最近の記事

「カラマーゾフの兄弟」のフョードル像に物申す

二十年以上も前に読んだ本を今更蒸し返すのもどうかと思うが、ずっと晴れないモヤモヤをこの機会にぶつけてみたい。 古今東西、演劇・映画・ドラマ・コミック等で描かれてきた「カラマーゾフの兄弟」のフョードル像があまりにもおかしくないか、というものだ。小説と、それをもとにした映画やドラマはその媒体の性質上キャラクターやストーリーやなんなら結末も違っても全然OKで、むしろ原作の本質・魂の部分を重視して違う媒体で表現しようとすると、必然的に多少のキャラ変更やストーリー変更も多々起こるのが

    • 浅くしか生きられない人たち~「普通の人々」を観て

      自分が間違っていると思っていた。その映画を観るまでは。 両親は二人とも吃音で、私自身も吃音だったが、家庭内で吃音はタブーだった。例外は一回だけあった。私が知る限り、私の人生で母親がどもりに触れたたった一度の出来事であった。保育園の頃、母親が連絡帳に完全な他人事としてわたしのどもりに触れた記述があった。(もちろん、当時は字が読めないため、後年、偶然連絡帳を見つけたときに知ったのだが)。おそらく、明らかなどもり様(よう)だったために、先生指摘されるまえに先手を打って<なんでもな

      • 吃音の本質をつかむことの大切さ

        以下は、私が以前、とある方の吃音のHPに載せていただいた文章です(5555という名前で掲載されています)。雑な面は否めないですが、吃音改善に光を見いだせる内容ですので、現在吃音で困っている方に読んでいただけたらな、と思っております。では、以下、その文章。 <吃音博士とAさん> 「吃音を治したい」。<吃音者>のAさんがやってきました。吃音博士は提案しました。 「無人島に素敵なホテルがあります。一ヶ月自由滞在券をあげますから、一ヶ月暮らしてくださいお部屋には観葉植物、ペットも

        • 教師が教師を嘲笑う きつおん2

          中学校時代、常に青いジャージの先生がいた。私は直接教わったことはなかったが、体育館等の集会で見かけた。関わってなかったのでどのような性格の先生かは知らなかったが、集会で話すとき、前後に身体を倒すようにしてリズムをつけて一生懸命話している姿は何度も見ていた。吃音者には吃音者がわかる。どもっていなくてもわかる。その先生は身体を揺することでなんとか言葉を出しているのだ、吃音者なのだ、ということは考えずともわかった。そして、言葉が不自由だと会社員はきついのだろう、学校の先生になれば公

        「カラマーゾフの兄弟」のフョードル像に物申す

          ジャパン・ジャーナル(きつおん1)

          最近、ピート・ハミルさんの著書を読んでいる。「アメリカン・ジャーナル」というタイトルの本だ。事実を何よりも大切にしながらも、たまに彼自身の繊細な感受性がそこかしこに散りばめられこちらまで切なくなったり辛くなったり・・つまり無味乾燥な事実伝達の粋をはるかに超えた本なのだが、そんな本を読んでいるうちに私も何か書きたくなってきた。が、悲しいかな、人生の前半、吃音の沼に溺れ、四六時中吃音と無闇に戦い、破れ、あるいはそもそも不戦敗し・・を繰り返してきたので、吃音以外の知識や見識、体験が

          ジャパン・ジャーナル(きつおん1)