杉田 純

野球とか歴史のことを書いていきます。ベイスターズの記事が多めになるかも……

杉田 純

野球とか歴史のことを書いていきます。ベイスターズの記事が多めになるかも……

最近の記事

筒香と雨とハマスタと

 『熱き星たちよ』のメロディーに送られながら電車に乗る。普段、ハマスタから帰る時はだいたい桜木町まで歩くが、この日は関内で乗車しても余裕で座れた。今日はベイスターズ戦の開催日ではないからだ。4月とは思えないくらい蒸し暑い。座敷に腰かけてからふと思った。  あの日も、雨が降っていたっけ。 *******************  2019年、ベイスターズはレギュラーシーズンで2位となり、CS進出を果たした。ラミレス政権下で地力を上げたベイスターズは16年、17年にもC

    • 中日ドラゴンズ・細川成也の活躍は偶然か必然か? 元チームメイト・倉本寿彦が明かした細川の魅力

       大輪が花を咲かせつつある。2022年まで横浜DeNAベイスターズで若きスラッガーとして期待を背負っていた細川成也は、今や中日ドラゴンズの主軸を担っている。  開幕3試合目にはスタメンに名を連ねると、その後はコンスタントに出場を重ね、5月には月間MVPを受賞。6月下旬には早くも初の2ケタホームランに到達した。  横浜でもそのポテンシャルには大きな期待が寄せられていた。が、自らの力を持て余していたのか、横浜での6シーズンで放ったホームランは6本のみ。  細川は中日で生まれ変

      • 「筒香球場」を探して

         年の瀬が近づき、野球選手にも束の間のオフが訪れた。それは、メジャーリーガーでも変わらない。  レイズやドジャースでは苦しんだものの、パイレーツに移籍した夏頃からは確変でも起こしたかのように長打を放って存在感を増した筒香嘉智もまた、故郷・和歌山県橋本市に帰っているという。 https://www.asahi.com/articles/ASPDP6WR0PDPPXLB001.html  来季はさらなる飛躍を果たすために英気を養うとともに自主トレに励んで頂くこととして、気に

        • 新生・帝京の原動力は1年生エース―帝京高校試合ルポ―

          【2021年秋季東京大会】 2回戦 帝京6-0駒場学園 於江戸川区球場  スコアボードには、もう0が8つ刻まれている。最後のバッターのバットの空を切らせ、実に“らしい”締め方で、帝京高校・高橋蒼人は9つ目の0をスコアボードにつけた。  東の横綱とまで称される帝京は、秋の時点でチームとしての完成度が高い。  新チーム同士の戦いとなる秋季大会は、身体の線の細さ、シートノックや細かいプレーでのミスなど、まだチームが不完全な状態であることが多い。  その中にあって、既に高校生

        筒香と雨とハマスタと

          都立の雄は揺らがない―小山台高校試合ルポ―

          【2021年秋季東京大会】 2回戦 小山台8-0東大和南 於江戸川区球場  高校野球界で「都立の雄」と言えば、挙がる名はほぼ決まっている。西東京であればかつて甲子園に出た国立、2013年夏の決勝で日大三とぶつかった日野。東東京であれば、これも甲子園出場歴を持つ城東や雪谷など。だが、中でも近年の筆頭は何と言っても小山台高校だろう。  伊藤優輔(現・巨人)を擁して2014年のセンバツに初出場を果たし、一躍その名を轟かせた。その後も2015年夏は準々決勝、2018、19年は2

          都立の雄は揺らがない―小山台高校試合ルポ―

          乙坂智は横浜のスターだった

           笑顔でサインに応じる彼を宜野湾で見たのは、もう2年前のことだ。それまでもレギュラーを掴み切れてはいなかったが、前年にはCSでサヨナラホームランも放ちまだまだこれから、という時期だった。  それだけに、ペンを走らせる彼の顔つきは精悍にも映った。  それから、もう2シーズンも経つ。9月末の横須賀スタジアム最終戦にいるのは、あの時宜野湾にいた彼、乙坂智だ。  蝦名達夫、宮本秀明、その日途中出場の細川成也を入れても外野で最年長の乙坂が打っているのは8番だった。 「9番の次は何番

          乙坂智は横浜のスターだった

          石田健大は強い男だ―2021年9月19日イースタン観戦記―

           もう9月も中旬、巷には月見と題したお菓子やらハンバーガーが並ぶ頃だが、台風一過の平塚はまだ夏だった。セミの鳴き声をBGMに、酷暑が容赦なく首筋を照り付けてくる。  スコアは、9-0だった。まだ2回表で、アウトの赤いランプは1つしか灯っていない。目の前の試合は始まってまだ30分足らず。だが、大勢は既に決したも同然だった。  ベイスターズ先発・有吉優樹の球は明らかに走っていない。ストレートは140キロ台前半、120~130キロ台の変化球も曲がりが緩く、何を投げても日本ハム打撃

          石田健大は強い男だ―2021年9月19日イースタン観戦記―

          本当に勝てていない!?YOKOHAMA STAR NIGHTの秘密

           昨日9月7日から3日間、毎年恒例、すっかりハマスタ名物となった「YOKOHAMA STAR NIGHT」(以下、スターナイト)が開催されている。DeNAベイスターズとして戦い始めた2012年から続き、球団とともに今年で10年目を迎える。  場内演出、毎年デザインを変える限定ユニホームなどで人気を博しているイベントではあるが、スターナイトと聞くと何か心に引っかかるベイスターズファンも少なくないのではないだろうか。  その理由は、スターナイトではチームがあまり勝てていないとい

          本当に勝てていない!?YOKOHAMA STAR NIGHTの秘密

          大阪?神戸?オリックス・バファローズのアイデンティティを探して

           大阪は、住めばほぼ普通の地域だ。誰もがボケるわけでもなければ、早口でまくし立てる人ばかりでもない。トラ柄のオバちゃんにも出会っていない。これらは大阪のイメージでしかない。  ただ1つ、イメージと現実が完全に一致することがある。  阪神タイガース推しである。街も、店も、もちろん人も、トラ、トラ、トラ。  ちょっと待て。阪神タイガースの本拠地は兵庫県だ。れっきとした大阪を本拠地とするチームがあるではないか。 そう、オリックス・バファローズだ。  大阪が抱える唯一の球団にも

          大阪?神戸?オリックス・バファローズのアイデンティティを探して

          2000本も、限界も、遥かその先まで

           時の流れは止まらない。来るな、来るなと思っていても、徐々に、確実に、その時は近づいてくる。現実を目の前に突き出されるたびに、否が応でも意識してしまう。  今年のロペスは、苦しんでいた。ここ2年ほどはずっと「今年はもう衰えるだろう」という人がどこかにいた。だがロペスは毎年のように下馬評を覆し、率は下げても勝負強さやホームランの数で健在し続け、筒香や宮崎やソトが不調な時にこそ気を吐く頼れる存在だった。  今年は、それが違った。この弾道ならスタンドに届く、このコースなら弾き返

          2000本も、限界も、遥かその先まで

          【徹底検証】「横浜を出る喜び」を検証する

           今日10月18日(現地時間17日)、タンパベイ・レイズがアストロズとの試合を制して2度目のリーグ優勝を決めた。今年レイズに入った筒香嘉智はポストシーズンでなかなか出番に恵まれず、この優勝決定戦でも出場はならなかったが、ベイスターズで果たせなかったリーグ優勝を経験できたということになる。  去年まで筒香のバットに祈り続け、メジャー挑戦を表明した時に心の底からエールを送った身としては、彼の夢が1つ叶ったということが嬉しい。  が、その一方で思うのである。「また横浜から出た選手

          【徹底検証】「横浜を出る喜び」を検証する

          “絶対的な何か”なんかなくてもいい―ハマリーマン・大貫晋一が見せてくれたこと―

           コンコンコン。失礼します、と言って部屋に入ると、机の向こうには背広を着たおじさん。見るからに締めなれたネクタイがサラリーマン生活の長さを感じさせ、思わず自分の首元を気にしたくなる。私が腰かけると、彼は落ち着いた口調で尋ねてくる。 「あなたの強みは何ですか?」  去年、今年とゆうに100回以上はこのやり取りを繰り返しただろう。新卒就活のド定番質問、「強み」。大人はみんなに、そして今の私にそれがあって当たり前かのように問いかけてくる。 「はい、私の強さは粘り強さです!」

          “絶対的な何か”なんかなくてもいい―ハマリーマン・大貫晋一が見せてくれたこと―

          【徹底検証】大西が試合に出た「明日」の勝率は!?

           私が好きな応援歌に、大西宏明のベイスターズ時代の応援歌が挙げられる。その歌詞はこんなものだ。 大空高く舞い上がる 君が放つ打球に 明日の勝利が今 すぐそこにある  以前ブログでも書いた通り、これはおかしな応援歌だ。今まさに打席に立っている選手の応援歌なのに、歌っているのは「明日の勝利」なのである。今日の試合、今の打席については言及されていない。大空高く舞い上がる打球を放つことにはなっているが、それが柵を越えたり野手の間を抜けたりするとも歌われない。サードフライで終わりか

          【徹底検証】大西が試合に出た「明日」の勝率は!?

          【徹底検証】「死のロード」の今

           プロ野球が予定通りに開幕していれば、もう30試合ほどはこなしていることになるのだろうか。ゴールデンウイークを迎えてもなお各チームが無敗、マジック143の状態を保っているなど奇跡のようだ……いや、たとえ連敗していてもいいから、二度とこんな事態には遭いたくないが。  開幕して1ヶ月ともなれば各チーム明暗が分かれているものだ。特に広島など、かつてはよく(もしかしたら今でも?)「調子がいいのはこいのぼりの季節まで」なんて揶揄されていた。もはやそんなジンクスさえ懐かしく感じる。  

          【徹底検証】「死のロード」の今