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本当に勝てていない!?YOKOHAMA STAR NIGHTの秘密

 昨日9月7日から3日間、毎年恒例、すっかりハマスタ名物となった「YOKOHAMA STAR NIGHT」(以下、スターナイト)が開催されている。DeNAベイスターズとして戦い始めた2012年から続き、球団とともに今年で10年目を迎える。
 場内演出、毎年デザインを変える限定ユニホームなどで人気を博しているイベントではあるが、スターナイトと聞くと何か心に引っかかるベイスターズファンも少なくないのではないだろうか。

 その理由は、スターナイトではチームがあまり勝てていないということにある。昨日の巨人戦が実は10年目にしてスターナイトにおける対巨人初勝利であったという事実からも、ベイスターズとスターナイトの相性が良くはないということを物語っている。

スターナイトでの戦績
 まず、そもそも本当にスターナイトでは負けこんでいるのか、そして負けこんでいるとしたら勝率などはどうなっているのかを検証した。2012~2020年の9年間、通算26試合(雨で中止となった1試合を除く)の試合結果をまとめると、以下の表のようになる。

戦績1

 イベントが始まった2012年は巨人に3タテ、その翌年も中日に3タテを食らい、さらにその翌年のヤクルトとの初戦まで実に7タテを喫しており、スターナイト初勝利を挙げるまでに3年もかけている。
 ただし、スターナイト初勝利を挙げた2014年からは2017年まで毎年カード勝ち越しは決めており、2018年の対巨人3タテを挟んで2019年勝ち越し、2020年も苦手の阪神に1勝1敗1分けのイーブンと近年は善戦しているともいえる。
 7タテという始まりの印象が未だに「スターナイトは勝てない」という発想につながっているともいえる。

 ただし、最初の7タテと2018年の3タテが響き、通算戦績は26試合で10勝14敗2分けの勝率.416、直近3年に絞っても9試合で3勝5敗1分けの勝率.375とたしかに総じて勝ててはいない。
 ただカード勝ち越しは9年間で5回決めているため、3タテに気をつければそのうち改善するかもしれないとも捉えられる。

敗戦の裏にあったお家芸
 「スターナイトは勝てない」ということが数字でも裏付けられたが、調べているうちにあることに引っかかった。
 やたらと最終回に点が入っているのだ。

 スターナイトは主催試合のため、勝利すれば当然「最終回の攻撃」は発生しない。つまり最終回に攻撃している時点で良くて同点、ベイスターズの場合はたいていビハインドというわけだが、どうやらその時に得点を挙げているパターンが多そうなのだ。

 改めて戦績を検証し、先ほどの表に修正を加えた。それが以下の表だ。

戦績2

 戦績を黄色く塗っているのが、最終回に1点以上入れている試合だ。
 26試合のうち、「最終回の攻撃」があった(≒同点、もしくはビハインドで最終回を迎えた)試合は17試合ある。
 そのうち、7試合で最終回に得点を挙げており、さらにそのうち1試合はサヨナラ勝利をおさめている(2019年7月31日のヤクルト戦)。

 だが重要なのは、他の6試合である。最終回に得点を挙げながら、最終的には負けている。これはまさに、古よりベイスターズがお家芸としている「追いつかない程度の反撃」に他ならない。
 もちろん、中には大量リードを許した中で飛び出した焼け石に水のような得点劇もあるにはあるが、最終スコアを2点差以内の僅差まで持ち込んでいる試合が7試合中4試合(前述のサヨナラ勝利を含む)。終盤、突如怒涛の反撃が始まり、ボルテージが上がるも結局は負ける……という、「追いつかない程度の反撃」のお手本のような試合が、しかも毎年のように展開されているという事実が浮かび上がってきたのだ。

 ちなみに、肝心なのは何点入れているのか、ということだが、驚いたことに7試合全てで最終回の得点は2点以内。「追いつかない程度―」の中でも、かなりささやかな反撃がスターナイトの特徴なのである。
 ビハインドを抱えながら最後だけ反撃し、試合後にはスターナイトのイベント映像……さぞ試合時間が長いことだろう。遠方から駆け付けたファンは終電をチェックしておいた方が良いかもしれない。

 ハマスタ名物として知られるスターナイト、その戦いぶりには更なるベイスターズ名物が隠されていた。

スターナイトが「勝てるイベント」になるまで
 7タテに始まり、勝てない上に追いつかない程度の反撃と、スターナイトにはある意味で非常にベイスターズらしさが込められている。
 しかしながら、直近は苦手の阪神に善戦、今年はついにスターナイト未勝利の巨人に対しても逆転勝利をおさめるなどスターナイトのジンクスも上向きつつある。
 コロナ禍に負けることなくイベントは10年目を迎え、スターナイトが「勝てるイベント」になる日も来てくれるかもしれない。

 ところでこの10年、実はスターナイトで唯一広島とは一度も当たっていない。広島戦にイベント開催をぶつけ、夏のハマスタ広島戦×スターナイトで劇的な勝利を狙っていく……というのも、スターナイト勝率改善に向けた1つの手かもしれない。

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