出産の痛みは○○くらい痛い

これ、経産婦あるあるだと思うんだけど。
「出産て、どれくらい痛いの?」って聞かれる。

実際、わたしも息子を妊娠中、実母をはじめ職場の人やら友達やら、とにかく子供産んだことある人ー!教えて教えて!って。思いつく人みんなに出産の痛みについて聞きまくった。
聞いたところで痛みがやわらぐわけではないのは知っているけど、心の準備というか、こんな根性なしなわたしでも耐えられますかね?っていう不安を少しでも払拭したいと思って。

聞くと、たいていみんなちょっと悩む。それから「鼻からスイカが出るくらい」とか「ひどい便秘みたいな感じ」って、あー聞いたことあるなーな例えをするの。出産て、ひとりひとり違うはずなのに、なぜかみんなその痛みについては同じような言葉で語る。似たような感覚、だとしても、「自分自身の言葉」を使って例えようとする人があまりにいない。

でさ。ここからちょっとホラーなんだけど。
絶対に生涯いちの痛みだよね?っていう、どう考えたってマイベストだよねっていう、その「出産の痛み」について話すとき、みんな同じように、最後にこう言う。

「でも、忘れちゃったなー。」

うっかりさんかよ!
人間から人間が出てくるんだぞ!その痛みが忘れられるわけないなんてことは、産んだことなくても簡単に想像できるわ!って言うか、忘れんな!その子をお腹痛めて産んだことを忘れてくれんな!

だけどこれ、老いも若きも。たぶん、リアルに出産の痛みについて語れるのは新生児ママさんくらいじゃないかと思うんだよ。

そう、忘れるの。
出産の痛みって、忘れちゃうの。

わたしもすっかり忘れた。
分娩中は「死ぬうううううう!」って絶叫して、助産師さんに「死なへん!」って全力ツッコミされたわたしなのに。あまりの陣痛のつらさに脳内草野マサムネに「空も飛べるはず〜」って歌われて、ああ、そうね、わたしトんでるよねって泣いてたわたしなのに。

忘れた。

そりゃもちろん、痛かった。神経ぶっこわれてると思った。でも、めちゃくちゃ痛かったってことは覚えてるけど、それが具体的にどれだけ痛かったかっていうのは覚えてない。

何なら、数日後にお乳が張ったとき「痛すぎる。出産より痛い」って口走ってた。そんなわけねーのに。つーか、だれか言っといてよ。産後はお乳やらおまたやら、筋肉痛やらで体中痛みのオンパレードだし、細切れ睡眠で精神力まで削り取られまっせって。むしろ産んだ後のほうが体のトラブルが多いんだぞ⭐︎って。

でもまー、冷静になってみれば。やっぱりわたしの人生のベストオブ痛みは出産ではあった。それはゆるぎない事実なんだけど、いまいち具体的な痛みが思い出せない。「ひどい便秘みたいな感じ」って言ってた人いたけど、あれわかるなーとかそんな感じ。そんな程度。

で、結局。
「出産て、どれくらい痛いの?」って質問に対して、わたしはいつも「忘れるくらい痛い」って答えてる。無意識に記憶から削除されるくらい痛い。どれだけ痛かったか思い出せないくらい痛い。たぶん痛すぎて、強制的に忘れさせられる。

いや、もう恐怖体験でしょ。記憶の扉閉ざさざるを得ないって。
どんだけやばいの出産の痛み。

無痛分娩できるチャンスがある人はどしどしすればいいよ。わたしはやったことないから知らないけど、それはそれで麻酔のタイミングがどうのこうのとか大変は大変らしいけど。出産の痛みなんて、別に経験しなくていいことだと思う。
だって、どーせ、忘れるし。


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