CAMPFIREロゴリニューアルプロジェクトの備忘録
こんにちは。CAMPFIREデザインチームマネージャーの623(@623px)です。
CAMPFIREは、2022年9月に新サービスロゴ・コーポレートロゴをリリースしました。
新ロゴは、クラウドファンディングの「起案者と支援者」、「ユーザーとCAMPFIRE」のような、あらゆる関係性を繋ぐこと。そして1 つの灯火が次の火へと繋がっていく連続性を表現しています。
今までは「炎」をストレートに表したシンボルだったため「起案者の熱」のような意味の側面が強かったのですが、そこに「&」を付与することで起案社と支援者の両者を描き、プラットフォームとしての中立的な立場も表しています。
このプロジェクトにおいて、私は企画と総合ディレクションを担当しました。ロゴの制作はタカヤ・オオタさん(kern Inc.)に担当いただいています。
始動からリリースまでほぼフルリモートで、期間は約1年間に渡りましたが、なぜロゴをリニューアルすることになったのか。社内ではどのようにこのプロジェクトをはじめ、進めていったのか。新ロゴ制作過程を振り返ります!
プロジェクトのざっくり概要
CAMPFIREグループのロゴには、明確なルールがなかった
このリニューアルの発端は、CAMPFIREとその関連事業のロゴに明確なルールがなかったことに課題を感じたことからでした。
CAMPFIREは、今後よりグループの一体感を高めていくことでさらなる資金調達の民主化を目指していきます。
この展望において、ブランドの最前面に露出されるロゴに規則性があることで、ユーザーやステークホルダーから見た "とある事業や施策" が、CAMPFIREブランドのアクションであることの認知がしやすくなります。
そして、そこで抱いた印象・感情がCAMPFIREブランド全体への認識として形成されやすくなり、グループ事業同士で相乗効果を見込めます。そうして成長の後押しをするために、今のタイミングで整理を行うこととしました。
まずは課題の整理と共有からスタート
私自身は上記の課題感を感じつつも明確に言語化できていなかったため、上長のサポートを得ながら形にし、経営メンバーに相談を持ちかけました。
合わせて代表の家入さんにも相談したのですが、いずれも皆同じ課題を認識していて、おおむね良い反応をいただけました。
この後に社内のデザイナーと、今回ロゴの制作をしていただいたタカヤオオタさんに課題の共有をし、どのように目的を達成していくかを話し合ってプロジェクトの進行イメージを固めていきます。
並行してプレゼン資料を作成し、経営会議で承認を得て、予算を確保し走り出しました。(契約書の作成や予算取りまわりでの手続きが多く、ヒィヒィしてました)
社内の意見は実際にどうだったか
ここまで「いいと思う!」という意見を多く頂いてましたが、もちろん賛成意見ばかりではありません。
CAMPFIREの社内メンバーはスピード感のある変化を起こしていく分、ブレないように自分達のミッションやプロダクトの価値を大切にして日々役割を全うしています。そんなメンバーが愛着を持って使ってきたロゴを、いきなり納得感のないものに変えることは避けたいと考えました。
賛成でない声はハードルに感じるかもしれませんが、プロジェクトにおいてはとても大切な要素です。自分では考えられていなかった視点や、メンバーのブランドに対する考え方を具体的に知れる機会になります。
これを「反対意見」としてざっくり捉えるのではなく、どのように考えているのかを掘り下げ、どうやったらさらに愛着を持った新ロゴを作れるのか。そして目的を達成できるのかを「一緒に考える」ために、何度も何度も議論をしてすり合わせていきました。
「&」シンボルのブラッシュアップ中に気づいた「炎」への想い
初回の提案で「&」シンボルと炎を合わせた、新ロゴのベースとなる案をタカヤさんから提案いただきました。
実は最初は炎モチーフを変えずにルールを統一していく想定でプロジェクトを進めていたのですが、このシンボルのCAMPFIREらしいストーリーと、重たくて真っ直ぐなモチーフに納得し、この方向性で模索することにしました。
しかしその後のブラッシュアップ案で、もうちょっと炎であることを前に押し出したいね、という意見が多数出ました。自分達が炎(FIRE)というモチーフを、10年間いかに大切に育んできたのかに気付いたのです。
これから挑戦するぞ!という熱量をストレートに表し、CAMPFIREという名前を呈している。CAMPFIREがCAMPFIREであるために、そしてわかりやすくCAMPFIREグループであることを示すために、炎は1番大切にしたいモチーフです。その中で「&」のエッセンスを落とし込んで、変化していく歩みを表現できたら良いと思いました。
こんな形で社内プロジェクトメンバーの中ではもっと「炎」に寄せたいという意見で一致したのですが、どの程度の炎度合いを目指したいのかをメンバー同士で擦り合わせて、それをタカヤさんにどのように伝えたらギャップがなくなるのか、コミュニケーションの方法に悩みました。
ワークショップとインタビューの開催
そこでトライしたのが、視覚的に感覚のギャップを浮き彫りにすべく、社内デザイナー内で「炎度」すり合わせワークショップの開催です。
炎度メーターを用意して、イメージする「炎度」を数値化してみたり
逆に「&度」がちょうど良く感じる境目ってどこだろう、を可視化してみたり
ゆらめく炎の画像の「&」に見える部分を切り出してみたりもしました。
このワークショップを経てお互いの感覚のギャップを認識でき、加えてロゴに対して社内のデザイナーが集まって真剣に向き合うことでモチベーションのアップにもなりました。
これらの情報をまとめ、わたしたちが炎と&を感じる要素をタカヤさんにお伝えし、制作のヒントにしていただきました。
その後も、まだ新ロゴの案を見たことがない社内メンバー数名にお願いして初見の印象や要望をヒアリングしたりなど、なるべくプロジェクトに加わっていないメンバーからの意見も吸い上げることを意識して進めていきました。
(ロゴの制作過程でたまにみる、オフィスの壁にロゴの案を貼って付箋で意見を自由に募る方法をとてもやりたかったのですが、ほぼフルリモート環境下での進行だったため、こういった部分でのムーブメントの起こしづらさは難しいポイントでした…!)
そして決まった最終案
最終的に提案いただいた案です。
見た時にメンバーから「炎と&のバランスって取れるんだ」と複数声が上がったことが印象的でした。同じモチーフであるはずなのに、下重心の安定感や炎の絶妙なゆらめき感が出ていて、ブラッシュアップ過程の案とは印象が異なります。
根気よく自分達のあり方に向き合ったメンバーと、何度も粘り強く制作いただいたkernの皆さんのおかげで、これまでと、これからのCAMPFIREらしいシンボルができました。
ここに至るまでにも、細かなシルエットの調整をしていただいて2度目のワークショップを開催したり、カラーの選定もありました。
このワークショップでは細かなシルエットのブラッシュアップと、メンバーが期待するシンボルの印象をヒアリングする目的で開催しました。
ロゴタイプ / コーポレートロゴに関しては、複数提案いただいた中から以下の理由でこちらを選定。
ゴシック・明朝のどちらも兼ね備えた佇まいがシンボルと調和している
どこか手癖感を感じる柔らかさが、CAMPFIREグループに共通している印象である
コーポレートロゴとして「安心感」と「らしさ」のバランスが取れている
ベースになっているフォントの利便性が高い
これらのシンボルとロゴタイプを組み合わせ、新しいCAMPFIREのロゴマークが出来上がりました。
この後に、このロゴをベースとして関連事業のロゴをリニューアルしていきます。まだプロジェクトはしばらく続くのですが、それはまた別の機会で…☺️
最後に
炎に別のモチーフを加えて、その案で決め切るという先鋭的なアプローチは、客観的な視点を持ち得る社外デザイナーに依頼したからこそできたことかもしれません。
このリニューアルプロジェクトを経て、社内のデザイナーもブランドにしっかり向き合うきっかけができました。私自身もデザインの提案の仕方やプロジェクトの進め方においても学びが多く、ロゴの制作過程で組織としてこれから成長していくための目線の統一をしてもらったように思います。
CAMPFIREは、今後も新たな象徴とともに、資金集めの民主化を目指していきます。
関連する記事とリンクのリストで締めます✋ ここまでお読みいただきありがとうございました!
■ プロジェクトの振り返り対談記事
■ リブランディングイベントで登壇させていただいた時のレポート
■ リリース時に出したロゴのコンセプトLP
(社内のデザイナーお塩さんと、エンジニアの長谷川さんに制作いただいてます)
■ kern inc.さんのポートフォリオ
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