見出し画像

個人の力、チームの力

この記事は "Goodpatch UI Design Advent Calendar 2019" 17日目の記事です。

必要なのは個人の力

今年1年デザインチームというものに向き合う中で私は「何かを成し遂げるためにベースとして必要なのは個人の力」だということを痛感しました。

みなさんは「チームの力」と聞いてモヤモヤすることはありませんか?

誤解を恐れずに言うと、チームになった途端に個人の能力が高まるなんてことはありえませんし、一定の成果を出せないメンバーがいるとチームが停滞してしまうことは珍しくありません。もちろん私自身がプロジェクトを停滞させる原因になってしまうこともしばしばあります。

チームとして個人の成長をフォローできるかもしれませんが、それには限界があります。個人の成長には個人の努力が必要不可欠です。

チームは面倒

何と言っても、チームは面倒なのです。チームで活動するということは、メンバーの能力やモチベーション、ワークスタイル、時にはパーソナルな部分に向き合う必要があります。チームを作る過程でメンバーは衝突し、その結果メンバーの心と体は消耗していきます。そしてこの事象はチームメンバー全員にとって避けられない壁です。

だから、チームで取り組むより「自分一人の方がいいものを作れるし、スピードも速い」という気持ちになっちゃいますし、事実として一人の方が速く、一貫性のある成果を出せる場合もあります。

上に書いたような状況を避けるために、チームには「チームビルディング」という特別な活動が必要になってきます。が、たくさんの時間と労力をかける割にチームビルディングはなかなか上手くいきません。その費用対効果に疑問を持つ方は少なくないかと思います (レトロスペクティブなどのチームビルディング系の活動は優先度が低く参加者が少なくなっていく…そんな現場をいくつも目にしてきました)。

ちなみにGoodpatch Anywhereでのチームビルディングについては以下のnoteに詳しく書かれています。

この記事にはこんなことが書かれています。

しかし私たちはリモートワークだからこそ当たり前のことを徹底して取り組み、地道な努力を積み重ねることによって今のチームを作っています。
このような泥臭いことを地道に続けているのがAnywhereです。

チームづくりは、とにかく地味で地道な取り組みで、即効性もありません。そして成果が出るまでの道のりが長いのです。

ダニエル・キムの成功循環モデルでも、成功を作るためのチームを作るには関係性の構築から成功体験の積み重ねを経る必要性が言われており、遠回りが必要であることが示されています。

チームビルディングには銀の弾丸も無ければ、近道も存在しない…チームは面倒なのです。

遠くまで行きたければ、みんなで行け。

私はチームの意義を「事業を成功させたり前に進めるための戦術の一つ」だと捉えています。チームであることは単なる手段です。仲間の力を信じて戦う…といった少年ジャンプ的発想とは異なるスタンスです。

早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。

これはアフリカのことわざです (チームメンバーに教えてもらいました) 。こう言われているように、チームで戦うことで、やはり一人でできないことがチームではできるようになります。

では、チームで戦うことで具体的に何ができるのでしょうか?

クオリティの側面

【壁打ちができる】
自分の成果や考えをチームに共有することで壁打ちができます。ペアデザインやもくもく会が代表的なワークですね。

チームと一緒にデザインすることで、小さなレビューを高速に積み重ねてクオリティを高めることもできますし、長期的に見ると個人のスキルアップにもつながります。もちろん通常のデザインレビューも有効です。

【複数の視点からアプローチできる】
チームはメンバーごとに異なる知識、異なるスキル、異なる立場を持っています。そうすると一人では持ち得なかった視野からプロジェクトにアプローチできます。チーム内でリフレーミングを発生させやすくするために、複数の視点が存在することは重要です。1人だとどうしても視野が狭まっちゃいますよね。

【アウトプットの量を出せる】
そして何よりこれです。質を高めるためのアプローチは様々ありますが、アウトプットの量は質をあっさり凌駕します。

Goodpatch Anywhereでは1つのプロジェクトに複数名のデザイナーがアサインされます。複数名のデザイナーがいると、アイディアを大量に出し合い、そのアイディアからの学びを一つにまとめたり、過去のアイディアを破壊するようなワークが可能です。

みなさまのご想像のとおり、大量のアウトプットから学びを得て一つにまとめていく作業は技術的にもマインドセット的にも難易度が高い作業です。一歩間違えると「折衷案」「合体」といった、学びよりもチームメンバーや上司、クライアントの納得度を高める方向に舵が切られてしまいます。

アウトプットは学習であり、成果の破壊であり、再構築のアプローチであることを共通認識として進める必要があります。

役割の側面

【複数領域を1チームで担える】
チームメンバー同士が不得意領域を補完しマイナスをゼロにしたり、得意領域に貢献することでプラスをさらに増やすことができます。得意領域の異なるメンバーが集まると、例えばUIデザインを例にすると要件や情報構造を固める時期、ビジュアルの精度を高める時期など、プロジェクトのステータスに応じて主体となるメンバーをスイッチしながらデザインワークを進めることができます。

【トラックナンバーの向上】
チームではなく個人で仕事をしていた場合に、もし自分が仕事をできない状況になったら…デザインに関する進捗はそこで止まってしまいます。チームだとその穴をフォローしあうことができます。エンジニアリングの世界でいうトラックナンバーの向上という考え方です。複数の人数が同じ役割を担えるようにすることでトラックナンバーを向上できます。

影響力の側面

デザイナーと異なる役割や立場になることが多い「エンジニア」や「クライアント」は、デザイナーに比べていつも人数が多いですよね。デザイナーはパワーバランスの面でいつも不利です。

デザイナーもチームを組み多対多でやりとりができるようになると、チーム内のパワーバランスの均衡が取れるようになります。パワーバランスの均衡がとれると、複数のメンバー各自が関係者とコミュニケーションをとれるようになり、その結果チーム内での影響度を高めることができます。

わかりやすいところではSlackのリアクション。一人だといくらがんばってもカウントは1ですが、チームメンバーがいればリアクションのカウント数を増やすことができます。カウント数は盛り上がり感を作って、場の文化づくりに貢献します。

複数の人間による複数のノードを通したコミュニケーションについては「ネットワーク効果」や「ソーシャルキャピタル」という概念で説明できそうです (この概念は数年前にバズった「群衆の叡智もしくは狂気」で体験できます)。

個人戦から集団戦へ

2019年8月にGoodpatch Anywhereのイベント「Ezo-patch」を開催しました。

こんな感じで参加者の皆様を巻き込んでmiro上のグラレコにわちゃわちゃとメモや学びを書いてもらいました。背景では参加者がスムーズにわちゃわちゃできるよう、Anywhereメンバーがmiro上でお手本書いたり、参加者のコメントに感想を書いたりしてました。一人ではできない戦い方ですね。

10月にはFigmaのミートアップで事業責任者の齋藤(@qnoub)が登壇。

プレゼンって一人でやるものですよね?その常識をぶっ壊し、このイベントではAnywhereメンバーが遠隔地から参戦。Figmaのオブジェクトを各人が掴んで遠隔からプレゼンの演出をしました。現地はばっちり盛り上がったとのこと。これも一人では無理ですね。

チームだから戦場に立てる

「スターデザイナーが引っ張る時代が終わった」と言われ始めている背景のひとつとして、世の中が複雑すぎてスターデザイナー単身ですべてを解決できる世界ではなくなっていることが挙げられます。

また、近年大手コンサルティング企業はデザインファームを買収し続けており、チームにデザイナーやデザイナーのやり方を取り入れようと躍起になっています。

中国では当然のようにDXが進み、メガアプリを始めとして生活の基盤としてデジタルが溶け込んでいる世界に変わってきています。

世の中が複雑になり、デジタルが扱う領域が広がってきている現在、デザイナーの能力は必要とされてはいるものの、複雑な世の中に対応するために事業体は「戦術」としてチームを扱わなければ世の中に変化をもららすのは難しくなってきています。デザイナー単身で戦場に立つことが難しい世の中になってきているとも言えます。

一人では立ち向かうのが難しい課題があふれるこんな世の中だからこそ、私達は戦場に立ち続けるためにチームで戦うことを「戦略」としてチョイスすることに可能性を見出せるかと思います。

だからこそ私達は、能力を高める努力を個人の基盤としながら、チームで戦うための様々な面倒を乗り越えていく必要があるのです。

「早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け。」まさにこの言葉にすべてが集約されています。

終わりに

最近同僚とGoodpatch Anywhereについて「Anywhereはオーケストラのようだ」「ライブ感がすごい」「スポーツっぽい」というお話をすることがあります。

メンバーと一体になり、全員で一つのことを成し遂げようとする体験がチームにこの感覚を生み出しているのだと思います。

そしてその土台となる面倒なチームビルディングに意味を見出し、ポジティブに実践する仲間達のおかげで、私達はオーケストラや、ライブや、スポーツのようにチームであること活かし、チームを戦術として扱い始められるようになってきている気がします。

一方でチームビルディングに関してはデザインの世界に比べてエンジニアリングの世界に一日の長があるなあとも感じてしまいます。チームとしてのデザイナーのあり方については、もっと世の中と議論していく必要がありそうです。

来年も、デザインチームとしてのGoodpatch Anywhereで新しい可能性を見出していきたいです。

🎄🎉🎂🎄🎉🎂🎄🎉🎂

そんなGoodpatch Anywhereは
仲間を絶賛大募集中

🎄🎉🎂🎄🎉🎂🎄🎉🎂


最後までポエムを読んでいただきありがとうございました!
Goodpatch Anywhereの働き方をもっと知りたいという方は、コチラのnoteマガジンに記事がまとまってるのでご覧くださいー!!

採用も積極的に行っているので、ご興味のある方はお気軽にbosyuへどうぞ!!

それでは皆様よいお年を🎍

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?