100年時代と自転車とアップサイクル
今どきはリサイクルをアップサイクルと言う
「従来から行なわれてきたリサイクル(再循環)とは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを、最終的な目的とする。」と、とあるサイトにありました。
古いテント生地を再利用してバッグを作るとか、Gパンを加工して云々カンヌン。一回グチャグチャに溶解したり、ほぐしたり、からの再生じゃなくて、2次加工レベルで材料をそのまま生かして再利用するってことかな。
人にあてはめるとさしづめ「不要と思われていたアイデアや経験値に新しい価値を与えれば、その人の価値を高めることができる」。こんなところじゃないかと。
この文句に注目したのは、元来もっていた良さや、古びた感じに付加価値をもたせるということを意味しているから。そもそもの属性や経験値を否定せずに、いま、さきざきへ使えるように加工するということではないかと。
過去を否定することが未来を肯定することだ、的な論調が世の中にはありますが、はたしてどうでしょう。
それは切り捨てるまでもないんじゃないか。素材やエネルギー、あらゆる資源に可能性があることを感じさせる文句です。
マーケティングのレトリックと捉えることも出来ますが、それは前向きではない。SDGsだのカーボンニュートラルだのが当たり前になってきて、人の経験値、労働力も何かと置き換えたり、互いに補う仕組みが必要な気がします。ただ、いまのシステムでは切り捨てる、捨てるほうが圧倒的にコストがかからない。
ビジネスと生活をアップデートすること
昨日、神奈川と山梨の県境にあるMTBトレイルで走ってきました。ここ10年くらい付き合いのあるMTBerと、30年近くつきあいのある伝説のライダーと一緒に。
このトレイルを作った人は現地に移住して8年くらいの方で、自転車ドップリではなく、エネルギービジネスに関わってきた経緯で入植、木こりをやり、移住者の手引きをしたり、村の再生を生業にしています。
期せずしてこの方も、自分自身をアップサイクルして新しい生き方を手に入れたと言えるのかもしれません。以前に得たエネルギーに関するノウハウ、コンサルとして培ったコミュニケーションを生かしつつ、新しいフィールドにチャレンジしています。
4回まわってワン!
昨日は、その方が作ったトレイルで遊ばせてもらったのです。
MTBは僕のオリジナリティであり、自転車の出発点です。20年ほど前には、毎週のように関東近郊のトレイルに通い、石のひとつ、枝の一つを覚えるくらい走り込んでいました。
自分史で4回目くらいのMTBブームでしょうか。
1回目は高校生、2回目は仕事として、3回目は一般人としてトレイル、そして再びふつうの人としてトレイルに踏み入れました。
ファッションにはサイクルがあり、周期的に同じアイテムが戻ってきます。それと似たようなものでしょうか。自分のなかでのアップサイクルには過去の否定はありません。使えるものを取り出すだけ。でも、古いモノゴトにこだわると新しい遊び方は見えません。
3人のビジターはそれぞれにバイクの「年輪」がありました。友人は7〜8年乗っている80mmのアルミハードテール。伝説は自分で設計した140mmのクロモリハードテール。そして僕はつい最近、通販で買った120mmのアルミハードテール。
足るを知る
僕は過去を否定したのでしょうか。
そうではないでしょう。たしかに新しいバイクではあるけれど、過去の経験の延長に新しいバイクの選択があるのです。
これでいい、これがいい、という「足るを知る」が見えたということかも知れません。機材に関してはね。
最新のアルミハードテール、すごいよ!
29インチ車輪でも、しっかりセンターに重心が来るし、シマノのトレッキング(欧州で主流の汎用グレード)用ブレーキはよく効くし、持ったら重いけど、乗ったら軽快! よく進み、よく曲がる!
サス、ブレーキのアタリ出しもほとんど不要で、1回下った程度で摺動部、制動系、変速系、設計どおり動作します。これまたビックリ!
120mmの前フォークはサグで沈んでも長さに余裕があるので、ペダル入力でリヤサスがあるかのようにトラクションコントロールができる。ダンパーは爆発せずに長めのストロークを制御してくれるし、減衰効果も思いのほか強い。ちょっとした入力と荷重変化で戻り側ストロークを活用して後輪のトラクションを操作できるんです。
モデル名JUDYなんですが、これの初期モデルを25年前に使ったときのような新鮮さがありました。遊び方が変わってしまうくらいのインパクト。これでじゅうぶん。
でも、事前に友人に相談したときは、パーツをいろいろ変えて、フィッティング的にもペダリングをあーしてこーして、と妄想していましたが、「やり出すとキリがないぞ」と釘を刺され、とりあえずドノーマルで走ってみたわけです。
ペダルも同梱のCE規定の認証用に付属してるお飾りなんですが、それも含めてぜんぶノーマル!工場出荷状態(組み立てたけどw)での実走! 結果、これでいいやと。
商品としてはいろいろツッコミどころ満載なんですが、いち消費者として値引きなし、自腹で買ってみると納得のパッケージなんですよね。
アップサイクルの話だよw!
で、何を言いたいのでしたっけ?
そうそう、アップサイクル。
時間をかけないと獲得できないことがあります。一方で若いから、知らないからできることがあります。両者がリスペクトし合い、新しい価値に向かえるようになるといいな、と。(小学生の作文ですみません。。。
オジサンはオジサンなりに捨てるところを潔く捨て、変えるところは変えて、加工して使えるところは再編集して活用する、それが僕にとってのアップサイクル。トレイルオーナーを見習って新しい挑戦をしたいものです。
そんなことを昨日のライドは示していたように思うのです。
樹齢100年のもみの木でパワーをもらう。この木は、森を見ずに問答無用で切られるべきなのでしょうか。
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