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【一夜明けて】余韻を慈しむ大人になった



昨日は最後に夫の名前を呼び、すごく眠い、と言った記憶がある。

殆ど意識がなくても、私は一番気持ち良いポジションをわかっている。

目を瞑ったままもぞもぞと右腕にしがみついて眠りにつく。

明日の髪型なんて気にしないで、深く顔を埋めて。


朝がくれば、また嘘のように日常に戻る。

私は夫がパンを焼くトースターの音で目覚めると、途端に起き上がり、子供のように抱きついてベッドの方を指差し(あっちに戻ろうの意)、夫に笑いながら断られるというルーティーンをこなす。

先に家を出る夫と、玄関で必ずキスをして見送り、そこからは1人で身支度をして気持ちを切り替える。

いつもと同じ上着を羽織って出勤したら、4月も終わろうというのに今日はとても寒い。

それではと、温かい飲み物を飲んでも、私の身体は騙されない。

余計に布団の中の温もりを思い出してしまう。


次は何をするかに夢中になると、忘れてしまいそうになるけれど、
また週末がきたとしても、昨日までの週末は一度きりしかない。

そう思うとたまらなくなる。
次へ次へと上書きせずに、もっと余韻を慈しむようにしないと、あっという間。

一夜明けて覚ったかのように、終わってしまった時間の余韻を纏ったまま、今日はポーカーフェイスで仕事ができる大人になった。

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