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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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2020年2月の記事一覧

【第13章】夜明け前戦争 (6/12)【再編】

【第13章】夜明け前戦争 (6/12)【再編】

【目次】

【黒煙】←

「──というわけでして、以降、『龍都』側の戦力の指揮は、こちらのシルヴィアどのに一任されました。これは、龍皇女殿下の意向なのですよ」

 ちろちろと燃える篝火が夜闇を照らすなか、集合をかけられた『龍都』防衛に参加している人間たちとドラゴンたちに、アリアーナが告げる。

 人間態の側近龍の横で紹介されながら、シルヴィアは居心地の悪さを覚える。圧倒的戦力差を見せつけられて、士

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【第13章】夜明け前戦争 (5/12)【黒煙】

【第13章】夜明け前戦争 (5/12)【黒煙】

【目次】

【急襲】←

「なんということ……」

 クラウディアーナは、表情を変えることなく、呆然とつぶやいた。龍皇女と、アサイラ、シルヴィア、アリアーナの四人は、夜闇に沈む『龍都』の街並みを見る。

 人家に灯っている明かりは、わずかだ。代わりに、カンテラを手にした衛兵や自発的に救護活動に加わった市民が走り回っている。

 月光に照らされて、街のあちこちから立つ黒煙が見える。『龍都』のシンボル

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【第13章】夜明け前戦争 (4/12)【急襲】

【第13章】夜明け前戦争 (4/12)【急襲】

【目次】

【来訪】←

──ブォン。

 自然界では、絶対に耳にすることではないであろう奇怪な音が響きわたる。空間が歪み、緑色に輝く円が現出する。

 緑の円──次元転移ゲートは、サイズを増し、最大半径まで広がりきると、超自然の光の向こうからいくつもの人影が現れる。

 見れば、周囲にはいくつものゲートが展開され、その向こう側から持ちこまれたと思しき機材が、迷彩柄のテントのなかに運びこまれていく

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【第13章】夜明け前戦争 (3/12)【来訪】

【第13章】夜明け前戦争 (3/12)【来訪】

【目次】

【湖面】←

「ただいまだわ!」

 玄関口のドアが勢いよく開かれる。『淫魔』の声が、中央に寝台の鎮座する円形のリビングに反響する。

 部屋のすみに置かれた丸テーブルを挟んで向かいあっていた二人の居候──着流し姿のリンカとミニスカートのメイド服を着たシルヴィアが、声の主に顔を向ける。

「おじゃまいたしますわ」

『淫魔』の後ろから、白銀の髪を編みこみ、精緻な刺繍の施された純白のドレ

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【第13章】夜明け前戦争 (2/12)【湖面】

【第13章】夜明け前戦争 (2/12)【湖面】

【目次】

【正妻】←

「次元世界<パラダイム>の再生……『龍剣』には、そんな力もあるのか」

「上位龍<エルダードラゴン>の骨ともなれば、すさまじい導子力を内蔵しているだろうけど……あらためて聞いても、驚きだわ」

「……わたくしは、他の次元世界<パラダイム>に『龍剣』の存在が伝播していると聞いて驚きました」

 わずかのあいだ、沈黙を保っていたクラウディアーナがふたたび口を開く。

「わたく

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【第13章】夜明け前戦争 (1/12)【正妻】

【第13章】夜明け前戦争 (1/12)【正妻】

【目次】

【第12章】←

「うふふふ……あはははっ!」

 玉座のうえの龍皇女は、膝掛けに身を預け、腹をよじる。突如、笑い出した君主に、側近龍たちは呆然とする。アサイラと『淫魔』も同様だ。

 戸惑う面々の視線に気がつき、玉座のクラウディアーナは姿勢を正す。

「いえ、失礼いたしました。うふふ、なるほど。そういうことですか、『淫魔』……たしかに、その通りですわ」

 龍皇女は、目元に笑みをたた

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【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (12/12)【天命】

【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (12/12)【天命】

【目次】

【伴侶】←

「げぼっ! げぼお──ッ!!」

 ただっ広い空間に、老人のむせこむ声が響きわたる。薄暗い、円形の部屋だ。床と壁は金属質の素材でできていて、天井は分厚い特殊ガラス越しに星々が見える。

 広間の中央には、巨大な円柱状のオブジェクトが鎮座している。樹の幹を模したような人工物からは、緑色の輝きがこぼれ、部屋の数少ない光源になっている。

 機械の樹の足元からは、まるで張り巡ら

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【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (11/12)【伴侶】

【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (11/12)【伴侶】

【目次】

【奉迎】←

「試練を乗り越え、『龍都』にたどりついた人と龍よ。わたくし、クラウディアーナは、そなたたちに心よりの祝辞を送ります」

 最後に中央へと降りてきたドラゴンの背のうえから、凛とした女性の声が響く。水を打ったように、周囲の人々のざわめきが消え、あたりが静寂に包まれる。

「うふふふ。今日は、祝祭の日ですわ。無礼講、とまでは申しませんが、そこまでかしこまる必要もないのですよ」

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【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (10/12)【奉迎】

【第12章】龍たちは、蒼穹に舞う (10/12)【奉迎】

【目次】

【勝者】←

『──行け。負けを認めてやるぞ。今回だけは、な』

 縦長の龍の瞳孔が、アサイラをにらむ。青年は、拳をほどきながら、ゆっくりと立ちあがる。顔をあげれば、側近龍が翼を羽ばたかせ、ゆっくりと浮上する。

「アリアーナ。だいじょうぶか?」

『治癒の魔法<マギア>で、止血し、応急処置をしました。万全にはほど遠いですが、ゴールまでなら保つはずなのですよ』

 ヴラガーンの肩から問

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