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【小説】フラッシュバックデイズ 1話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

1話 草との出会い

2000年代初頭。
俺は神戸の山奥の大学の近くにマンションを借りて一人暮らしをしていた。
友人ができず、大学に馴染めず、入学半年で授業には行かなくなり、バンドサークルの練習に大学に行くくらいだった。
唯一の居場所である、バンドサークルも居心地はよかったが、見た目がダサいやつが多くて、一緒につるむ気にはなれなかった。
その当時の俺は数冊のファッション雑誌を熟読するほど、服や見た目にこだわっていたので見た目がダサいやつとは友人になりたくなった。

ある日、バンドサークルに入部希望のダイサクが訪ねてきた。
ダイサクはタメにもかかわらず、長髪で仙人のようにヒゲを蓄え、舌、鼻、耳はピアスだらけ、全身US古着の風貌で異彩を放っていた。
大学に入って初めて友達になりたいと思ったヤツだった。
おそらく最初はダイサクはウザかったはずだが、俺は友達になろうと猛アピールし、なんとか家に行き来する仲になる。

俺は数冊のファッション雑誌加えて「BURST」という雑誌を購読していた。
「BURST」にはドラッグやタトゥー、ピアス、サブカルの情報が溢れていた。ドラッグ未経験の俺には衝撃的内容で、ドラッグに対する興味は日に日に増していった。
ドラッグに対する興味が爆発し、遂に動き出そうとした時にはキノコが数か月前に販売が禁止になってしまっていた。

興味はあるが手に入るツテは全くなかった。
途方に暮れ、もしかしてと思い、ダイサクに打ち明けると
「草入るよ、今度入ったら連絡する」
ダイサクがさらにかっこよく見えた。

それから数日か数週間かは忘れたがダイサクの連絡が待ち遠しく、「BURST」を熟読しながら期待に胸を躍らしていた。

そして遂にダイサクから連絡が来た。
ダイサクの高校時代からの友人のスー君の家に呼び出された。
スー君はダイサクの家で数回会った事がある程度だったがダイサクとは真反対の長髪のさわやか系の風貌でいつもニコニコしていてとても感じが良かった。
ダイサクが言うには、草は自分達の身内だけで楽しみ、決して他人に売ったりすることはしないと決めているそうだ。
本当は売ってほしかったが、確かにそれが一番安全だと思った。

そして吸う前にセッティングが大事だという事も教えてもらった。
バッドトリップをしないように、精神的に落ち込んでいるときはやめた方が良いということ、一緒に吸う相手も重要で、気心しれないヤツと吸うのはよくないので、ダイサクとスー君を信頼して欲しいと言われた。

その時は早く吸ってみたいというう気持ちが強く、よくわからなかったが、後になって思った事だが、ダイサクは俺の為に見慣れているダイサクの部屋よりも、トリップに適したスー君の部屋を選んでくれていたりと、ファーストスモークの俺にかなり気を使ってくれていたのだと思った。

目の間には初めて見たガラス製の巨大ボング。
ボングの筒に斜めに差し込まれた出っ張った部分の先に独特の匂いのするバッズが詰まれて、これが本物の草かと感動しつつ、
指示されるがままに、親指でボングの穴を塞ぎ、ボングに口をつけ、
ダイサクが火をつけた瞬間に「吸って」と言われ、
吸い込むとボコボコと音を立て煙が上がってくるのが見える。

煙はすぐに吐き出さず、できるだけ肺に溜めるようにいわれたので、
できるだけ我慢していたが、限界に感じ吐き出した瞬間、発作のようにむせてしまう。二人は笑っていてかなり恥ずかしかったが、馬鹿にする感じの笑い方ではなかった。

コーヒーをのんで、なんとか咳が落ち着くと、既にダイサクがポコポコ音を立てて吸い、軽くむせていた、スー君は俺と同じくらいむせていたので、なんだかほっとした。
「どう?どんな感じ?」
効いているのがすぐにわかった。
「効いてきた!」
ボングを囲んでいた二人との距離感が若干遠く感じて、体の芯から暖かくなるように感じた。
胡坐をかきながら頭をぐるぐる回している?ように感じているだけなのかがわからなくなってくる。
気にもしていなかった音がやたらと立体的に聞こえてくる。
「ブリブリ?」
「BURST」でブリブリがどのような状態を指す言葉かは分かっていたが、
そのことを知らなくても答えれたような気がする。
「うん、ブリブリ!」
二人は笑った。先程と同じく、馬鹿にする感じの笑い方ではなく、
喜んでくれているような笑い方だった。
いつものマルボロがものすごくうまく感じた。
煙が喉を通り、肺に吸収され、吐き出されるのを感じた。
買ってきておいた方が良いといわれたジュース、コーヒー、チョコレート菓子、ポテチがいつもの100倍美味かった。
グルメリポートがいまならできそうな感じがした。
俺が事あるごとに「すげー」「うめー」と感動していると、二人は「よかった」と言ってくれ、もう一服と勧めてくれた。

二人はCDをいろいろ聞かせてくれた。
俺がいつも聞いているレッチリやコーンはギター、ベース、ドラムがそれぞれ分かれて聞こえ、グルーブというものがどういうことか分かった気がした。
普段は毛嫌いしていた電気グルーヴが素面で聞く音楽じゃないことも分かった気がした。
二人が良く行っているというクラブのサイケデリックトランスのラジャラム、1200マイクログラムを聞くときにはライトを消し、ブラックライトをつけてくれた。

音楽と相まってかなり持っていかれた。ぶっ飛ぶとはこういう事か。
スー君の部屋の壁はグレーの卵の紙製パックで敷き詰められていて、なんか理由が分かる気がした。

さらに一服するとダイサクが「コンビニ行こう」と言い出した。
俺は正直こんな状態で外に出ても大丈夫か?と不安だったが、二人についていくほかなかった。
VANSのスリッポンを履いてきて正解だった。
こんな時にコンバースの紐は無理だ。
降りる階段がやたら長く感じた。
「階段長くない?今何階?」「わからん」

爆笑した。どうやら笑い上戸にもなるようだ。

とにかく外に出てからは平静を装うのに必死だった。
二人は平気そうだ。
コンビニがいつもより眩しく感じた。
なんとかコンビニでタバコと飲み物、おやつを買う事ができた。
スー君の部屋に戻って、朝方まで遊んだ。

本当に楽しい夜で二人のセッティングのおかげで、記念すべきファーストスモークはグッドトリップになった。この時の感動は今でも覚えている。

スー君の部屋を出ると外はもう明るかった。
まだ草の効果の余韻が残っていたので、1キロもない距離だが、いつもよりかなり慎重にバイクを走らせる。

家に帰り鏡を見ると目は真っ赤だった。
この日から俺とドラッグの青春の日々が始まる。

つづく

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ボング

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定番の?ブラックライト。

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2022現在も現役のRAJARAM爺。

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何かしらキマッてるときはスリッポン最強です。

キャプチャ


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