息子が一人称を「オレ」に改めた話
これは数ヶ月前のはなし。
そのときは、ある日突然、訪れた。
息子の予期せぬ発言に、わたしは耳を疑った。
「オレはねー、」
え、いま何て言った?何て言ったの?
オ・レ?
む、
むむむ、息子が!!わたしのきゃわゆい息子たんが!!
ずっと一人称「◯◯くん」だった、あの息子たんが!!
オレって、オレって!!オレって言ったあああああ!!!!!!
息子が突然、一人称を「オレ」に改めた。
いいのいいの、別に。自分のことなんて好きに呼べば。
こっちなんて息子本人の承諾なしに名付けて役所にまで届けてるんだから。
そのくせ、勝手なあだ名まで付けて自由に呼んじゃってるんだから。
本人が本人のことどんな風に呼ぼうとまったくかまわない。
んだけどさ。
気になるよね。
おいおい、どうした、何があったよって。
どんな心境の変化なんだよって。
わたしはこういう好奇心が抑えられないので、息子にずばり聞く。
「どうして自分のこと、オレって言うの?」
「だってさ、かっこいいでしょ」
ひゅー!!
「シンカリオンの子たちはみんな自分のこと、オレって言うんだよ」
シンカリオンだ。
息子に心変わりさせたのは、シンカリオンだ。
あいつらがかっこいいせいで、息子もかっこよくなりたがっている。
人間は、こんな幼い頃から自己演出をはじめるんだなあ。
憧れの対象があって、自分もそんな風になりたいと思って。
そのために、真似をすることからはじめる。
めちゃくちゃ正攻法!!!!
息子が「オレ」呼びをはじめて数ヶ月、
最初の頃は「◯◯くん」と言うことのほうが多かったけれど、
最近ではすっかり「オレ」が当たり前のようになっている。
それでも時々、「◯◯く…あ、…オレはさー、」みたいのがあって、
これがめちゃくちゃかわいくて最高だ。
無理してる。無理してかっこよくなろうとしてる。
かっこいい「オレ」になろうとしてる。努力家!!
そんな息子を見ていて思う。
なりたい自分に、なれるといいね。
だれに教わったわけでもないのに、憧れる「自分」に向かって歩き出した息子。
わざわざ「オレ」なんて言わなくても、それだけでかっこいい。
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