抽象度コントロール
抽象度を上げる
ここ数年、抽象度についてよく耳にするようになりました。
「抽象度を上げろ」みたいな話を聞いたことはありませんか?
抽象度の抽象とは、「この文章、ちょっと抽象的でわかりにくいですね」といった表現で使われる、みなさんもよくご存知のあの抽象です。
辞書によると、抽象とは ” 事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること ” だそうです。
この説明だとよくわかりませんが、簡単に言うと ” 本質 ” です。
なので、抽象度を上げるとは、本質を捉えるということになります。
なお、反対語は具体です。こちらも皆さんご存知のとおり。
意味は「物事が、直接に知覚され認識されうる形や内容を備えていること」です。この説明もよくわかりませんねw
抽象度を箱根駅伝の応援で例えてみる
さて、抽象度を季節柄、箱根駅伝の応援で例えてみます。
みなさんは箱根駅伝を見ましたか?私はテレビでちょこちょこ見ていました。青山学院が優勝するのかが気になって。
で、見た方への質問ですが、あなたはどうして箱根駅伝を見たのでしょうか?
好きな選手、監督が出ていたから?
母校が出ていたから?
駅伝が好きだから?
陸上競技が好きだから?
スポーツ全般が好きだから?
いろんな理由があると思いますが、これを抽象、具体のイメージに落とし込むとこうなります。
スポーツが好きだからといって箱根駅伝を見るというのはなかなか理解しづらいですよね?つまり、それだけ抽象的だということです。一方、原監督が好きだから箱根駅伝を見るというのは相当ピンポイントです。つまり、それだけ具体的だということです。
上にいくほど抽象的なものに、下にいくほど具体的なものになっていきます。そして、下から上に視点を上げていくことを『抽象度を上げる』といいます。
どちらかというと、抽象度を上げることのほうがよく注目されますが、実際は上げる能力だけでなく、下げる能力も必要です。つまり、上下の行き来をコントロールできるとベストです。
ベガルタが好きなのか、サッカーが好きなのか
スポーツ続きでちょっとアレですが、サッカーでも同じことが言えます。
例えばベガルタ仙台(すみません、仙台の人間なもので)。
ベガルタ仙台は2017年、12位でシーズンを終えました。
で、2017年シーズン優勝チームの鹿島アントラーズには2回対戦して全敗(1-4、0-2)しているんですね。
ホームでも負けちゃうなんて...... ベガルタサポーターは相当悔しかったはず。
でも、その鹿島が2018年にAFCチャンピオンズリーグ(アジアのチャンピオンを決める大会)やクラブワールドカップ(世界チャンピオンを決める大会)に出場するとなったら、ベガルタサポーターでも鹿島を応援してしまうんですね。不思議です。
これは都市から、国家レベルにベガルタサポーターの抽象度が上がったことを意味します。
その後、鹿島はクラブワールドカップの準決勝で敗退してしまい、スペインのレアル・マドリードとUAEのアル・アインが決勝を戦ったのですが、そうすると今度はレアル・マドリードやアル・アインを応援するんですね(数日前まで鹿島を応援してたじゃん!)
元々ベガルタのサポーターである彼らですが、もう仙台も日本も飛び越えて「世界のサッカーすげえ!」「サッカーは世界の共通言語!Love&Peace!」 とか言ってるわけですよ。
これも抽象度が上がっているということを意味します。
抽象度コントロールのメリット
抽象度をコントロールする能力があると何が良いかというと、
①論理的に考えられる
②他のことに応用できる
③精神的に安定する
ようになるんですね。
①論理的に考えられる
論理的思考は事象と根拠を上流下流に行き来しながら整理していく思考方法ですから (ロジックツリーなどは特に) 、抽象度コントロールと非常に相性がいいです。
手段と目的が逆転する傾向にある人や、枝葉末節にこだわる人、あと性格がネチッこい人(笑)は、抽象度をコントロールする能力が低いかもしれませんので、意識して抽象度をコントロールするように心がけましょう。
②他のことに応用できる
最近、私の同僚Tさんが中小企業診断士試験に受かりました。
一般的に、合格するまで数年かかる難しい試験ですが、彼は1年目の受験で合格しました。
しかも受験勉強に費やした時間はなんと300~400時間とのこと。
1,000時間の学習が合格の目安と言われているので(出所:TAC、スタディング)、相当な短さです。
で、恐らく、彼って抽象度を上げる能力が高いんですね。
どうしてそのように思うのかというと、彼、有名国立大を出てたり、業務の習得もものすごく早かったりするんです。
つまり、どう勉強すれば効率よく合格できるか、本質的なところを知っているんじゃないかと思うんです(羨望)
③精神的に安定する
誰にでも上司に叱られて落ちこんだ経験があると思うのですが、抽象度をコントロールできると落ち込みにくくなったり、メンタルが回復しやすくなります。
ミスについて叱られるっていうのは具体事象です。他の部分で褒められたり、実績を残していたりして、トータルで成果を上げられているのであれば、あまり気にする必要はありません。
もしくは、自分のキャリア形成において叱られるのも必要な要素だと認識していれば、むしろポジティブに捉えられるはずです(これ、なんかブラックな感じがしますね......)。
先述のベガルタの例も同様です。ベガルタが鹿島に負けてショックではあるものの、抽象度を上げることで悔しさや悲しみを昇華させているわけですね。
業務の抽象度をコントロールする
さて、日々の仕事にこの抽象度コントロールを取り入れることを考えていきます。まあスポーツ応援と同様です。
皆さん、日々割り当てられた業務に従事していると思いますが、単に言われたことをこなすだけではなく、その本質を理解するよう務めると、より良いビジネス・より良いキャリアが実現するのではないかと思います。
私の場合、経営コンサルティングに携わっているので、経営コンサルティングを例に抽象度を上げてみます。
Aという企業にコンサルティングするということは、抽象度を上げると、Xという産業を発展させることにつながります。
X産業の発展は仙台地域の競争力のアップ(私の職場全体のミッションです)につながります。
仙台地域の競争力アップは、東北の競争力アップにつながり、ひいては日本の国際競争力のアップにつながります。
簡単にいうと、このような感じです。
ちょっとスケールが大きくなりましたが、できるだけ自分の業務を抽象化して、組織のミッションや自身のキャリア思想とのつながりを考えるようにしましょう。自身の業務と組織のミッションを抽象度を軸にリンクさせると、目的がクリアになって、日々の働き方も変わってきます。
なお余談ですが、組織内でセクショナリズムが問題になることがありますが、これも部署に固執せず、抽象度を上げて組織全体のこととして課題を捉えることで解消することが可能です(理論上は。抽象度を上げられない人が組織内にいると議論にならないので、実際には解決が難しいです)
コントロール能力を身につける
では、抽象度をコントロールするにはどのようにすれば良いのでしょうか。
答えは簡単で、
・今、自分がどのレベルの抽象度にフォーカスしているのかを客観視する
・現レベルから上げるとどうなるか、下げるとどうなるかを考える
・普段から意識して、抽象度を上げ下げする訓練をする
ことです。
訓練は業務に限らず、身の回りのいろんなものを対象にすれば良いと思います。
「今、食べているハーゲンダッツきなこ味の抽象度を上げるとどうなるだろうか?きなこ味が好き→いや、ハーゲンダッツ自体が好きなんだ→いや、アイス全般が好き→っていうかお菓子が好き…...」のようなことを延々と繰り返します。
たくさん訓練して、「これは抽象度が高いマターですねー」とか「むしろこれは抽象度を下げたほうがマッチベターじゃないですか?」とかドヤ顔で言えるようになりましょうw
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