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【小説】フラッシュバックデイズ 11話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

11話 アムステルダム旅行 前編

アムステルダムへと向かう飛行機の中で現在地を示すモニターを見つめていた。狭い座席での10時間以上のフライトは予想以上に堪えたが、あと数時間で着きそうだ。初めての海外旅行だった。姉のように慕う二人の旅に強引に連いていく形となったが、決して間違いの起らない男手は必要であろうと勝手な言い訳をしていた。
空港での出国手続き、両替等を終え、外に出ると、外は明るかった。冬のアムステルダムに到着した実感、、というよりもニコチンが完全に足りていない俺はとにかく喫煙所を探すことに必死だった。
異国の地に着いたと実感したのは空港から中心部分へと向かう電車に乗っているときだった。電車の窓から見える景色は明らかに日本と違う、いかにもヨーロッパの景観だった。俺は今海外にいる。

まずはホテルへと向かう為、中心街より手前の駅で降り、トラムという路面電車に乗り換える。当たり前だが、すべてがオランダ語だ。見慣れたアルファベットだが、英語と違いまったく読めなかった。
俺は姉達が何故中心街の近くにホテルをとらなかったのか不思議だった。
もちろんすべて手配してもらっているので文句は言えないので姉二人についていく他なかった。
部屋に入ると、大きなベッドが二つ、その横に少しグレードの低い仮設のベッドが一つ。
白を基調とした部屋の端はワインレッドの洒落たソファーが囲んでいる。
マリファナでくつろぐのにぴったりだ。この部屋はいい。
もちろん仮説のベッドは俺だろう。しかしそんなことはどうでもよい。
わざわざ中心街から離れたこのホテルの部屋にした理由がわかった。

荷物をおいて一息ついてから、コーヒーショップが密集しているダム広場のある中心街へ向かう為、外に出る。
日が少し傾き始めていた。
トラムの停留所で路面電車を待っているとベンチの下にマルボロの紙箱が落ちていた。
「ジョイント入ってたりして」「まさか~」
俺が紙箱を拾うと何か入ってる重さがした。
中にはタバコに紛れ、日本ではありえない太さのジョイントが入っていた。
3人は冗談かと思わんばかりに目を丸くして笑った。

路面電車に乗り、周りを見渡すと、今まであまり気にならなかったが、男女問わず、身長180以上の高身長ばかりだ。平均身長が世界一のオランダを実感した。一見普通に見えるが、皆マリファナ吸ってるんだろうなと考えながら、まるで大人の中に子供3人が紛れ込んだような路面電車はダム広場と言われる中心街に到着した。
中心街は意外にも高いビル等は目立たず、大都会という雰囲気ではなく、昔のままの雰囲気を残したようないかにもヨーロッパらしい雰囲気だった。
マリファナ関係なく観光に来ても値打ちがあるような景観に見とれていた。

初日の夜は観光は明日以降にし、マリファナと食料を買い込みホテルでゆっくりとする計画となった。
持参していたコーヒーショップMAPを頼りに、周りをキョロキョロしながら現在地を何度も確かめつつ、初めての街を3人で徘徊していた。
すでに日は落ち、暗くなり始めていたので人はまばらになり、閑散としつつあったので、本当にコーヒーショップがあるのか少し不安になっっていた。どこでもいいのでコーヒーショップに入りたかった。

するとポツンと灯りのついている店があった。一見するとこじんまりとした普通のカフェかレストランのようだった。MAPを確認すると間違いなくコーヒーショップのようだが、入口付近を塞ぐかのようにたむろしている地元の客達が観光客を受け付けない雰囲気を出していたので、何だか入りづらかった。
「なんか入りづらいな~」「近くに他の店ないんかな?」
二人も同意見だった。
もう一度MAPを確認すると、もう少し先にも数軒コーヒーショップがあるので、そちらを目指す事にした。
「なんか皆デカいから威圧感ないですか?」
「わかるわ~」「でかくてもキまるんやろな~」

しばらく歩くと、コーヒーショップを数軒ほど見つけた。
入口付近に人はいなかったが、どちらもやはり入りづらかったが、さんざん旅の手配をしてもらった姉二人に報いる為に、俺が先頭を切った。
足を踏み入れるのはかなりの勇気がいったが、ここまで来て、帰るわけにはいかない。
店の中は賑わっていた。マリファナの匂いがする。
店のテーブルはほとんど埋まっているように見える。
皆、楽しそうに話したり、くつろいでいるのが見えると、少し安心した。
店の奥に数段階段を挙がった少し人だかりのあるカウンターがあった。どうやらそこでマリファナが買えるようだ。
数組がカウンターに並んでいたので、その後方につける。
まるでバーカウンターのようだ。
カウンターの後ろでは数人のスタッフがタッパーから大きなバッズを取り出し、秤の上にのせているのが見えた。
俺達はあまりにも不自然な光景が自然と行われている光景に目を奪われていた。
俺達の番が回ってきた。
カウンターの上にはまるで酒のメニュー表のようなメニューが置かれていた。
メニュー表には「JOINT」 「WEED」「HASHISI」と大まかに区分され、その下にはそれぞれ銘柄がズラっと並んでいた。
サティバ/インディカの区別も分からず、知らない銘柄が多すぎて、感動よりもどれを選べば良いか混乱したのが正直な気持ちだった。
俺は店の名前を冠したジョイントと、見覚えのある銘柄を2グラムづつを
ジェスチャーと英語(と言って数字を言った程度)でなんとか購入できた。
姉二人も購入し、目的を達成した。
早速一服と思ったが、店の中を見渡すと満席だ。
そういえばマナーとしてドリンクを注文した方が良いと何かで読んだ気がするが、ドリンクを注文していない。
やはりアウェイ感は否めず、ここで一服する気にはなれなかった。
目的を達成した俺達はそのまま店を後にした。

外に出ると3人は少し興奮気味だった。
「普通に買えてしもたな」「この感覚やばいっすね」
「正直、緊張して適当に選んでしまったっす」
「そのまま出できて良かったんやろか?」
とにかく俺達はマリファナを買えた。

俺達がいるのはマリファナが合法の国、アムステルダムだ。

つづく

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