分に合わせて活動しましょう。

仕事を休める期間にもよりますが、活動量は「1週単位」で徐々に上げていくとよいです(私の経験則)。


活動の調整が大事(ペーシング)

●ペーシングとは…
(私の理解では、)活動できる量やペースの限界を知り、限界を絶対超えないように活動を抑え、活動できる量やペースを慎重に上げていくことです。休憩の入れ方も含みます。

ペースの調整(ペーシング)
エネルギーの許容量を超えないようにするためには、患者によっては活動量を減らす必要があるが、 慎重にかつ選択的に活動量を増やす必要がある患者もいる。

国際ME/CFS学会編「臨床医のための手引書 2014年版」p.24より引用
(AMED)「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に対する診療・研究ネットワークの構築(ME/CFS)」→「医療関係者・研究者の方へ」にあります)

寝たきりの時間を減らすためには、こまめに休憩をとること、つねに余力を残して活動すること、そして、睡眠で回復できる程度の活動量にとどめることです。これらを心がけて生活しているうちに、今の自分に耐えられる活動量や活動のペースが少しずつわかってきて、慣れてもくるでしょう。

「奇跡を、生きている」横山 小寿々 (著)(青春出版社)の解説p.187より引用

病気や人によって、最適なペーシング(活動ペースの調整)が異なります。精神疾患では、患者が思っているより少し強めのリハビリで回復を目指すように感じます(個人的な感想)。主治医にも相談の上、悪化しないように活動量を上げていきましょう。

【注意】他の病気の経験者などから、強すぎるリハビリを勧められることがあります。リハビリについては、決して助言通りにせず、自分に合わせて判断してください。

【私の経験】
手術後から運動療法を指示された患者さんからME/CFSの私に「とにかく身体を動かせ」的な運動療法の助言をもらいました。もちろんスルーしています。

●「自分を観察する」「わずかな変化に気づく」
ペーシングに大切な心がけは下記の2点です。
・自分を観察する
・わずかな変化に気づく

私は動けるようになると感覚がにぶります。自分をやさしく見つめて変化に気づくことが、体調を崩さないコツになっています。

●ゆっくり動いて、身体の使い方を修正する
(一人の患者の意見です。具体的なやり方は、身体の専門家から情報を得てください)

だるくてゆっくりとしか動けない…
実は、身体の使い方を修正し、より疲れにくい身体に変えるチャンスです。

時間のあるときに、ゆっくり動かして、自分の身体の使い方をチェックしてはいかがでしょうか。
・プロの動きを見て、その通りにやってみる
・身体の力をできるだけ使わないように意識する
・なるべくゆっくり動かす
・自分の身体をやさしく観察する
・力が入っていると感じたら、息をゆっくり吐いてゆるめる

歩く、物を持ち上げる、上の方の物を取る、包丁で野菜を切る…

あらゆる動作をチェックしてみると、身体の使い方にムダがあって疲れやすくなっていることに気づくかもしれません。

私は包丁を使うとき、手に力が入っていて疲れることが多かったです。YouTubeで包丁の使い方動画を見て、姿勢と切り方を修正すると、後の疲れが減りました。

YouTubeやSNS、本などでお得な情報が見つかると思います。自分に合うやり方で身体の使い方をチェックしてみてください。
参考:「心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門」青木 紀和 (著) (日本実業出版社)


不調を見込んでおく

体調はアップダウンします。不調を見込んでおきましょう。予想が外れて不調にならなかったら、ぜひ自分をほめてください。不調になったら予定通りなので、淡々と対応しましょう。余計な落ち込みを防げます。


少しずつ試して、絶えず修正する。仮説と検証の繰り返し

理想は、原因を完全に追い求めて、完璧な療養計画を立てて実行することです。しかし、時間と金がかかり過ぎることがあります。

正解がわからないことは、少しずつ試してやりながら、絶えず修正するとよいです。「仮説と検証の繰り返し」とも言えます。
・仮でいいから、答えを早く出す
・答えが合っているかどうか、確認する
・これでうまくいくかな、とやってみる
・結果を確認しながら、修正していく

自分のやり方を信じきっていると、良い結果が出ないまま、時間とお金をムダに費やすこともあります。観察して軌道修正することが大切です。(過去の私に伝えたい内容)


ステップ3-5.休職期間の延長

休職期間は、医師の診断書に書かれている自宅療養期間で決まっているケースが多いと思います。長期療養が必要な病気の場合、診断書を何回か出して、休職期間を延長することになります。

休職期間を延長する場合、会社ルールに従って手続きをしましょう。私の経験では、延長分の診断書(例えば「〇月〇日まで自宅療養を要する」)を提出するだけですみました。

休職期間延長時の注意は2点です。
・会社の提出期限を守れるように、余裕をもって医師に診断書を依頼する
・診断書の提出方法は、会社の指示に従う

休職期間を延長する際、自分が必要と思ったら、上司や産業医などに状況を伝えてください。上司や産業医は自分だけのために動いているわけではないので、伝える側からアクションを起こす必要があります。

【私の経験】産業医に復調の証拠を見せる
処方されている薬の変化を記録した紙を、産業保健スタッフを通じて産業医に渡したことがあります。変えた薬が功を奏して、復調に向かっていることを理解してもらうためです。

【反省】産業保健スタッフに状況報告や相談をもっとすべきでした。会社の休職・復職の事例に数多く接しているので、よいアドバイスをもらえたはずです。


思うように回復しない場合のヒント

休職して療養していても、調子が良くならない状態が続くことがあります。思うように回復しない場合の対応について、私の考えを紹介します。ご参考になれば幸いです。

「時間薬」と「時間薬以外」両方を考える

(一人の患者としての意見です)
【注意】医師が行う治療については、医師の意見を優先してください。勝手な自己判断は禁物です。

・病状が悪いまま
・回復が止まってしまった
・調子がなかなか良くならない
そんな場合、記録や身体の感覚を確認し、やっている治療を見直してみましょう。時間薬だけを信じていると、時間と金だけを費やすかもしれません。

現状維持でうまくいっていないと感じたら、今後の治療について医師に相談することをオススメします。

何回か長期に療養した経験から、「なかなか良くならないパターン」は2つに分けられます。常に両方の可能性を考えてみてください。
[1] 時間薬が効いてくる日数の不足
[2] 時間薬だけではダメ

[1] 時間薬が効いてくる日数の不足
今のやり方で問題がなく、積み重ねが足りないケースです。日数を重ねると(忘れた頃に)急に回復を感じることがあります。(私も経験あり)

●現状維持バイアスに注意
「現状維持バイアス」に流されることがあります。例えば、調子が悪いままなのに、同じ治療と同じ生活を続けてしまうことです。変えることに(無意識の)抵抗があるからです。

いままでやってきたお金や年月を捨てるのがもったいなくて、やめられないことも理由の一つです(損失回避)。

現状維持バイアス
現状を変更する方がより望ましい場合でも。現状の維持を好む傾向のことを言う。

「医療現場の行動経済学」大竹 文雄・平井 啓(編著)(東洋経済新報社)p.24より引用

患者の私を安心させようとして、医師から「時間薬」「日にち薬」だから「きっと良くなりますよ」と言われたことがあります。医師の言葉を信じることは大事です。ただ経験上、疑うことも必要と感じたこともありました。

[2] 時間薬だけではダメ
2パターンに分かれます。
①今のやり方は良いが、「何か」を追加すれば良くなる
「時間薬」でうまくいかないケースです。別の治療を加えて良くなる可能性があります。

【私の経験】他の診療科の薬で問題解決
いわゆる睡眠薬だけでは不眠が改善しなかったのに、〇〇〇科を受診して、薬を追加すると熟睡できるようになりました。

②今のやり方をやめ、やり方を変えなければ良くならない
難しいケースです。自分で情報を集め、主治医と相談(説得?)することも必要かもしれません。セカンドオピニオンや、他の診療科の受診も選択肢に入ります。場合によっては、転院も検討するのがよいと思います。

現状維持でうまくいっていない場合、「今のやり方を変える選択肢」を考えてみましょう。医師に遠慮は不要です。


「別の病気の可能性」と「自分に合う治療」を考える

私の反省です。私は病気や治療の情報を得ずに、同じ治療やセルフケアを漫然と続けてしまいました。結果、ME/CFSの回復に非常に長い年月を費やしています。

何ヵ月経っても調子がよくならないと感じたとき、下記の選択肢を頭に入れておくことをオススメします。
(1) 別の病気の可能性がないか、自分の病気を探す
(2) 自分に合う治療がないか、自分の治療を探す

(1) 別の病気の可能性がないか、自分の病気を探す

病名がわかるまで
あきらめずに病院を探した方がいいよ

「ある日突然、慢性疲労症候群になりました」 ゆらり (著)(合同出版)p.43より引用
(職場の上司が著者にアドバイスした箇所)

【私の経験】ME/CFSの症状発生から診断まで12年
私はME/CFS(筋痛背脳脊髄炎/慢性疲労症候群)の症状に苦しみ始めてからME/CFSの確定診断まで約12年かかりました。長くかかった理由は、ME/CFSという病気の存在を「知らなかった」からです。

「起き上がれない」「寝込む」などの症状をストレスの問題と思っていたことも、ME/CFSの診断・治療には遠回りになりました。私が病名を知ってから確定診断を受けるまで、思ったより短い期間ですんだので。

(2) 自分に合う治療がないか、自分の治療を探す
治療をあきらめるのはもったいない
です。自分に合う治療を見つけるのが大変な場合があります。しかし希望を捨てずに、自分に合う治療を求めていきましょう。

【私の経験】私にとっての治療(*)まで、診断から10年以上
ME/CFS診断後の治療のおかげで、ある程度改善しました。しかし、抜本的回復にはいたりません。体調を大きく崩すこともたびたびでした。

振り返ると、治療が自分に合っていなかったと痛感しています。また、「確立された治療法はない」の言葉に甘えて、現状維持をしたようです。

診断から10年以上経ったある日、ある治療を知り、受けることにしました。私が思うようにはなかなか改善しませんでしたが、粘り強く継続。通院回数を数えなくなったくらいから急によくなっていき、自分では寛解と言えるレベルに回復しました。

(*)私にとっての治療:私に効果があったと感じた治療です。医師の認識とは異なるかもしれません。

「治療をあきらめるな! 情報を集めろ」と、過去の私に伝えたいです。


休職期間に復職できそうにない、と思ってもあきらめない

体調がなかなか回復しない時、心が折れてしまって「休職期間に復職できそうにない。復職はあきらめよう」と思うかもしれません。

復職をあきらめようと思った時も、主治医や会社に相談して、退職しなくてすむ対策を考えることをオススメします。

主治医には、「休職期間中になんとか復職できるための治療」ができないか相談しましょう。医師は病気を治すプロです。治療の選択肢を持っているはずです。

会社には、「辞めたくない」希望を伝え、退職しなくてすむため手立てを相談してみましょう。会社と本人の状況によりますが、休職期間を少し延ばせたり、軽減業務で復職できたりする可能性は残されています。

休職期間満了間近の社員の対応については、人事担当者向けの情報(ネット記事や書籍)でよく取り上げられる内容です。

インターネット上の記事や動画で以下のケースを見ました。(産業医などの専門家が発信されているので信頼性は高いと思います)
・退職せずに復職できる策を、会社と本人(+産業医、主治医)で考える
・(特例で、)休職期間を一定期間延長する
・復職時の条件を緩めてもらい、軽めの業務から復帰する(時短勤務、補助業務など)

(繰り返しになりますが、)あきらめる前に「誰かに相談しましょう」。家族、主治医、産業医、会社の人事や上司に。他にもいるはずです。
参考:
(厚生労働省)治療と仕事の両立支援ナビ「相談可能な支援機関」をあたってみるのも手です。

相談の場で「あきらめたらどうか」と言われても、あきらめないでください。別の人に相談しましょう。相談の場では「復職したい意思」を伝えることが大切です。


退職の決断は、いろんな人に相談して、自分でしっかり準備してからで間に合う

退職を考えるようになったとき、すぐに自分から退職を申し出ることは個人的にオススメしません。休職期間満了が近くなったら、会社から言ってきますので。

ただし、自分の命や健康、家族との生活を守ることを優先してください。

退職がよいかどうかは、人と会社の状況によります。会社の環境によっては退職するほうがよい場合もあるでしょう。いったん退職して再就職するほうが、自分にとってよい場合もあるでしょう。ただし、退職するなら、退職を申し出る前に十分準備をするべきです。

●「休職からの復職」と「再就職」で、どちらが完全回復を求めてくるか?
会社によります。ただ私が知る限り、「再就職」のほうが完全回復を求める度合いが高いです。

退職して再就職することを考えていたら、体調と相談しながら転職活動の準備をやってみてはいかがでしょうか。転職を検討してみて、転職が無理そうなら休職を続けて復職を目指せばよいのです。

転職活動は意外に労力がかかります。くれぐれも頭と身体に無理をしないようにお願いします。


障害年金を検討する

休職中に障害年金をもらう可能性は低いと思います。しかし休職が長引きそう(または退職しそう)な場合、障害年金の存在だけでも知っておくとよいです。
参考:
・日本年金機構( https://www.nenkin.go.jp/index.html
・日本年金機構/障害年金のパンフレット
・日本年金機構YouTubeチャンネル/障害年金ガイド(令和4年度版)

【私のざっくり説明】障害年金
初診日から1年6ヶ月以上たって、病気の程度が障害レベルにある場合にもらえる年金です(2ヶ月に1回振り込まれます)。

年金は2階建てになっています。
1階:障害基礎年金(障害の程度が重い方から、1級、2級)
2階:障害厚生年金(1級、2級、3級、障害手当金(4級相当の一時金))
障害厚生年金は、障害の程度が軽くてももらえる可能性があります。

<過去の私に伝えたいこと3点>
(1) 休職が長引きそうで、初診日から1年以上経っていたら、障害年金の請求を検討しましょう。診断書などの書類準備に想像以上の時間がかかります。

(2) 日本年金機構/障害年金のパンフレット
⇒「傷病手当金を受給されている皆様・病気やけがで療養中の皆様へ 障害年金のご案内 (pdf)」に目を通しておくことをオススメします。

(3) 障害年金をもらいながら働いている方もいます。病気によって労働収入が減る場合、障害年金をもらいながら働くことを検討してもよいでしょう(とくに障害厚生年金3級)。障害年金の本で著者が「働いても障害年金がもらえる」と患者の方に説明した箇所を引用します。

筆者は「…(中略)… 障害年金という名称ですが、実際の意味合いとしては病気やケガのための『傷病年金』なのです」と伝えました。

「就労にまつわる障害年金請求・相談のポイント」高橋 裕典 ほか (著)(日本法令)
(第4章 難病、内科系疾患)p.193より引用

おすすめの心がけ・行動

長く休んだら復帰しやすくなるわけではない

「休む期間は、長すぎたらダメ。短かすぎてもダメ」
休職を何回も経験し、復職に苦労した私の反省です。

病気で長く休むとき、
「十分に休んで。しっかり治してから復帰して」
とアドバイスをいただきました。ただ、「十分に休んで」は「長く休めばよい」ではなかったのです。

ブランク期間が長いほど、復帰のハードルが上がることは頭に入れておくべきでした(下記の[2])。

休職期間と復職のしやすさは、経験上2つの考え方があります。
[1] 休む期間が長いほど、体調が回復する確率が上がる
[2] ブランク期間が短いほど、復職は楽である

[1] 休む期間が長いほど、体調が回復する確率が上がる
私が休職中に受診していたある医師の先生は、長い期間をかけて着実に回復を目指す考えなのか、「とにかく休職期間をフルに使い、復職を遅めにする」ように感じました。

また、企業の人事管理職の方から、「病気を治して復帰してもらえるように休職期間を長くしている。不完全な状態では復帰させない」趣旨の話を聞いたことがあります。(YouTubeで見た病気休職・復職の事例)

[2] ブランク期間が短いほど、復職は楽である
職場と仕事から離れる期間が長くなると、慣れていた仕事が「久しぶり」になります。仕事の勘を取り戻すのに、時間と労力がかかります。ブランク期間が長いほど復帰に苦労するのは、病気に限った話ではありません。

病気の回復が遅れて休職期間が長くなった場合、復職に向けたリハビリ(とくに仕事への慣れ)をしっかりやる必要がある、が私の経験則です。


復職日の目標を固定しない

とくに休職した直後は、「目標の復職日に合わせて、身体を整える」ではなく、「身体に合わせて、目標の復職日を調整する」ことをオススメします。(私が医師からよく受けていた注意です)

理由は、
[1] 良くなる時期は、思い通りにならないから
[2] 目標日にできていないと、強烈に落ち込むから

理由[1] 良くなる時期は、思い通りにならないから
私がつきあっているME/CFSを含め、回復予定を正確に予想できない病気があります。回復の状況を医師に報告して、復職に向けたスケジュールを(相談しながら)前後させるのよいでしょう。

【私の失敗経験】
復職日の目標を「〇週間後」と決めつけていた時期がありました。身体が良くなったと感じたらすぐに、軽い散歩やパソコン作業のリハビリ。

結果、私の身に起こったことは…
・次の診察前に疲れがどっと出た。復職どころじゃない
・復職直前に体調を崩して、会社に復職日を延ばしてもらった
・復職直後に体調を崩して、また休むことになった

以下私が受けた「休職中の過ごし方」の注意まとめ
・「復職の目標日」と「復職後の状態(例えば週40時間)」から逆算しちゃダメ!
・できることを少しずつ積み上げる。調子を崩したら量を減らして、慣れたら増やす
・体調を大きく崩すようなリハビリは厳禁

理由[2] 目標日に達成できていないと強烈に落ち込むから
「治る!」「復職して元気に働けるようになる!」と希望をもち、自信をもち、鮮明なイメージをもつことは大切な心がけです。

しかし、良くなる希望日を固定してしまうと、いくら強烈にイメージトレーニングをしても、その日に到達してないとショックが大きいです。

私は「夜と霧」を読んでから、復職日を決めつけないようになりました。体調の流れに身をまかせ、リハビリや復帰の予定を前後させます。復職前後に不調で寝込むことはなくなりました。復職予定が早まったこともあります。

強制収容所に入れられたFさんの話
・ある日、解放されると思う具体的な日が強烈に思い浮かんだ
・解放される日を(変えずに)信じていた
・その日までに解放される見込がなくなってきた
・解放されると信じた日の直前、急に体調を崩して死亡

「夜と霧 (新版)」ヴィクトール・E・フランクル (著)、池田 香代子 (訳)(みすず書房)より (私の解釈で作成)

仕事では、最終期限に向けて中間目標や予定を細かく決めて守ろうとします。なので、療養のときは戸惑うかもしれません。しかし身体の回復を優先するほうが、復職は早く確実にできます(私の経験より)。

もちろん、回復予定の目標は設定しないといけません。休職期間などの制約があるので、復職日の目標も必要です。会社によっては、復職日を固定される場合もあるでしょう。

復職日が動かせない場合でも、リハビリ予定や復職日を身体に合わせて調整し、体調を崩さないように復職することを願っております。


治療にかかるお金を管理する。自由診療は要注意

病気によっては、保険診療(3割負担)だけでは改善せず、自由診療(10割自費)を受ける場合があります。

自由診療の場合、治療の効果を確認するだけで多額の金がかかる場合があります。高額の治療を継続するとなおさらです。大事なことは、自分の病気を治療して体調を改善させることです。

セールストークにつられてお金を払い続けないように、注意してください。(過去の私を叱りたい…)

もちろん保険診療でも、交通費やオンライン診療にかかる追加費用などを計算に入れておく必要があります。


精神疾患と診断されたら、使える制度を確認する

精神疾患で使える可能性がある制度を挙げます。使うかどうかは別にして、使える制度を確認しておきましょう。医療機関などで聞いてみるとよいです。

◇リワークプログラム
一般社団法人日本うつ病リワーク協会( https://www.utsu-rework.org/rework/index.html )の解説がわかりやすいです。
◇自立支援医療
厚生労働省/自立支援医療 ⇒手続きの詳細は、お住まいの市区町村から情報を得てください。
◇精神障害者保健福祉手帳
厚生労働省/障害者手帳⇒手続きの詳細は、お住まいの市区町村から情報を得てください。
◇障害年金
日本年金機構( https://www.nenkin.go.jp/


自分ファースト

一番に、「自分」の身体・心・生活を優先しましょう。
次に、家族など「自分の大切な人」を優先しましょう。

自分を優先すると言っても、有形無形で助けてくれる人には「感謝の気持ち」を伝えましょう。人に恩返しするのは、復帰してからで十分間に合います。


主役は患者本人

復職に向けた行動は、本人が主役です。自分で最終判断しなければならない場面が出てきます。「すべて自分一人でやれ」という意味ではないです。他の人の助けを借りた上で、最善の判断をしましょう。

自己責任を問われる

私の経験上、病気や休職・復職は「自己責任」を問われがちです。何もかも自己責任にされないよう、区分けしておきます。(あくまで私の考えです)

<「自己責任ではない」こと>
× 病気になったこと

⇒病気の原因を「自己管理不足」と言う人もいますが、病気には様々な要因があります。

× 体調がなかなか回復しないこと
⇒最善を尽くしても回復できない病気もあります。

× 自分の思い通りに復職できないこと

<自己責任が求められること>
〇自分がおこなう判断・行動「医師の〇〇先生がこう言ったから」「会社の□□さんがこう言ったから」といって、うまくいかなかったときに、その方が責任をとってくれるわけではありません。

〇必要な助けを借りること
他の人の助けは必要です。助けを借りることを含めて自己責任です。助けを借りた結果も自己責任を問われます。


自分の監督は自分

「病気で長期に休むことになってから、確実に復職する」ことは、ある意味仕事より難しいです。超難しいプロジェクトの敏腕マネージャーになったと思ってください。休職や復職の経験は、あなたを成長させます。

本人は、会社と主治医との連携役・調整役でもあります。会社や主治医が支援してくれる、と書いている情報(下図参照)もありますが、本人が自分から調整する姿勢が大切だと思います。

出典:(厚生労働省)治療と仕事の両立支援ナビ→「両立支援」(https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/guideline/) 「支援体制」の図(私の注:図中の "事業場" は、勤務先の会社とご理解ください)

会社と主治医との連携・調整は意外に大変です。うまくやりましょう。自分でやるのが無理そうなら、助けてもらえる人にお願いしてください。助けてもらえる人がいなかったら、主治医などに聞いてみましょう。


現状維持ではなく、回復を目指す

私が失敗から学んだ長期療養のコツです。
「現状維持に流されない。
人の言いなりにならない。
変化に対応する。
自分の行動を絶えず見直して修正する」

長期に渡る療養に見直し修正が必要な理由は…
・現状維持を続けると、うまくいかなくなる時が必ずくる
・人から言われたことは、今の自分にとって100%正解ではない
・自分も周り(医療情報など)も常に変化している

【私の経験】療養の失敗例
×なかなか回復しないのに、同じ治療と生活習慣を続けた結果、多くの金と長い期間がムダになりました。

×寝たきりのまま楽に過ごし続けたら、筋肉が固まっていました。動きを取り戻すのに日数がかかって大変です。

×助言の通りに運動したら、意外に強すぎました。疲れがどっと出て、3日間寝たきりです。(ME/CFSでは労作後倦怠感(PEM)の悪いケースで、「クラッシュ」と呼ばれます)

【注】ME/CFSの場合、身体を動かすリハビリは他の疾患ではありえないほど「軽め」から「ほんの少しずつ」「疲れないように」やっていくことが求められます。


「今やっていることが合っているか」常に見直す

「今のやり方でずっとやれば、うまくいく」と思わないでください。変化が激しい世の中で取り入れられているOODAループを使い、変化に応じた対策をやることをオススメします。

・Observe [観察]:(やったことや体調の変化を)記録する
・Orient [状況判断]:記録を見る。悪い兆候はないか?無理をしていないか?
情報収集:自分で調べる。主治医などから助言を受ける)
・Decide [意思決定]:自分で決める(自己責任)。今のやり方を続ける/減らす/増やす/変える
Act [実行]:決めたことを(試しに)やってみる。うまくいかなかったら、すぐ見直す。


<まとめ>

「ステップ3.休職直後からの療養」休職を始めてから、自宅で体調よく生活できるようになるまで、「やること」や「心がけ」を解説しました。

ステップ3-1.安心して休職するための手続き
・もらうお金の申請(申請しないともらえない。問い合わせ窓口は待っている)
・会社支給の機器を持っている場合は返却を検討する

ステップ3-2.頭と身体を休ませる
・主治医の指示に従い、治療と休養に専念する
・生活記録のすすめ
・待つことに不安を感じるとき
・主治医に「復職したい」と言っておく

ステップ3-3.会社への定期報告
・会社に復職の意思表示をしておく
・疑問点は遠慮せずに聞く
・予定より復職が早まりそうな場合は、早めに伝える

ステップ3-4.だんだん回復してくる。無理をしない
動けるようになってきたら、動きすぎない
・活動の調整が大事(ペーシング)
・不調を見込んでおく
・少しずつ試して、絶えず修正する。仮説と検証の繰り返し

ステップ3-5.休職期間の延長

■思うように回復しない場合のヒント

・「時間薬」と「時間薬以外」両方を考える
・「別の病気の可能性」と「自分に合う治療」を考える
・休職期間に復職できそうにない、と思ってもあきらめない
・退職の決断は、いろんな人に相談して、自分でしっかり準備してからで間に合う
・障害年金を検討する

■おすすめの心がけ・行動・長く休んだら復帰しやすくなるわけではない
・復職日の目標を固定しない
治療にかかるお金を管理する。自由診療は計画的に
・精神疾患と診断されたら、使える制度を確認する
・自分ファースト
・主役は患者本人
・自己責任を問われる
・自分の監督は自分
・現状維持ではなく、回復を目指す
・「今やっていることが合っているか」常に見直す

体調が底打ちする日が来て、だんだん回復してくるまでの期間は個人差があります。ツライ時期もあると思いますが、回復をあきらめないでください。

自分に合うやり方で療養すると、確実に回復して復職に進める可能性が高まります。あなたならではの「療養のコツ」をつかんでいただくよう願っています。


ここまでお読みいただきありがとうございました。次はステップ4.で、復職に向けたリハビリについて触れます。

――【休職からの復職体験談】シリーズ ――
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はじめに
(1)ステップ1.事前の備え
(2)ステップ2.不調になってから休職開始まで
(3)ステップ3.休職直後からの療養
(4)ステップ4.復職に向けたリハビリ
(5)ステップ5.復職の手続き(復職決定まで)
(6)ステップ6.復職直前から復職後
(7)[番外編]もし退職することになったら
(8)参考情報(ウェブサイト、書籍)

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