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パンのこぼれ話(パンの香りは記憶と共に)

 私は驚きと感動を感じた経験があります。以前、私がパン店を開いていた頃、来店された若いお客さんが「この香り懐かし感じがする」と言われたのです。

 私は「‘えッ‘・・・・」と思わず答えてしまいましたが、その若いお客さんは、十数年前にお母さんに連れられてパンを買いに来ていたということです。それからしばらくして引っ越しされて、久しぶりに私のお店に立ち寄られたということです。

 お客さんは、すでに成人されていて私には全く誰だかわからなかったのですが、そのお客さんの心の片隅には、しっかりと「私が作ったパンの香り」が記憶という形で残っていたという事実に私は、驚きと感動を感じたことがあります。

 パン店には、それぞれの独自の「パンの香り」があります。それぞれのお店は、独自のやり方で日々パンをつくっているかと思いますが、作っている本人には、店にずっといるので自分のお店のパンの香りがわからなくなっているかと思います。

しかし、他のパン店に行くと全く香りが違っていることがよくわかります。

 日々移り変わっていく世の中で変わらず、同じ品質のパンを作り続けることは、大変なことだと思います。

 「お客さんが、自分のお店のパンの香りを記憶してくださっている事実」をしっかり感じて、そのこと対して答えていくことが大切かと思います。

ちょっと驚き! ちょっと感動!




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