かつてのヨーロッパで栄えたケルト民族

1 時はさかのぼること

紀元前335年ーー
ある夏の午後、アレクサンダー大王はスキタイ族との争いを終え、
ドナウ川のほとりで休んでいた。
そのとき見知らぬ人たちが彼のキャンプに近づいてきた。

大王はこれまでこんなにも背が高く、どう猛な顔立ちをしながら、
大きな黄金の首飾りや色とりどりのマントを身にまとう兵士たちを見たことがなかった。
驚いた大王は彼らを宴に招待した。

ーー宴のとき。
彼らは誇らしげに「俺たちはアルプスから来たケルト人なんだ」と言った。

アレクサンダー大王は、自分の名前を口にするだろうという期待を抱きながら「世界で一番こわいものは何だ」と尋ねた。
そうすると彼らは笑って、怖いものなど何もないと言った。
(これはぴえん案件。。まさに"ピエン大王"🥺🥺)

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2 ケルトの姿

これは古代ケルト民族に関する最も古い物語の一つである。

現代の私たちは初期のケルト民族がどこから来たのか分からないが、
アレクサンドロス時代(紀元前356~373年)まで 彼らの領土は、東は小アジアからスペイン・西はイギリスとアイルランドの大西洋の島々まで、
ヨーロッパ全土に広がっていた。

ケルトは統一された帝国ではなく、都市やモニュメントはなかった。
(この点はエジプトとは違っているなぁと思ったり)
代わり彼らには同じ言語を話す何百もの独立した部族があり、それぞれの
部族には武王がいて宗教的な施設も持っていた。

それぞれの部族はまるで敵と戦っているかのように熾烈に争ったため、
彼らを恐れてか、立ち向かえる敵は周りにほとんどいなかった。

彼らはこの時代にしては珍しく、生まれ変わりや輪廻転生を信じていた。
生きてごちそうを食べ、戦うために地球にふたたび生まれてくると信じていたことは、彼らが大胆に戦うことに貢献していたにちがいない。

彼らの中には裸で戦う者もいて、鎧を着ている敵を嘲笑った。
ケルト戦士が持つことができる偉大なトロフィーは敵の切断された頭部だった。彼らはその頭部をシダーオイルの瓶に入れて保存し、家に招待した客人たちに自慢げに披露した。(おお、、映画の世界)

諸外国の王たちは軍隊に仕える傭兵としてケルト人を頻繁に雇った。そんな古代世界において、ケルト戦士たちは高く評価されていた。

しかしケルト民族はただの戦士以上の存在だった。
彼らの間には熟練した職人や芸術家・吟遊詩人と呼ばれる偉大な詩人たちがたくさんいた。吟遊詩人たちは先祖の勇敢な功績をうたい、武王の実績を称えた。そして臆病であったり利己的なリーダーたちは痛烈に風刺された。

ケルト民族は多くの神々を崇拝し、ドルイドと呼ばれる神官がこの礼拝を取り仕切った。このドルイドには誰でもなることができたが、何年も勉強する忍耐力と暗記する力が求められた。
というのも ドルイドは自分たちの教えのいかなることも、書いて記録することが許されていなかったのだ。(今の司法試験より厳しい)

ドルイドは宗教的な慣習と神々への生け贄を管理しており、同時に彼らは教師でもあり、医師・裁判官・科学者でもあった。
そして何よりも 争っている部族の仲裁に立ち、闘いの終止符を打てるほど彼らは非常に尊敬されていた。

ドルイドを傷つけようと企んだり、彼らの決断に疑問を呈したりするケルト人は誰ひとりとしていなかった。

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3 ローマの侵略

そして紀元前2世紀。

ローマ人はケルト領域への侵略を始め、北イタリアの部族は征服された。
ケルト人はこの敗北を受けてローマ軍に対抗して団結するのではなく、むしろ部族間の分裂を維持した。
その後すぐ、スペインの部族たちはローマの手に落ちた。

紀元前1世紀、ジュリアス・シーザー(カエサル)は部族を互いに敵に回すために賄賂や脅し、嘘を使いながらフランス全土に軍隊を進めさせた。
(倍返しされそうな手口🤗笑)

この大規模な戦争が終わりかけのころ、ケルト人はウェルキンゲトリクス王指導のもと共通の敵(ローマ)に対抗して初めて団結したが、
時はすでに遅かった。

ローマがフランスに侵攻したとき数えきれない戦士と彼らの家族は死に、
奴隷にされた。

周囲の海によって守られていたためブリテン島(イギリスとアイルランド)のケルト部族は最後まで生き残った。
ついにローマがブリテンに侵攻したとき、ブーティカは夫が殺されたあとの反乱で部隊をまとめあげた。

彼女は敵への最後の闘いを率いて死ぬ前に、ローマ人をブリテンから一掃させることにほぼ成功していた。そして1世紀末まで、アイルランドだけがローマに征服されずに遠く離れた海に残っていた。

ローマが廃墟と化した後も、そこには外の世界から影響を受けなかった古代ケルト民族の生き方が残っている。


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《ひとこと》

TED ed「ケルト戦士の繁栄と滅亡」の日本語翻訳です。
意訳した箇所もありますが、読みやすい文章を心掛けました😊

ローマ帝国がヨーロッパで繁栄する前に、どんな民族や文化があったのか興味があったのでこちらを選びました。
ファイナルファンタジーからハリーポッターまで、今も多くのエンターテインメントに影響を与える「ケルト」民族やその神話たち。
私たちが抱いている妖精のイメージも、元はケルト由来なんだとか。

歴史は奥が深いですね。翻訳するの楽しかったです🥰