【Preview】2018年J1第34節 川崎フロンターレVS.ジュビロ磐田「川崎、磐田、そして谷口。気になる3つの行方」

 2018年J1第34節の川崎フロンターレは、ホームでジュビロ磐田戦です。

川崎は完全優勝なるか
 前節は2-0で多摩川クラシコに勝利し、いよいよホーム等々力で2018年J1リーグ最終節に臨みます。開幕戦が磐田戦だったので、磐田に始まり磐田に終わる2018年シーズンですね。この試合はアウェイで連覇を決めた川崎の凱旋試合となります。優勝を決めた川崎としては来季に向けた試合をするとともに、”完全優勝”を目指します。勝ち点1位に加えて最多得点と最少失点の記録にも期待がかかります。失点は2位FC東京と5差で安全圏なのに対し、得点は横浜F.マリノスと55点で並んでおり、横浜よりも得点が求められる状況です。どちらにせよ、サポーターに勝利を届けて有終の美を飾りたいところ。
 優勝記念グッズの先行販売も行われるようです。魅力的なグッズがたくさん売り出されていて、財布の紐を締めて行かないと全部買っちゃいそうです。さらに中村蕪仙人グッズも売り出されるようです。これは先日の誕生日での「だれも到達したことのないところまで行きたい。もっともっとサッカーのことを知りたいと思っている。長老の上となれば、仙人かなって」という中村本人の発言を受け、勢いで作られたグッズです。ちょっとしたことでもスピーディーに展開する川崎フロンターレが僕は好きです。こちらも注目、詳しくは公式HPをチェック!

磐田は残留なるか
 磐田はまさか最終節まで残留が決まっていないとは思っていなかったでしょう。31節終了時には16位と勝ち点差が6もあったにもかかわらず、そこから1分1敗で勝ち点を伸ばせず。ほかのチームの粘りもあって再び崖っぷちに立っています。とはいえ状況としては引き分け以上で自力残留が決められる状況にあることは幸いでしょうか(詳しい残留条件はこちら)。
 J1参入プレーオフへの出場可能性の残る磐田はここ2試合勝ちがなく、しかもどちらも無得点で終わっており、チーム状況はあまり良くないでしょう。古巣川崎との対戦を前に大久保は「(川崎の)サブが出てきても、このままではやられる」と述べ、危機に陥っているチーム状況を感じさせます。
 今年の磐田は昨年J1最少失点(30失点)の面影はなく、ここまで46失点でリーグ12位の成績です。ただしチャンス自体は作らせておらず、被チャンス構築率は9.6%でリーグ5位の低さを誇ります。問題は打たれると入ってしまう点で、被シュート成功率は11.8%で17位と、守護神カミンスキーがいるにもかかわらずこの数字というのは不思議です。その原因の一つは失点の34.8%を占めるセットプレーです。セットプレーで確度の高いシュートを打たれていることが、全体の被シュート成功率を上げてしまっているのでしょう。
 攻撃面ではシュート成功率の低さが得点の少なさに直結しており、現在7.6%でリーグ16位の成績です。チーム得点王(11点)の川又は15.5%と良い数字を残しているものの、それに続く選手がいないのが磐田の悩みの種でしょう。救世主として獲得した大久保も加入後16試合で2得点と低調が続いています。シュート成功率は7.4%で、3年連続得点王の時で18.8%だったことと比べると物足りない数字です。古巣対戦ということで、FC東京移籍時に川崎相手に得点を決めた大久保の恩返し弾が再び炸裂するのかに注目です。
 興味深いのが、ラスト15分(ロスタイム含む)に得点失点がともに多く、ドラマチックなチームだという点です。たしかに劇的ゴールの後に選手たちが名波監督に走り寄るシーンが印象的です。ただし得点に限らず失点も多いのが特徴で、データとしては34得点中15点、46失点中12点がこの時間帯に生まれており、最後までどちらに転ぶかわからない試合展開が予想されます。

谷口はMVPなるか
 さて今年最後の試合に臨む川崎ですが、二人の選手に期待したいと思います。まずは前節スタメン起用に見事応えた長谷川です。今年チラチラと見られたゴールの臭いのするところに顔を出す動きで今季初ゴールを決めました。前節レビューでも書きましたが、長谷川にとっては苦しいシーズンだったと思います。それでもリーグ終盤まで腐らずトレーニングしてきた結果が、ようやく身を結びました。
 来季に向けて長谷川は必要な戦力ですが、そのために克服すべき点がいくつかあり、その一つが守備です。攻撃に関しては改善が見られましたが、守備に関してはまだ阿部や登里の安定感には劣る印象を受けました。守備の際の視野が少し狭く、味方の位置を把握できずにプレーをしてしまっているため、守備時のポジショニングがずれてしまっています。そのためSB車屋の窮屈そうなプレーが散見されました。対人守備自体は鬼木監督の求める最低限には達していると思うので、守備時のポジショニングに改善が見られれば、来年の主力として計算できるでしょう。ぜひとも鬼木監督にアピールをして欲しいです。
 二人目は谷口、彼はここまでリーグ戦全試合フル出場という鉄人っぷりを発揮しています。しかも2年連続です。正直MVPに選ばれてもおかしくないです。今年の川崎は全員がバランス良く活躍していることもあり、MVP本命が見えにくいです。巷では家長が有力視されていて、全試合見てきたましたが、たしかに昨年を超える活躍だったと思います。ただ現在6ゴール7アシストと数字が少し物足りず、その点で本命になりきれていないのでしょう。
 本命なき競争ゆえに、谷口にも十分にMVP獲得のチャンスがあるのですが、やはりそのためには何らかの数字が必要です。DFとしてそこが難しいのですが、リーグ最少失点チームのCB、そしてフル出場、さらに副キャプテンで優勝シャーレを掲げた絵もあり、これらの客観的根拠にプレー評価が加わればわりと本命なのでは?って気もします。ただ懸念として谷口実はMF登録されており、その実際と登録のギャップがどこまで影響するのかは気になるところです。いずれにせよDFが獲得すれば2006年の闘莉王以来の快挙です。最終戦もDFリーダーとして無失点でビシッと締めてもらいたいです。

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