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【休職からの復職体験談】(1)ステップ1.事前の備え

ステップ1.では、予期せぬ病気で仕事に支障が出る前にやっておく備えを解説します。私が体験から学んだ教訓をまとめました。

<休職前から復職後までの6ステップ>
ステップ1.事前の備え
ステップ2.不調になってから休職開始まで
ステップ3.休職直後からの療養
ステップ4.復職に向けたリハビリ
ステップ5.復職の手続き(復職決定まで)
ステップ6.復職直前から復職後

いざという時に備えることは非常に大切です。目次を見ていただき、気になる所を読んでみてください。役立つ情報を知っておくと、損が減るでしょう。

※記事内の情報は、自己責任で利用をお願いします。

1.日頃の備え

日々の健康管理が大切(生活習慣、生活記録、体調を数値化)

日々の健康管理が大切です。病気を予防し、不調の早期発見・早期回復ができれば理想です。朝に前日の疲れ・不調を残さないようにコントロールできるとよいでしょう。

●生活習慣
医師等から受ける治療だけでなく、生活習慣も大事です。治療が完璧でも、生活習慣が悪いと回復は遅くなります(悪化することも)。

ここでいう生活習慣とは…
・睡眠(寝る時刻、起きる時刻、寝る環境、寝る前にやること/やらないこと)
・食事、栄養(食事の時刻、栄養バランス)
・姿勢、身体の使い方
・身体を動かすこと、運動
・休憩、リラックス法、セルフケア
(瞑想、呼吸法、セルフでできる鍼灸、マッサージ、ストレッチ、鼻うがいなど)
・メンタルのコントロール

「身体に良い生活習慣」に即効性はありません。積み重ねが大事です。最初はツライかもしれませんが、そのうち慣れます。頑張らないで続けられるようにしていきましょう。

●生活記録(健康の記録)のすすめ
自分の健康状態を把握し、軽い不調のうちに対策すると、仕事やプライベートへの悪影響を抑えることができます。

健康状態を把握するために「記録」をオススメします。「生活記録表」「睡眠日誌」で検索すると見つかりますので、参考にするとよいでしょう。

<記録したい項目>
・睡眠の時間、だいたいの活動量(※お金が許せば、スマートウォッチや活動量計を使うのがオススメです)
・食事の時間、服薬の時間
・気分の変化(朝に気持ちよく起き上がれた、など)
・症状や体調の変化(体温、血圧、疲労感など)
・不調になるきっかけ(雨、寒暖差など)
・不調が始まるときの初期症状(肩が凝る、足が冷えるなど)
・頓服薬の服用、予定外の休息(昼寝など)
・外出やイベント

※最初から上記のすべてを記録しようとせず、できそうなものから書き残していくのがオススメです。記録が面倒だと続かないので。

生活記録のやり方は何でもよく、簡単でかまいません(手帳やカレンダーアプリでもOK)記録を続けることが大切です。後で事実を確認できれば十分。生活記録から体調を崩す兆候や、回復させる対処法を導けるとベストです。

私は、睡眠の記録に(手首につける)活動量計、記録表に睡眠障害向けの睡眠日誌(1週間で1枚)を使っています。

【生活記録表の参考】
◇精神疾患向けの生活記録表
「うつ病・メンタルヘルス不調 職場復帰サポートブック」難波 克行 著(NextPublishing Authors Press)(Kindle版もあります)

◇睡眠障害向けの睡眠日誌
「睡眠日誌」で検索すると、睡眠日誌のフォーマット例が見つかります。

◇インターネット、SNSで検索することもオススメします。

●症状の程度を数値化する
疲労感・倦怠感(だるさ)、痛みなどの症状の程度は、例えば11段階("何もない"を0、最悪を10として、今の症状は__)で記録することをオススメします。

例えば疲労感は(最悪を10とすると)どのくらいなのか、程度がどう変化しているか、夜の睡眠でどれだけ回復したのか。把握しておくと、医療機関の受診も早くできますし、医師への説明もしやすくなります。

程度の変化をつかんで、早めに対策することが重要です。

さらに、自己評価(最悪を10とすると、どのくらいか)と客観的数値(体温、脈拍、血圧など)の関係がつかめると、理想的です。


人間関係を良好に保っておく

相手や家庭環境・職場環境によると思いますが、人間関係を良好に保つことは大切です。

●上司を含む職場の人と
休職前、休職中、復職後のそれぞれで上司を含めた職場の人には負担をかけます。例えば下記です。
・休職前、パフォーマンス不足の分を助けてもらう
・休職中、自分の業務を誰かにやってもらう
・復職後、慣れるまでサポートを受ける

調子が悪い時は「お互い様」です。何かあったときに助け合えるようにしましょう。

●産業医や産業保健スタッフと
休職や復職の場面でうまく助けてくれるように、相談できる関係を築いておきましょう。

●医療機関の人と(医師、看護師、受付の事務員など)
不調なときの治療や、書類を依頼するときに助けを借りることになります。ご機嫌取りをする必要はないですが、いざというときに助けてもらいやすいように心がけましょう。

●家族と
自宅療養中に一番お世話になる人です。元気なときも、良い関係を保っておきましょう。


2.いざという時に備える

経験していない病気の情報を知っておく

長期に仕事を休むかもしれない病気(例えば、がん、精神疾患、コロナ後遺症)は、いつ誰がなってもおかしくありません。事前に情報を知っておくと、適切な治療にアクセスしやすいです。心やお金の備えもできます。

参考:
国立がん研究センターがん情報サービス
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について(厚生労働省)(「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント」など)(*)

(*)「コロナ後遺症」については、インターネットやSNSで検索してみることをオススメします。役立つ情報が見つかるはずです。

急に病気になったときの連絡先・相談先を調べておく

急を要するような病気になった場合の連絡先・相談先を確認しておきましょう。お住まいの自治体のウェブサイトをチェックすることもオススメします。

●かかりつけ医
症状が急に悪化したときの対応や、相談・受診をどうすればよいかを確認しておくことをオススメします。かかりつけ医がいない場合、通いやすいクリニックを探しておくとよいでしょう。

●夜間・休日に診療してもらえる医療機関
お住まいの自治体のウェブサイトなどでチェックしてみてください。

●♯7119
救急車を呼ぶべきか、すぐに病院に行くべきか迷っているときは#7119です。下のリンクは消防庁。

●訪問医療
医療機関に電話しても、なかなかつながらない場合がありえます。すぐに呼べる訪問医療の情報も確認しておきましょう。

●健康保険組合の相談窓口
健康保険組合によっては、心身の不調についての相談窓口があります。

●クレジットカードや民間保険の健康相談
加入しているクレジットカードや民間保険によっては、健康相談サービスがあります。サービス内容を確認してみてください。ウェブサイトを見ると、オトクな情報が見つかるかもしれません。


いざというときのためのお⾦、モノを準備しておく

●お金
収入がなくても数ヶ月は暮らせるお金をもっておくことをオススメします。理由は下記3点です。(病気休職を想定)
理由1:休職中にもらえるお金は待たされる
理由2:休職中も社会保険料などの自己負担がある
理由3:医療にお金がかかる

理由1:休職中にもらえるお金は待たされる
休職時に支給されるお金は、申請してから振り込まれるまで待たされます。例えば、健康保険からもらう傷病手当金。初回は支給可否判断があるので期間がかかります。私の一例を紹介します。

●傷病手当金の初回申請例(主治医への依頼~振込まで3ヵ月
9月4日:主治医に傷病手当金申請書の記入依頼(この医療機関は書類に2~4週間かかるので「急いで」、と受付担当者と主治医に依頼)
9月15日:主治医から申請書を受け取る。会社の担当部署に郵送(速達の簡易書留)。健康保険組合に電話で支給予定を聞く。
〇月〇日:会社が証明。会社の担当部署が健康保険組合に申請書を送付。
11月15日:健康保険組合から郵便で「傷病手当金 支給決定通知」が届く。
11月30日:初回の振込。

私の経験(傷病手当金の初回申請から振込まで)

【!】郵送する場合、追跡ができる方法(簡易書留、特定記録)をオススメします。いつ発送したか、相手にいつ届いたかの記録を残せるので。
参考:日本郵便( https://www.post.japanpost.jp/index.html

理由2:休職中も社会保険料などの自己負担がある
給与明細を確認してみてください。健康保険料、厚生年金保険料、住民税などが天引き(控除)されているはずです。

◇社会保険料(健康保険、厚生年金)
病気の休職では本人分の支払いが免除されません。休職中は会社が立て替えて払っています。会社から定期的に請求がきます。

◇住民税
休職中も払い続ける必要があります。前年の1~12月の所得で今年の住民税額が決まっているからです。

長期間の休職に入ると、(給与天引きして、会社が納める)特別徴収から、(本人が市区町村に直接納める)普通徴収に切り替わるケースが多いようです。普通徴収に切り替わった後に支払いが厳しくなったら、お住まいの市区町村窓口に相談してみてください。

理由3:医療にお金がかかる
保険診療のみで回復する病気で、交通費も薬代も安ければ問題ないのかもしれません。しかし場合によっては、遠方への交通費や、オンライン診療の通信費、自由診療(100%自費)のお金は無視できません。

●体調不良で「動けない・食べられない」ときの備え
・飲料水、発熱時に飲むアルカリイオン飲料
・料理せずに食べられる食事(栄養補給バーなど)
・固形物が食べられないときの食事(栄養補給用のゼリー、スープなど)
などを自宅に置いておきましょう。

【私の経験】固形物を食べられないとき
新型コロナ肺炎の症状発生後、形のあるものを食べるだけでどっと疲れました。噛んで食べるだけでも、激しすぎる運動になったようです。災害用に備蓄していた栄養ゼリーを食事代わりにしました。

【反省】だしスープ、野菜スープなど、甘くなくて栄養が摂取できるスープも置いておくとよいです。

また大地震などの災害への備えも考えて、飲料と食糧を備蓄することをオススメします。


「治療と仕事の両立支援」の存在を知っておく(病気とつきあいながら働くのは当たり前)

病気と仕事を両立するための支援があることを知っておいてください。私が知る限り、「治療と仕事の両立支援」の情報は年々増えています。

●治療と仕事の両立支援
厚生労働省が「治療と仕事の両立支援」を推進しています。病気になった人が離職せずに仕事を続けるための支援です。(離職者の再就職支援もあります)

「治療と仕事の両立支援ナビ」のコンテンツを読むと、「やっかいな病気になったら退職しなければならない」から、「病気とつきあいながら働き続ける」時代に変わってきていることがわかります。


3.定期的に確認する

会社のルール(就業規則など)や問い合わせ先を確認しておく

(1) 就業規則
就業規則とは、労働条件や職務上の規則を定めたルールブックです。労働基準法の定めにより、労働者が常時10人以上の会社(使用者)に作成義務があります。労働者は就業規則を見ることができます。(労働者への周知は、労働基準法による会社側の義務です)

就業規則を読んで、会社の休職・復職、退職に関するルールを確認しておきましょう。会社の手続は就業規則に従って行われます。

●就業規則の不明点は人事担当者に問い合わせる
就業規則の内容がわからない場合、勝手な自己判断は禁物です。自分が納得するまで不明点を確認しましょう。

【私の経験】
休職前、就業規則の休職・復職の箇所を見ていませんでした。休職に入ってから、人事担当者に就業規則の内容を教えてもらいました。

会社のルール説明は人事担当者の業務です。遠慮はいりません。(参考:労働契約法第4条)

<労働契約法 第4条>
(労働契約の内容の理解の促進)
第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

e-gov法令検索 労働契約法 より引用

(2)就業規則以外の会社ルール
どの会社にも「就業規則に書かれていない」ルールがあります。急な休みに備えて、ルールを知っておきましょう。

(3)労働契約の内容
雇用契約書などで、今の労働契約を確認してみましょう。「もし病気で休職した場合、どんな条件なら復職できそうか」の視点でも確認することをオススメします。

<復職の観点で確認をオススメする箇所>
・就業場所(*)
・業務の内容(限定されているか)
・「就業場所や業務の内容」の変更可能性、変更されるのはどんな範囲か(**)

(*)リモートワークができる会社でも、病気からの復職の場合、「出社を指示したらすぐに出社できること」を復職可能の条件にしている会社があります。(参考:休職からの復職に関する本)

(**)参考:厚生労働省「…労働契約法制の見直しについて(無期転換ルール及び労働契約関係の明確化)」の「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」リーフレット

(4)問い合わせ・相談先(会社の人事部門、産業保健部門、産業医など)
困ったときに、問合せや相談ができるようにしておきましょう。会社のルールや手続きについて確認したいときもあります。

産業医に相談したい場合の手続きも確認しておきましょう。緊急時を除いて、産業医の面談時間を予約する必要が出てきます。


民間保険の契約内容を確認する

病気で働けなくなったときの備えです。医療保険、就業不能保険、所得補償保険など。民間保険に入らずにお金を貯めている場合は読み飛ばしてください。

◇加入している民間保険
保険料(月額/年額でいくら払っているか)、補償内容(どんなときにどれだけ支払われるか)、請求方法を確認しておきましょう。民間保険も請求してから振込までの期間がかかりますが、生活が助かるのは確かです。

【私の経験】特約を追加したことを忘れていた
加入している民間の医療保険。ある日、契約内容をチェックしてみると、名前は「入院保障保険」なのに、日帰り手術も支払われる「手術給付特約」をつけていました(特約の保険料も支払い中)。特約を追加したことをすっかり忘れていたようです。

◇ 病気で働けなくなったときに備えて、民間保険加入か貯蓄を検討
病気で働けなくなったときの備えを検討しておきましょう。家族との相談もオススメします。

[案1]民間保険(就業不能保険、所得補償保険)
支払う保険料と、どんなときにどれだけもらえるか、お金のバランスを考えてください。加入できる条件も確認しましょう。
[案2]お金を貯める
民間保険に加入する代わりに、お金を貯めておくことも考えられます。


4.知っておきたい制度、ルール

働けなくなったときに助けてもらえる制度やルールについては、なるべく余裕にある時に情報を得ておくことをオススメします。

制度を使うときの注意

どの制度も、使える条件と注意事項があります。
制度を使うときに心がけること
(1) 最新の情報を使う
(2) 勝手な自己判断は後悔のもと
(3) 分からない点は、問い合わせて確認する


(1) 最新の情報を使う
法律などが変わっていることがあります。以下は健康保険法の改正例です。

(傷病手当金が)支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、令和4年1月1日より、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月に変わりました。
ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合には、これまでどおり支給を開始した日から最長1年6ヵ月です。

協会けんぽ/病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)より引用

手続きのフォーマット(様式)も、最新版を使いましょう。

(2) 勝手な自己判断は後悔のもと
過去の経験やネットの情報をツマミ読みして判断を間違えないように、お願いします。(後悔したのが私だけであることを祈ります)

(3) わからない点は、問い合わせて確認する
私の経験では、健康保険組合などの問合せ窓口は親切です。わからないまま手続きしないことをオススメします。


健康保険の制度(高額療養費、傷病手当金)

最低限、「高額療養費」と「傷病手当金」を知っておくとよいでしょう。加入している健康保険組合のウェブサイトをご確認ください。(協会けんぽは、 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/

●傷病手当金

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

協会けんぽ/病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金) より引用

※会社によっては、傷病手当金にプラスしてお金が支給される場合があります。(例えば、会社が団体長期障害所得補償保険(GLTD)に加入しているケース)

【私のざっくり説明】傷病手当金
◇休み始めて4日目から、1年6ヶ月分(*)もらえる。(過去に傷病手当金をもらっていても、別の傷病なら別カウント)((*)令和4年1月1日の改正後)
◇会社から給料をもらえない日に、1ヶ月の給料(標準報酬月額の6ヶ月平均)の2/3が支給される。
◇社会保険料の自己負担分は払い続ける。(会社から請求がくる)
◇初回の手続きは、初回の振込まで月単位で待たされる。(私の経験では、手続き開始~初回振込まで3ヵ月)
◇申請は2年以内に。(休んだ日ごとに2年経つと時効)
◇申請手続きの流れ(例)
(1)本人が申請書の「本人記入欄」に記入する
(2)本人が主治医に依頼:申請書「療養担当者の意見」
(3)本人が会社の担当部署に依頼:申請書「事業主の証明」
(4)会社の担当部署が健康保険組合に申請する
(5)健康保険組合から本人に通知する(支給または不支給)
(6)傷病手当金が振り込まれる

【注】正確な情報は、加入している健康保険組合から得てください。

●高額療養費

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。

協会けんぽ/高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)高額療養費 より引用

※高額になることが事前に分かっている場合、窓口負担を一定額まで抑えることができます。(参考:協会けんぽ/医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)
※国民健康保険(国保)も高額療養費制度があります。


労災保険

労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。

厚生労働省/労災補償 より引用

参考:
厚生労働省/労災補償
◇厚生労働省「確かめよう労働条件」⇒働いている方⇒法令・制度のご紹介⇒労働災害が発生したとき


労働法(働く上でのルール)

労働基準法など、働くことに関する法令を知っておきましょう。
参考:
確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp) が分かりやすくてオススメです。


雇用保険

●教育訓練給付
厚生労働省/教育訓練給付制度

●雇用保険手続き
ハローワークインターネットサービス/雇用保険手続きのご案内
⇒いわゆる失業手当は、「基本手当について」にあります。


確定申告(医療費控除)

その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記「医療費控除の対象となる金額」参照))の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

国税庁/タックスアンサー/No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)より引用

その他

(8)参考情報(ウェブサイト、書籍)の記事に、お役立ちリンクをまとめました。


5.使える情報は何でも使う

患者以外向けの情報

会社の人事担当者や産業保健担当者を対象に書いている情報でも、(休職や復職をする)本人が使うと役立ちます。復職を何度も経験した私の実感です。
(【休職からの復職体験談】シリーズは、「会社の担当者は、本人に対して何を考えているか」も考えて書いています。)

「患者以外向けの情報」を読むメリット
・会社の人、産業医、主治医の思考や行動を予想できる
・相手を考えた対応ができる
・不安が減る

「患者以外向けの情報」を読むデメリット
・患者本人にとって厳しいことが書かれている
・読んで落ち込む場合がある

デメリットもあるので、心に余裕があるときに情報収集することをオススメします。


未経験の病気の情報

「何の病気の情報だろうが、自分に使えるものはなんでも使うべし」と私は実感しています。

ただ、他の病気の情報を使うときは、自分の病気との「共通点」「違う点」を整理しておくとよいです。

休職復職に関しては、「精神疾患」や「がん」は情報が多くて学びになります。患者が読んでも役立つ書籍も多いです。私は休職や復職の場面で活用しました。

他の病気をうらやましく感じた時もありますが、先人の知恵や努力に感謝しています。


6.医療機関や薬とうまくつきあう

医療に関しては、医療の専門家(医師や薬剤師など)による情報を優先してください。6.に書いていることは、私が患者として得たノウハウにすぎません。

受診した証拠を残す

医療機関を受診したら、下記を記録しておきましょう。形はなんでもよいです。簡潔でよいです。
・いつ
・なぜ?(症状)
・どこに?(医療機関)
・何をされた?(診断、検査、薬など)
・後でどうなった?(薬の効果や副作用、経過)

大事なことは、記録を続けることです。医療機関を変える場合の説明にも役に立ちます。

受診のコツ「診察室を出る時、一番持ち帰りたいものは?」

診察時間をうまく使うために、私が心がけていることです。

診察時間は3分、5分が普通でしょう。
短い診察時間のなかで
・診察時間に自分(患者)の時間をどう入れるか
・症状の経過(事実)を伝え、見通しと解決策をいかに引き出すか
を心がけましょう。

【私の経験】診察にノープランで臨むと、聞きたいことも聞けない
「どうですか?」「(前回と同じ)薬を出しておきますね」「お大事に」の流れで話が進み、あっという間に診察が終わっていました。相談したい症状があったのですが、次回診察までの〇週間をムダにしたようです。

診察時間を自分のものにするコツは「準備」です。
[1] 受診前にメモを準備する
[2] 受診用メモを診察室に持っていく
[3] 診察時にメモをとる
[4] 診察後の振り返り

[1] 受診前にメモを準備する

まず、生活記録をうまく活用するとよいでしょう。
・いつから、どういう症状があるか?変化は?
・前回の受診からの状況は?(変わらず。良くなった。悪くなった)
・変化のきっかけは?原因として何が考えられるか?

次に、診察で話したいことを洗い出します。
・医師から聞かれそうなことの回答(聞かれたら即答できるように)
・医師に質問したいこと
・診察時間で持って帰りたいもの(例えば、診断書、薬を変えた後の処方箋、療養中の注意、症状が起こった時の対処方法)

[2] 受診用メモを診察室にもっていく

診察室にもっていく「受診用メモ」をつくりましょう。私が学びになった本の内容を紹介します。

受診用メモ
・前回、言い忘れたり、聞き忘れたりしたこと
・症状の変化(いつから、どこが、どんな感じ?) 
・受診日にいちばん解決したいこと

「3分診療時代の長生きできる受診のコツ45」高橋 宏和 著
(世界文化社)より (私の理解で改変して作成)

受診用メモ(私の一例)
受診用メモをA4×1枚にまとめて持参します。必要に応じて見せます。
1.質問やお願い:優先度順に1,2,3と番号づけ(時間切れなら残りは次回)
2.薬:そのままでよいか、変更希望か
3.症状の変化

症状の変化を言うと、医師から「理由、きっかけ」を必ず問われます。
・何をやってて悪くなったのか(私の仮説も)
・何をやってほしいのか(医師から問われるのはまれなので、私から言います)

睡眠日誌(生活記録)も持参します。
・睡眠(いつからいつまで、途中の覚醒、目覚めた感じ)
・体調不良、頓服薬
・外出やイベント

※準備したつもりでも、診察室では場の雰囲気に流されてしまい、後悔することも多々あります。毎回改善です。

医師と本人それぞれで、最適なものは異なります。状況に応じてご判断ください。くれぐれも無理をされないようにお願いします。

メモを医師に見せるかどうかは、医師によります。私の経験では、メモを見てくれる医師もいれば、メモを見るのを好まない医師もいます。ただ、口で説明すると長くなりそうなことは、メモを見てもらうほうが伝わりやすいのは確かです。

●患者はインタビュアー
「伝えたら何とかしてくれる」と思っていたら何ともなりません。
具体的に聞かないと具体的な情報は得られないことが多いです。

「なぜ聞くか?」「相手から何をもらいたいか?」「いつ聞くか?」「どうやって聞くか?」「聞くために何を伝えるか?」を考えてやってみましょう。

●薬を変えてからの症状変化は、医師に伝える
医師は、薬を処方した後にどうなったかを気にしています。効果があったか、副作用がひどくなっていないかです。

自分が関係ないと思っていても、症状の変化があったら処方した医師に伝えましょう。(関係ないと思っていた症状を言うと、医師が重要視していたようで、処方を変更された経験があります)

●薬の相性は人それぞれ。状況によっても変わる

【私の経験】自分に合う薬を見つけるのに苦労
自分に合う薬を見つけるのが大変だった時期がありました。処方されては調子を崩し、変えては崩し(、医師に不満を漏らす)の連続。量を増やすと副作用が強く、減らすと効かず、といった感じでした。医師の先生と何度も意見をぶつけ合い、合う薬を見つけました。

処方されている薬を変えたい場合、「変えたい」と明確に伝えましょう。医師に遠慮する必要なありません。もちろん理由も添えて、希望を伝えましょう。

[3] 診察時にメモをとる

診察中にメモをとりましょう。「受診用のメモ」に追加で書くだけでもよいです。大切なことは、診察で言われたポイントを書き残すことです。

もし診察室でメモをとれなかったら、診察後に書きましょう。誰にも見られない場所が書くのがベストです。私はトイレの個室で書くことがあります。

場合によっては、下記の対策も検討してください。
・大事なことは、先生にメモを書いていただく
・家族と一緒に診察を受ける

[4] 診察後の振り返り

忘れないうちに診察を振り返っておきましょう。
・今回の診察で得たいことが得られたか?
・治療(薬など)は変わったか?
・医師からのアドバイスは?メモの書き漏れはないか?
・看護師や薬剤師からのアドバイスは?


「お薬手帳」は常に持っておく

処方される薬について、「お薬手帳」を常に持っておくことをおすすめします。また、飲んでいる薬の最新状況を示せるようにしましょう。他の医療機関を受診した時、「何の薬を飲んでいるの?」は、よく聞かれる質問です。

【補足】会社の人事担当者や産業医は、本人の想像以上に服用中の薬を気にしています。「薬の作用・副作用が、仕事中の本人に悪影響が起こらないか」を確認するためです。復職手続きの際に問われたら、「薬の副作用は仕事に影響ない(ある場合、〇〇(の配慮)があれば問題ない)」と説明できるようにしましょう。


診察券は捨てない

医療機関を受診した証拠(診察券、領収書、お薬手帳など)を残しておきましょう。初診日も分かるようにしてください。もし医療機関との関係が悪くなって通院しなくなったとしても、診察券は捨てないほうがよいです。(私の反省より)

将来、障害年金を請求することになったら「初診日の証拠」が必要です。医療機関のカルテ保存義務は5年です。カルテが廃棄された後だったら、診察券などの証拠が必要になります。(もし証拠を無くしていた場合、あきらめずに社会保険労務士などに相談しましょう。解決策を出してくれます)


「治す気」と「結果」は関係ない

(あくまで私の意見です。異論は多いと思います)

「治す気がないから、治っていかない。だから、やる気を出して」と言う人がいます。私も言われたことがあります。治す気がない患者なんていないのですが…

病状が悪くなったり良くなったりする要因は様々です。いろいろなことが揃えば、「治す気」や「やる気」とは関係なく回復していきます(私の経験から自信をもって言えます)。


<まとめ>

「(1)ステップ1.事前の備え」では、予期せぬ病気で仕事に支障が出る前にやっておく備えを紹介しました。

1.日頃の備え(健康管理、人間関係)
2.いざという時に備える(病気の情報、金、モノ)
3.定期的に確認する(会社のルール・問い合わせ先、民間保険)
4.知っておきたい制度、ルール
5.使える情報は何でも使う
6.医療機関や薬とうまくつきあう(私自身のノウハウを紹介)

いろんな情報を得て、いざという時に備えましょう。


ここまでお読みいただきありがとうございました。次はステップ2.で、予期せぬ病気で仕事に支障が出始めてから休職までを解説します。

――【休職からの復職ノウハウ】シリーズ ――
(下線のリンクをクリックすると記事が開きます)

はじめに
(1)ステップ1.事前の備え
(2)ステップ2.不調になってから休職開始まで
(3)ステップ3.休職直後からの療養
(4)ステップ4.復職に向けたリハビリ
(5)ステップ5.復職の手続き(復職決定まで)
(6)ステップ6.復職直前から復職後
(7)[番外編]もし退職することになったら
(8)参考情報(ウェブサイト、書籍)


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