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読書感想文は○○の記録

短大は国文学の専攻。ゼミの教授は(当然といえば当然なのかもしれないけれど)朝から晩までとにかくずっと本を読んでいたい、というような人だった。

ある授業はじめに、"もういやんなっちゃう" という前置きと共に、こんな質問をなげかけられた。

週末に自室にこもって本を読んでいたら、「食事はカレーでいいよ」とか家族がいうのよ。「カレーなんて私が作るより、外に食べにいってもらった方が100倍美味しい店があると思わない?」「そう思わない?」

私たちは顔を見合わせて思わず笑ってしまったけれど、先生は真剣にそう思っていただろう、いや確実に。当時まだ二十歳手前だったし、そんなこと大真面目に訴える大人は周りにはいなかったので、強さも感じ、可愛くも感じ、羨ましくも感じて、とにかく人として魅力満載。先生のゼミのおかげで、短大生活が楽しくなったのは間違いない。

そんな先生は、印象深い言葉をいくつかくれた。その中のひとつ。

読書感想文を書きなさい。自分の成長がわかるから

例えば今、夏目漱石の「こころ」を読んだとするでしょ。10年後にまた読んだ時、その感想が同じなのか、違うのか。そこでまた自分に気づくのよ。と

当時は紙に書くしかなかったけれど、ブログが出はじめてからは便利。
自分用にこっそり、本、映画、芝居、展覧会などの感想を書き残している。読書量が激減しているので、文学少女的なことは全く言えないけれど、久しぶりに見なおした映画は、主人公の男性目線だったのが、女性目線になってたり、気になった箇所が変わっていたり、そんなことがあるもんだなと気づく。

滅多に見返すことはないけれど、確かに、感じたことを記しておくのは、自分のいいデータベースになっていると思う。蓄積しておいてはじめて見たい時に見れるわけだし。(読んだことすら忘れてしまっていることも多々ある。)

卒業後10数年たった頃、ゼミ仲間が連絡をくれて、それ以来先生とご一緒する機会が増えた。その席で「先生のこの言葉が心に残ってます。」と話すと、「まぁ❤️ もう1回(皆んなにも)話してみて」と言われる。
もちろん、話すのは"カレー"じゃなくて、"読書感想文"の話。


#読書感想文

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