森の中のフレンチレストランに行って来ました
夏の暑い盛り、中央道の勝沼インターを出て、なだらかな斜面に広がる葡萄畑の中を貫くフルーツラインを十数分ほど走る。
脇道に入ると道幅はどんどん狭くなり、小さな川に掛かった橋を渡るとクルマ一台通るのがやっとの道となる。
もし対向車が来たら大変だと思う間もなく、目的地のフレンチレストラン「エリソン・ダン・ジュール」に到着した。
鬱蒼とした森の中にポツンと、うっかりすると見過ごしてしまいそうな、ひっそりと佇むレストランだ。
ちょっとだけ離れたところにある駐車場にクルマを停めると、そこには三匹の山羊がいた。たぶん、父親と母親と子供の山羊だと思う。
子供の山羊は人懐っこく、遊んで欲しいのか、こちらを向いて盛んにメェーメェーと鳴いている。
一方、親の山羊は我関せずと辺りに生えている雑草をむしゃむしゃと食べていた。
さて肝心の料理だが、一品一品がとても丁寧に作られており、味付けが主張し過ぎることもなく大変に美味しかった。
コース料理の品数は多いが一品一品の量が適切で、かつフレンチにしてはクドくなく、デザートまですんなりと味わえる。
個人の感想だが「フレンチ」というと、素材の味を霞ませかねない濃い目のソースやメリハリのやや効き過ぎた味付けという印象がある。しかし、ここ「エリソンのフレンチ」はそれとは対照的だった。
中でも印象に残ったのが、とうもろこしの冷製スープと山羊の自家製チーズ。
とうもろこしの冷製スープはさっぱりかつ深いコクがあり、お代わりしたいほど。
山羊のチーズは初めて食べたのだが、予想に反してクセもなくクリーミーで大変美味しかった。
このチーズの原料は駐車場にいた母山羊のミルクなのだろう。
このレストランはご夫婦で営まれており、適度に抑制された接客が心地良かった。
実りの秋の今の季節は、周囲の森で採れた栗やキノコを使った料理が提供されるらしい。機会があれば、また訪れて味わってみたい。
東京都心から中央道経由で一時間少々なので、都会の喧騒を離れてゆっくりと食事を楽しみたい方には、ぜひお薦めしたい。