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【小説】フラッシュバックデイズ 5話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

5話 MIXI、LSD初体験

週末が待ちきれなかった。
勿論クラブで玉を食って遊ぶ週末の事だ。

初クラブの時に知りあったファミレス朝食メンバー達はある種のサークルのようなグループだった。
ファミレス朝食メンバーは氷山の一角でその他に老若男女数十人規模で構成されるグループだった。
その当時流行していたMIXIというSNSの助けもあり、俺はいつしかこのグループの一員となっていた。

MIXIの優れていた点は、クラブではお互いキまっている状態ではまともに会話ができなかった人物とでもMIXIのニックネームさえ聞いておけば、煩わしい連絡先の交換などはせずとも、後日シラフになった状態でコミュケーションがとれた。共通の知り合いと誰かしらと繋がっていさえすれば向こうから連絡が来ることもあった。
「この前はどうも、改めてよろしく」みたいな感じだ。
もちろん、中にはクラブでは多いに仲良くなったにもかかわらず、MIXI上では疎遠になる人物もいたが、それでもMIXI上でのクラブ友達は雪だるま式に増えていった。
MIXIのおかげで、週末のパーティー情報には困らなかったし、何より嬉しかったのはドラッグの入手も容易になった事だ。

ダイサクに頼らずとも草や玉が手に入るようになり、ダイサクやスー君に振舞う事もあった。
「成長したな」とからかわれたが、この二人には感謝してもしきれない。
俺が今振舞えるようになったのはこの二人が俺を導いてくれたおかげだ。

ある日ダイサクとスー君が「インドに行ってくる」と言い出した。
サイケデリックトランスの聖地であるゴアに行くためだ。
正直俺も行きたかったが、そんな金はなかった為、泣く泣く断念した。
ダイサクはサイケデリックトランスを好むので、俺の属するどちらかといううと、テクノ好きの多い、大阪のグループの一員ではなかった。確かに最近はバイトばかりしていた。スー君も旅行資金の為バイトをしまくっていたそうだ。

突如ホームを失った俺だが、大阪のテクノグループに勧められるがままにクラブに毎週末出かけた。
毎週のようにクラブ通いをしていると自分の好きな音やDJが分かってくるようになった。
ドラッグの入手も容易になったことで、自分でも好みのDJ、好きなジャンルのパーティーがあれば一人でもクラブに行くようになった。
玉さえあれば友達なんてその場で見つけられる。

平日はバイト、帰って草を吸いながら、mixiで情報交換、週末はクラブで玉を食って遊ぶといったローテーションがしばらく続いたある日、電話が鳴った。
ダイサクとスー君が帰ってきた。
二人は見るからにインドから帰ってきましたといわんばかりの黒い肌になっていた。
土産話に俺は興奮した。
やはりダイサクの話は面白い。細かい描写が自分もインドという国を旅しているような気分になる。特に興味をそそられたのがゴアでのサイケデリックトランスパーティーでのLSDトリップ体験の話だ。
今まであまり意識していなかった、サイケデリック系のドラッグの代表格「LSD」。サイケデリック系のドラッグといえば視覚が変化する程度の合法ドラッグで肩透かしをくらった為、あまり良いイメージがなかった。
俺はダイサクの話を聞いて猛烈に紙を体験してみたくなった。

おれは早速入手しようとしたが、玉や草のように容易には入手できなかった。「今すぐはないが、今度聞いてみておく」といった返答がほとんどだった。今すぐにでも体験したい気持ちを抑え、LSDの体験談や書籍を読み漁り、期待を膨らませていた。

俺にLSDを届けてくれたのはやはりこの男、ダイサクだった。
アルミとサランラップで二重に包まれた包みを開けると、無地の紙片が現れた。1HIT毎にミシン目がついている。これがLSDか。
舌下に1HITの紙片を挟むと、やや厚手の紙片は若干苦みを感じたが匂いもなければ味もしない。ただの紙だっだ。本当にこんな物が効くのか不思議でならなかった。
効きを待つ間、ダイサクはサイケデリック系のドラッグは慣れが必要らしく、セッティングも草以上に重要で、最初は効かないかもしれないといっていた。
それは事前に読んだ書籍で知っていたが、これまでの待ちに待った時間と期待感が ダイサクの予想が当たらないことを祈った。

残念ながら、ダイサクの予想は当たってしまった。
一時間経ってもあまり変わった変化はなく、起爆剤になるかもと草を吸うも
正直合法ドラッグの方がマシな程、変化が現れず落胆した。
俺のLSD初体験は完全に肩透かしを食らった。
「最初は効かない人もいる、草だって最初は効いてるかわからない人もいるらしい」とダイサクになだめられた。

なんとか極上のLSD体験を経験したいと思っていた俺は、山奥で密かに行われるサイケデリックトランスのレイヴパーティーに行きたいと思っていた。しかし、ダイサク、スー君をはじめ、田舎から出てきている車のない大学生の俺達には叶わない願望だった。

しかし、ダイサクはサイケデリックトランスのクラブで知り合った、ギャル男君と最近トランスのレイブパーティーに良く出かけていた。
ギャル男君はクラブで見かけていたダイサクを同じ大学で見かけ、同じ学科に通っているという事が判明し、意気投合したらしい。ギャル男君は帰国子女で英語が喋れ、ヤクザとパイプがありドラッグの調達も出来、俺達にも定期的に玉を供給してくれていた。なおかつ車を持っているという文句のつけようのない最強の男だった。
俺も車にのせてもらいたかったが、ギャル男君、ギャル男君の彼女、ギャル男君の彼女の友達、ダイサクやらで定員オーバーになるため俺がその車に乗る事はかなわなかった。

俺は数週間後に開催される野外レイブフェスのチケットを買った。

つづく

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当時はこの本読んでました↓

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インドもう一回行きたいな~

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