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【小説】フラッシュバックデイズ 8話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

8話 玉の代償

なんだか最近気持ちが落ち込んでいる気がした。
クラブ通いを覚えて半年程だろうか。
ほぼ毎週のようにクラブで玉を摂取していた。
知り合いは増えたが、週末限定の友人だ。
ダイサクは彼女が出来たらしく、スー君は大学とバイトで忙しそうだ。
俺には2人の他に、腹を割って話せる友人はいなかった。
バイトの時間以外は何もする気が起きず、家で草を吸うくらいしかなかった。
草を吸ってもおろそかにしていた現実が重くのしかかる。
大学にはしばらく行っていない。
もはや今から単位を挽回し、卒業できる気がしなかった。
単位が取れていないことをどうやって言い訳しようか
盆も正月も実家には帰っていない。合わせる顔がない。
ただただ親に申し訳ない気持ちが増えていった。

高校時代からの付き合いの彼女に「最近あまり喋らないようになったね」と言われた。どちらかというとおしゃべりな方だったが、ドラッグの影響なのか、一人でいる時間が長くなった為だろうか、俺は口数が減ったらしい。
彼女は俺がドラッグにハマっていることを知らない。
クラブに通っている事は知っており、俺の浮気の心配とクラブへ行ったことのない興味で私も連れて行って欲しいと何度も懇願されていたが、色々理由をつけて断っていた。
もちろん、彼女と一緒にドラッグを共有したい願望はあったが、
俺は汚れ知らずの彼女をドラッグの世界に引き込む事だけはしないと決めていた。

無気力な日々はさらに深刻になり、彼女とのデートも断る事が多くなる。
そんな折、彼女の誕生日をすっぽかしてしまい、彼女の俺に対する今までの不満が爆発した。
俺はおそらく大学は卒業できない。
彼女の求める人物にはなれないと思った。
このままでは彼女を幸せにはできない。
数日後、俺から別れを切り出した。

唯一の理解者を失った俺はさらに一人で過ごす時間が多くなり、
頭の中は一日中自分をさげすむような考えで回っていた。
自分の状況と似たような人がいないかと、インターネットに救いを求めると、どうやら自分は鬱病だということが分かった。
誰かがインターネットの掲示板に書き込んでた「玉は幸せの前借り」
という言葉が刺さった。
俺は幸せを前借りしすぎた。
仕送りをしてっている身分でありながら、ドラッグに溺れている。
もはや大学に行ける気はしない。親に申し訳ない。
高校からの彼女も失った。
もう死んでしまおうかとも思った。

まさにドン底だった。

俺は問題を一つでも減らそうと、頭の中で大半を占めていた大学を、
休学したいと、鬱であることを理由に親になんとか承諾を得た。

数日後、俺は久しぶりに大学に行き休学届を提出した。
大学内は俺が入学時に理想としていたキャンパスライフを楽しんでいる大学生で溢れていた。


つづく

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