見出し画像

スキップとローファー 感想 正直、泣いた。今年No.1漫画。絶対に読むべき。あなたに道徳心があれば必ずぶっ刺さる!

肩こりが重症化して死にそうで、もう深夜0時を回っていますが、それでも感想を書かないわけにはいかないほどの名作漫画に出会ってしまいました。

私が、オタクなのは、漫画が好きなのは、決して間違いではない。
こういう作品を読むために私は生まれてきたんだ。
そう確信しました。

スキップとローファー。感想行きます。

今調べたけどアニメやってるんだ。見ていないので、感想は漫画の方です。

感想

何がすごいってこの漫画、田舎者の上京高校生(主人公)みつみのまっすぐな性格が、ませた都会の高校生(空気読める社会人みたいなやつら)を心動かすなんてそんな単純じゃないから

あのね、↑の説明ですげー面白そうでしょ?
そうなんだ、この漫画単純に読めば、
↑の説明の通りなのよ。
普通はね↑の物語描いてれば名作になるのよ。ヒューマン青春物語でヒット作間違いないの!!!

でも違うんだなぁ!!
一応、メインヒロインのみつみが、女子友達やまぁ、ヒーローになるんだろう志摩くん(そのほか、もろもろの都会っ子たち)をその素朴な素直さから救う、心温まる、ハートフルストーリーにはなっている。

でもそんな単純じゃねぇんだわああああ!!!

1巻~5巻くらいまでの序盤はそんな感じで進んでいくんだけどね、6~8巻くらいからぐっともっと深く踏み込んできます。

この作者、人間がわかっている……わかりすぎていて怖い。本物の文学者だ。この作品を世に送り出してくれてありがとう。本当にありがとう。

世界よ、これが日本の漫画だぜ?
私は日本に生まれ、オタクに育ってよかった。

この作品のすばらしさが理解できる程度の頭脳というか道徳心を持っていてよかったあ!

何度も読み返したいくらい今私は感動している。

それくらい、みつみが大好きだ。

主人公の田舎育ちで素朴な上京高校生みつみは、純粋で一生懸命で、自分はT大に行って官僚になって地元の田舎の過疎を解決してやろうっていう、まっすぐな性格の持ち主。努力家で頭もいい。高校生にもなって小学生みたいな純粋な子。そんな純粋で何もわかっていないから、周りに利用されそうになったりしても、鈍感で全然気づいてない。

そしてこの物語のヒーローである、志摩くんはね、イケメンでものすごく空気が読めるヒーローなんだ。だから自分がモテることも周りにどうみられるかも、ミツミがどういう女の子(素朴で純粋で馬鹿正直で都会では浮いている)かも、全部わかっている。
わかっていて、自分が損がないようにうまく立ち回るキャラクター。そつがないキャラクターなんです。
そして、だからこそ彼は自分の感情にふたをして、周囲と深くかかわらない。深くかかわると面倒で、傷つくだけだとわかっているから。かかわらないのが一番楽で、生きやすいと理解しているから。

私は志摩くんみたいに、全部わかっていて、すべてから距離を置くキャラクターが好きです。
そして志摩君の気持ちがわかる。
自分はね、みつみにはなれないんです。
相手が何を思い、どう行動するか、わかるから。自分を利用しようとしているのか、まずそこを憶測して、その相手の求める言動をこたえられるから。どう答えればその人に好かれずしかも嫌われず、自分が面倒に巻き込まれないか、そう立ち回る癖がついている。これは自己防衛だろうね。彼はモテるし、他人にどうみられているか自覚があるから、見た目で判断する大多数の人間に対して、諦めていて、だから興味がない。

わかる、わかるぜ志摩・・・・・・・・。
私もそうなんだ・・・・。いや、志摩くんみたいにモテないけども・・・・(笑)もう社会人も長いし、だいたい相手がどういう意図で行動しているかくらい読めるのよ。
でね、志摩君が、みつみにあこがれる気持ちめっちゃわかるの!!!

こっちだってね、わかりたくて他人の言動が読めるわけじゃないんだよ。
別に気づきたくないわけ。

頭が良くて、察しが良くて、それで立ち回りがうまいのって結局損だよなああああ!!!
なあ、志摩!!!!!!!!!!私はわかるんじゃーーーーー!!!
よっぽど鈍感に生まれたかった!!!!!!
自分が相手の気持ちがわかってうまく立ち回ろうとしているところが、情けなくて、後ろめたくて、もっと素直に生きたかったなってなるよなーーー!!!わかるぜ!
みつみがまぶしくて、うらやましい気持ちわかる。だから私はみつみが好き。みつみみたいな人と、実際に出会って友達になりたいと思う。

みつみの魅力は、多分、「みつみといるときの自分が好きになれるような」そんな子だからだ。

みつみは絶対に見た目とか、その人の被った殻や壁みたいなのを見透かして、本質の部分だけ見て、善悪を判断するような、そういう能力がある。
自分が他人にどう思われたいって気にしていないから、私や志摩みたいな察しがいい勢はね、ああ、この人の前では飾らなくていいんだ。面倒にとりつくろわなくても勘違いされなくて済む。ってらくちんなんだよ。

みつみは馬鹿なんじゃなくてとても賢いんです。

本当に馬鹿なのはね!私や志摩みたいな取り繕う勢の演技にまんまと騙されて調子に乗ってうまくやれていると勘違いしている、見た目だけの判断で、自分がうまく回りと協調できていると思っている雑魚たちだよ。でもおおむねこういう人間が大多数だからあきらめたくなるよなぁ、志摩。わかるぜ。馬鹿ばっかだよな!!

この漫画で私が救われるのは志摩に感情移入しているからだろうな。
少女漫画ではさ、志摩みたいなイケメン・そつない・他人と距離置く系キャラに惚れがちなんだけど、そういうキャラって絶対私みたいな同類好きにならねぇんだわ。
つまりそう考察するとだ、私は自分みたいな男が好きなのか?ということに至るわけでうわやっぱ私ってば自己肯定感だけは素晴らしいぜ……。
でもここで三十路独身女は気づく。そう……私みたいな女が好きな志摩くんは、志摩君ではない……つまり私みたいな賢しい女に惚れる男は私の好みじゃない……だから結婚できなかったのか……と。
なんという理にかなった仮説なんだ……立証は容易そうである。

っと話は逸れたが、つまり本作のヒロイン(ヒーローなんだけど、ヒロインみつみに救われるのは志摩くんだから精神的ヒロインポジなのです)志摩くんに感情移入した私は、「スキップとローファー」読後、救われた気分になりました。

私はさぁ、他人の機微や悪意が読める自分のこと嫌いじゃないんだよね。みつみみたいな天使いいなって思うけどなりたいなって思わないんだ。
みつみみたいな人に、出会いたいなって思うんだ。

私は自分が好きなので、こんな性格でも、気に入っているのです。

だからみつみに出会って、たまには素の自分で過ごしながら、幸せな気持ちになりたいなーって思うだけ。

ま、私にも素を出せる数少ない親友はいますし、めんどい人間関係拒否だから基本おひとりさまだけど全然ストレスないんだよね~。

でねぇ、めっちゃ話それたけど、あ、今思いついたこと先にいっていい?

ガチで頭空っぽなやつってどういう人間か、簡単に言えたわ。

「スキップとローファー」読んで、みつみちゃんかわいいよね~っていうけど、実際にみつみにあったらカースト下位だと決めつけてバカにするやつ。

んでねぇ、そういうやつに言い寄られて飽き飽きして、カースト上位立ち回りしつつ、人間関係ぶっさめてんのが私や志摩くんなんだわ。OK?これわかりやすいっしょw ←めちゃ煽るやん自分~。

あ、でね、この作品がすごいところはねみつみを馬鹿に描いてないところなんだわ。察しが悪いただの鈍感女じゃないです。ちゃんとおしゃれに気を遣うように成長もするし、志摩君を好きになって、恋愛もするんです。

私がああ、作者天才だわ。って涙したのは8巻。

まだ、高校生の志摩君は私ほど社会にもまれていないでえせ大人の振りをしているせいで、自分の感情に少々鈍感なところがありまして。

ーーそりゃそうです、他人と真摯にかかわらないと本気の感情はわからない。このあたりの志摩のキャラクター描写は本当に卓越している。対し、自分の恋愛感情に素直に気付いて告白したみつみの方が大人で、きちんと自分の本心と向き合って成長しています。このみつみの方が鈍感に見えて本当に大人なのは逆だという対比もかなり素晴らしい。ーー

みつみにうっかり告白されて志摩はあっさりと了承し付き合うのですが、志摩の言動にみつみは自分のれない感情の「好き」と志摩の友人としての「好意」に違いがあると気づいて、そしてその好意を成長させる力が今の自分にはないと判断し、「友達に戻りたい」といいます。(めちゃくちゃすごいことですよ、私には絶対にできない。本当は付き合いたいという自分の欲よりも、志摩君らしくない方がいやだから別れるとかこれこそ博愛……)

そしてそれが、今までモテモテモテ男だったために、突き放されたように思ってしまう(若い!)志摩君に対し、この一言。

「スキップとローファー」8巻より抜粋

これ、どういうことかわかる????????????????????

私は泣いたよ・・・・・・・・・・・・・・
このみつみに救われ、志摩君と同じ気持ちになったよ・・・・・・・・・

これは、みつみ。

愛だよもはや……好きとかじゃなくて、愛なのよ……。

「小学生でもおじいちゃんでも」

このフレーズにセンスしかないし、「ほんと?」にたいする「うん」のコマのみつみの表情……。マジセンスだよこれ……これが漫画なんだよ……。胸をつかまれるだろ……。

みつみは多分本能で「誰かに助けを求める志摩君」をみつけて救ってんだろうね。罪な女ね、みつみ、私も見つけておくれよ……。

あと志摩お前みつみほどいい女今後絶対現れないんだからさっさと子供卒業して告れよじゃねぇと私みたいに独身貫くことになるぞとだけは言わせていただこう。
むしろお前みたいな牽制野郎にみつみはもったいないほどだ。本当に価値がわかる人にしか、みつみの価値はわからないのさ。

でも察しの良い志摩なら気づけるだろうねぇ。それがこの物語の神髄でしょうね。

みつみがただの「純粋素朴な田舎のいい子」じゃないのが、この作品の味噌です。この作者の素晴らしいところです。ちゃんと女の子で、嫉妬もするし、悩むし、嫌な感情も芽生えて葛藤もするのです。そして高校生だから成長するのです。

みつみが志摩を救う話ならただの良作だった。

しかし、みつみ自身が成長し、そして、みつみの周りの人間もただのいい子ちゃんじゃないところがこの作品が神作品たるところなのです。

例えば、

みつみの友人2人の話。
モテまくる超美人・結月と喪女・誠。誠は初めギャル結月が苦手だった。自分が喪女自覚ありなので馬鹿にされていると思っていた。→好きだった先輩が結月のことは可愛いといって覚えていた。やっぱり自分は喪女で結月にちょっと嫉妬するが、そんなことを知らず先輩との仲を純粋に応援していた結月はふられた誠のところに駆けつけてくれ、慰めてくれる。→誠は嫉妬した自分を叱責し、感謝を伝える。

喪女の後ろ暗い感情を描きながらも、反省するところまで感情描写することで成長を促し、キャラに悪印象を残さないところが素晴らしい。

結月はモテるせいで女友達も男友達も作るのが難しくて、志摩ほど割り切ってないいい子なんだよね。だから、せっかく高校でできた友達誠のことを、一生懸命協力したり守ろうとする。そこに、見た目なんて関係ない。
見た目で寄ってくる友人が好きになれない。(ここが志摩ほど割り切っていなくてかわいい)

誠も、逆差別で、結局結月みたいなタイプは喪女やカースト下位女子のことバカにしてるんだ、って決めつけて苦手意識を持つんだよね。

高校生だといえばそうだけど、社会人もそういうやつって多いよね。
美人だろうが喪女だろうが、差別に変わりはないし、人間そういう弱い部分や後ろ暗い部分って絶対あるよね。
それを描いていてかつ、この癖のあるキャラクター達を憎めないのは、彼女たちがまだ高校生でちゃんと成長して正常な価値観を獲得していくからだ。

うーん、この作者、人間の弱さこそが魅力であり、そしてそれをいい方向に昇華させて物語を作るのがうまい。

あー名作。語りつくせないほどほかにもいい話あるよ。
ミカなんて、はじめウザキャラかとおもったら一番成長するからねぇ。

う~しかしキュンとしたい勢からすると、あと8巻フラグ立ったし、志摩くん嫉妬から恋心を自覚しほんとうにみつみとうまくいく展開をめちゃ期待ですわ~~~~~~~~~~!!!志摩が苦手すぎて逃げてきた愛に向き合って素直になれたら、わたしゃ成仏できるよ~~~~!!

イケメンは愛を知らないってかぁ?
神様は平等でっすねぇ、ほんと。
作者は文学とはなんぞやかよくわかっていらっしゃる。文学者とは創造主、そう神なのですよ。神は平等でなくては。そう私たちは信じて生きてきた。

神は平等です。
だから、神はすべてを赦し、与えるのです。

許され難しイケメン罪の志摩君にも、赦しと、そしてきっと、愛をね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?