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トライアローグ 語らう20世紀アート

大好きなマグリットやキュビスムの作品が多く集結しているということだったので、愛知県美術館で開催中の展覧会へと足を運んだ。(2021年6月)
✣絵画の個人的な素人考察・感想です。

展覧会概要

 この展覧会は、横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館がそれぞれコレクションしてきた作品を一堂に会するというものだ。その中で、「20世紀西洋美術」という共通項を道しるべに構成を立てたそうだ。


ルネ・マグリット

【王様の美術館】
作品の前に対峙すると、とても大きいことが体感できた。近くでぼんやりと見つめていると絵の中に吸い込まれそうな感覚になった。
このタイトルは友人のルイ・スキュトネールが命名したそうだ。

風景の中に見える建物が、王様の美術館ならば、それはとてもわたしには寂しく映った。
薄ぼんやりしていて、ひっそりしている。王様の孤独な気持ちが森の中の美術館に詰まっているのか…(自分でも??笑)

それとも、この帽子の男の心の中を現しているのか…‥
そばにあるマイナスの隙間が空いている爆弾のような丸い物体も、なんだか意味深で気になる。

【真実の井戸】
絵の中心にぽっかり空いた空間がある……と思ったら、足だった。
キャプションによると、左足らしい。言われてみれば……。

でもタイトルを見ると【真実の井戸】
なんのこっちゃ……😲
でも、このなんのこっちゃ……な感じがだいすきなんだーー

図録には
“古代ギリシャの哲学者デモクリストの言葉とされることわざ「真実は井戸の中にある(=真実は見つけるのが難しい)」を想起させる。”
(142ページ)

と、あるので、真実を見つけたければ自分の足で見つけてこいよ!っていうことなのかな……と、こじつけ理解。笑


ポール・デルヴォー

【夜の汽車】
部屋の扉の向こうに唐突に汽車があるのかと思っていて、ん!?扉を開けたら異空間!かっこいい!と思ってたけど、図録には「駅の待合室」って書かれていて、そっか!笑 と。
18年ぶりに愛しい人(のちの妻・愛称タム)と再会した頃に描かれたものらしく、再び会えた嬉しさで『「タム」の王国』を画面に作り出して、「やった!また会えたよぉ!!」ってめちゃくちゃ嬉しかったのかなぁ、とか。


マックス・エルンスト

【ポーランドの騎士】

写真 2021-06-19 12 51 51

▲購入したポストカード

この作品もとても大きかった。
そして、青がすーーーごくきれいだった!印刷や画面ではどうしても再現は難しいけど、とにかく鮮やか&さわやかで、海の中に沈んでいるように見えた。不規則にできた潰れた痕の絵具の青が、海中の泡に見えて、なんとなく幻想的なような、ファンタジーな雰囲気があった。

白馬が両手に(翼というより、本当に手のように見える)2羽の鳥を包み込んでいて、その鳥はくちばしをくっつけてキスをしているよう。
ちょっと黒っぽいから、カラスかなって一瞬思ったけど、幻想イメージから大きくハズレていきそうだから、きっと違う、と思っておく、、

白馬の肩にも生き物がいて、くちばしが平たいからカモノハシ?と思ったけど、図録やキャプションには、

“エルンストに生涯つきまとい続けた怪鳥ロプロプ”

と記してあり、そっかぁ😲
(でも解釈は自由だしね!)


ジュアン・ミロ

写真 2021-06-19 12 51 33

【絵画 Painting】
今回はじめて出会った画家。薄く伸ばされた水色がパステルカラーでとてもかわいく、気になった。
なにより、油彩で下のキャンバスが透けてしまうんじゃないかというくらい、水っぽい作品もアリなんだ、と面白かった。

そして、そこに描かれているものは、遠くから見ると黒のボールペンで引かれたような細い線で、一反もんめのようなナゾの浮遊生物?がふよふよしている。

ナゾでしかない!笑

でもやっぱり、それがおもしろい……
じーっとっ見ていると、なんだか顔に見えてくるし、可愛く見えてきた。
色のバランスも素敵。

まとめ的な…

 高校生の頃は、ラファエル前派に描かれる女性がとてもかわいくて、抽象画より写実的な作品が好きだったけど、大学で現代アートやシュルレアリスム、ピカソ展と出会って、抽象画ってものを自由に捉えていて、かっこいいなと、価値観や好みも変わり、その変遷が我ながらおもしろい。

絵画を見る時、つい、作品よりキャプションに目がいくけど、まずは作品とじっくり対峙して、自分なりに感じてから補足の気持ちでキャプションを見よう、と思う。

参考図書

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この図録、とっても見やすい!読みやすい!
ハードカバーサイズだけど、カバーがないから気負いなく開けるし、
見開きで作品解説、作品の写真が掲載されていて、わかりやすく
文字も図録にありがちなちぃーーさい文字でもないから、読みやすい。

まだすべて読めていないけど、3つの美術館の学芸員さんの鼎談や、美術のあり方などに関してのメールでのやり取りも収録されていて、すごく読み応えがある内容だな、と思う。

横浜美術館 愛知県美術館 富山県美術館
『トライアローグ 語らう20世紀アート』左右社

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