短歌 「頑張るからね」


しーちゃんは旅に出たからばあちゃんにべっぴんさんとして会いに行く

誰そ彼と笑いかけられて仕方なく骨に働く白い褶曲

ガーゴイル六階の窓の十センチ先の天気を教えておくれ

病院でトイレを借りた怖かった何も残してならぬ気がした

すたすたと廊下前だけ見て歩く過去に荷物は置いてきたから

カタカナの名前の人が青色のポロシャツを着て働いている

スイッチで動く人形サヨナラの周期を規則的観測す

エレベータ扉の閉まるのを待って鏡に映れば世の人になる

また同じ嘘を重ねて帰るとき自分を一枚剥がして貼った

「頑張って」では返せない持ち帰り捨てられもしない「頑張るからね」

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