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2-2* ツライ

恋愛はジェットコースターとは言い当て妙だこと。
ピークを境に一気に急降下。登るまでは心臓がうるさくて遅いのに、落ちるのは静かで早い。

キスに浮かれた私を横目に、彼とのスケジュールは真っ白。
その時間が彼を覚めさせたのか、それとも...

「あのさぁ、Oさんに指示したら?」
呆れたような、苛立っているような嫌な雰囲気と表情でIが言う。
スーパーのレジを担当しているとはいえ、仕事はレジを打つだけじゃない。
レジの当日のシフトが貼ってあるバインダーを回収して明日のシフトを貼ったり、指を湿らせるためのタオルを洗濯して干したり、ゴミを回収したり。そして、バック業務。難しくはなくとも、他の仕事だってある。
シフトは19時頃。タオルは20時頃。ゴミは20時半頃。
私よりあとに入ってきた子には仕事内容も時間も伝えて、徐々にしてみてねって。
もちろん、後輩のOちゃんにだって、そう。

伝えた時間通りに私は動く。それが、見ていて気になったらしい。
わかったよ、と答えて、その日のバイトは終わり。
家に帰ってから、Iの、私の嫌いな表情が頭にこびりついていて思わずLINEをした。
『指示するのって、バインダーとかタオルとかで合ってますか?』
『指示ってのはちょっと違うけど、そうだね』
ここまでだったら、良かったんだ。

『ずっとレジしてると疲れるから』
つまり、Oちゃんを心配しての発言か。
そのつもりはないとしても、私を気にかけてならば、言い方があるでしょう。
言うくらいなら自分でしたらいいやんって思うからあまり言ってなかった、とか どちらでも良いと言われたら?とかかわいくないこと、返信すると彼はなぜか諭すように返信。それで、終わり。

それからのバイトはIの様子をうかがいながら、出勤時間の早い順番にレジ以外の仕事を回していく。
Iの言葉を思い出す度に、自分で指示して回せ!と心で舌打ち。

私がもっと大人だったら、Iにも回すべきだったんだろう。
私は彼を避けるようになっていた。