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DINKsだった私たちに子どもが産まれて思うこと

夫と結婚して8年目。今年初めて子どもが産まれた。

私たちは結婚してからもそれぞれ好きな仕事をして、2人で趣味を楽しんで、ときどき仕事帰りに待ち合わせして飲んで帰ってくるような生活を7年間続けてきた。

いわゆるDINKsと呼ばれる「共働きで子どもを持たない夫婦」の中には、この先もずっと子どもを持たない選択している夫婦と、いつかは子どもが欲しいけど今は仕事や2人の時間を優先したいと考えている夫婦がいるのではないかと思う。
もしかしたら、何かの事情で子どもを持つことを諦めた夫婦もいるかもしれないし、現在進行系で妊娠を希望している夫婦もいるかもしれない。

私たちは、子どもは「いつか」欲しいと思っていた。

でも、その「いつか」がすごく難しかった。

私の中で子どもを持つことは、趣味や、仕事や、自分の時間が犠牲になってしまうものだと思っていた。まだまだ、やりたいことがたくさんある。
「結婚したら子どもを作るのが当たり前」とは思っていなかったし、結婚後も私には私の人生がある。だから、今じゃない。と思い続けて7年が経った。

その間、子どもを持つ幸せって何だろう?ということもずっと考えてきた。

「いつか」の悩み

「いつか」をいつにするのか。
悩むポイントは、仕事と趣味の2つだった。

まず、仕事のこと。
私たちは現在フルタイムの共働きで、私は結婚してから3回転職している。
女性の場合、入社1年未満で妊娠・出産すると、産休は取得できても育休は取得できない場合がほとんど。
なので育休を取得することを考えると、転職=子どもを作るのは1年ほど先延ばしということになる。

私はバリキャリというわけではないけど、自分が納得できる仕事をしたかったし、働くからには仕事を好きでいたい。そんな私の気持ちを尊重して、夫はいつも転職する私の背中を押してくれた。

それから、趣味のこと。2人には共通の趣味が多かった。
子どもができたら、テントと食糧を担いで山に一週間こもるような登山もできなくなる。
熱燗と焚き火で体をあたためながら冬に富士山の麓でキャンプすることもできなくなるし、朝からはしご酒をしてシメにラーメンを食べて帰ってくることもできなくなるし、仕事前にカフェに行ってモーニングを食べてのんびりコーヒーを飲むこともできなくなる。

趣味の時間は私の心の安定を保つために大切で、その時間を失うことがすごく怖かった。

それでも、「いつか」が来ても良いかも…と思うことは今まで何度かあった。でも、望んでもすぐにできるわけでもなく、その間に新しくチャレンジしたいことができて転職してまた1年先延ばし、ということが続いていた。

「いつか」のきっかけ

2019年の夏の終わり。
また「いつか」が来ても良いかも、と思うようになった。

長期休暇のたびに趣味を楽しんでいた私たち夫婦は、2019年のゴールデンウィークは九州でキャンプをしながら九州の百名山を5つまとめて登って、夏は北海道にキャンプツーリングに行きながら最北端の百名山である利尻岳に登ってきた。
前年の夏は南アルプス、その前は北アルプス、と、思う存分楽しんで、2019年は九州と北海道を楽しんだので、ここで一区切りつけても良いかなと、ふと思った。今の職場にも転職してちょうど1年が経った頃。

でも、子どもは望んでもすぐできるものではない。もちろんすぐにできる人もいるけど、私は違った。

私の場合は、女性であれば一般的に毎月来るものが毎月来ない体質だった。
子どもが欲しいと考え始めたタイミングから病院に通って、まずは毎月来るはずのものを誘発するところからスタートし、ありとあらゆる方法で女性ホルモンを補充して、最終的には高度な生殖補助医療のおかげで妊娠できた。

通院してから妊娠するまで1年以上かかった。

複雑な気持ち

望んでいたことなので、すごく嬉しかった。
でも、妊娠したことに「おめでとう」と言われることがいつまでも慣れなかった。言われるたびに「そうか、これはおめでたいことなんだ」と、どこか他人事みたいな自分がいた。

それから、職場で「出産がんばってね。子どもはかわいいよ」と言われたときに「そうなんですね」と答えてしまって、今の答えは微妙だったのではと後から一人反省会をしたこともあった。
もうすぐ子どもが産まれるのに、「子どもはかわいいよ」に対して「そうなんですね」って何だよ、と。ここは「そうですよね」とか「楽しみです」とかじゃないか?

・・・

自分がやりたい仕事をして、思う存分趣味を楽しんで、夫と美味しい物を食べて笑い合う日々が、十分満ち足りていて幸せだった。
それで十分なのに、それらが犠牲になってしまうのに、子どもが生まれてくることは幸せなことなのかな?と、何度も考えてしまった。

「いつか」と思っていたところから、望んで「いつか」がやってきた。
望んでも妊娠できない人もいる。贅沢すぎる悩みだということも分かる。

それでも、7年間続いたこの平穏な日々が壊れてしまうことが不安で、出産直前に夫の前で泣いたことが何度かあった。

夫は「今までのようにできなくなることもあるけど、今までとはちがう幸せがあるんじゃない?」と言った。

夫は子どもが好きだ。
一方で、私は子どもがあまり得意ではなかった。友人の子どもはかわいいと思うけど関わり方がよく分からないし、知らない人の子どもにはまったく興味が無い。そんな私が子どもを育てられるのか?というのも不安の1つだった。

この複雑な気持ちは解消されないまま、出産に臨んだ。

子どもが産まれて思うこと

子どもが産まれる前は、いろいろな楽しみや時間が犠牲になってしまう、と思っていた。でも、子どもが産まれて思うのは「子どもがプラスされて、新しくなった」ということ。

子どもを持つことは人生がグレードアップするのでもダウンするのでもなくて、アップデートされたという感覚が一番近い。

「どうやったら実現できるだろう?」を考える難易度が少し上がったけど、趣味も工夫して新しい楽しみ方を見つければ良いし、仕事も新しいやり方を模索しようと思えるようになった。

産まれる前はあれこれ悩んでいたけど、産まれてみると「やるしかない」という覚悟が決まるというか。
それは、出産を経験して約10ヶ月お腹の中で育てた娘と対面してやっと芽生えた気持ちだった。

この「やるしかない」を仕方なく受け入れるのではなくて、楽しみながら試行錯誤していきたいなと思う。

・・・

そして、産まれてきた子どもはかわいい。

大変なこともたくさんある。新生児の頃は3,4時間おきに授乳する必要があるし、泣かれたら抱っこしてあやして、オムツを替えて、それを繰り返していると一日が終わる。
夜は自分が寝たい時間に寝られないし、朝もまだ寝ていたくても起きないといけない。

時間や体力的なしんどさ以外にも、メンタルも思った以上にきつい。
育児は毎日予想外の連続で、計画通りになんてぜんぜん進まない。さらに産後のホルモンバランスと寝不足などのせいもあって、うまくいかないことが続くとメンタルが崩壊しそうになる。
私は、泣く我が子を抱えながら一緒に声を上げて泣いたことがこの3ヶ月間で何度かあった。それくらい、育児はやばい。

それでも、子どもに笑いかけられると、子どもが手を広げて寝ている姿を見ると、その日の大変だったことを忘れそうになるから不思議。

私に子どもを育てられるのか?という不安は、子どもがもつ不思議な力によって何とかなったのかもしれない。あとは何よりも夫のサポートが大きい。

・・・

これから復職したら、子どもが大きくなったら、さまざまなタイミングで壁にぶつかるのだろうなと思う。
それでも、まわりを見渡してみると共働き夫婦や子どもと一緒に趣味を楽しむ家族はたくさんいる。そういう先人の方々から知恵を分けてもらって、アップデートされた人生を楽しみたい。

夫が言っていた「今までのようにできなくなることもあるけど、今までとはちがう幸せがあるんじゃない?」という言葉を、やっと理解できるようになってきた。


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