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一行小説集「飛び立つ/粉糖/第一号」

 我が社が開発した、精神安定剤入りのチョウが、世界中のクモの巣やカマキリの住処へと飛び立っていく。

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 刃に粉糖が付いた斧を抱えて森から帰ってきた父が、おやつを食べる私を見て、苦笑いしている。

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 ある朝、登校すると、クラスメートの女の子が教室で一人、自身の長い尻尾を首吊り縄の形に編んでいて、僕の方を見向きもせずに、「第一号になる?」と訊いてくる。

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