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欧米はカミングアウト、アジア圏はカミングホームがいい?

みなさん、カミングアウトをご存じですか?カミングアウトとは、LGBTの人々が目に見えない性的指向(トランスジェンダーの人だったら性自認と、場合によっては性的指向も)を周りの異性愛者の人々に対して打ち明けることをさします。

このカミングアウトする動きは、1970年以降から北米を中心に出てきて、カミングアウトがどういったプロセスを経るのか、そして当事者に対して、のちにどういった影響や効果をもたらすのかといった研究対象となりました。

しかし、「カミングアウトは、あまりにも欧米中心的な考え方や行動ではないか?非欧米圏には合わないんじゃないか?」と2001年に一石を投じた香港の学者がいます。そして、彼は「文化的に個人主義の欧米圏でカミングアウトは良いかもしれないが、集団主義を重んじるアジア圏ではカミングホームといった考え方や行動が則しているのではないか」という主張をしました。

カミングホームとは、自身の性的指向をはっきり伝えるのではなく、自身のパートナーを「親友」として家族に紹介したり、家族に関するイベントにパートナーを連れていったりして、自身の性的指向を暗に示す方法です。その香港の学者は「自身の性的指向を言うことはその事実を決定づけてしまうことで、集団主義の社会において不和をもたらす可能性があるため、パートナーを親友として紹介するという暗に示す方法が集団の調和を維持することにつながり、文化的に合っているのではないか」と主張しました。

私にとって、このカミングホームという考え方は目からウロコで、ワクワクしながらこの論文を読んだ記憶があります。確かこれを読んだ当時は、「LGBTに関する研究がなんだかあまりにも欧米中心的な考え方で、非欧米圏(アジア、中東、アフリカなど)にあてはまるのかなぁ、どうなのかなぁ」と悶々としていて、非欧米圏の考え方を取り入れたいと思っていた時期でした。そういった時にこの論文を見つけて、まさに「かゆいところに手が届く!」といった感じで大変嬉しかったのを覚えています。その論文から「先進的だと思われている欧米ばかりに目をやらず、近場もよく見てみようね」と言われているようで、反省したのは良い思い出です。

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