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おバイク一人旅~山形→福島(復路)2019.5.3

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山形県鶴岡市のホテルで目覚めた、旅の2日目は、前日の強風がすっかりおさまって、最高のツーリング日和だった。
往路はほとんど新潟を走っていたので、復路は山形を堪能!
ルートとしては、月山道路から内陸に入って、最上川沿いに南下。最終的には米沢市から福島市に抜け、東北道に乗って帰るつもりでいた。

まずは宿泊したホテルから、R112を通って、道の駅月山に立ち寄った。
バイク用の地図、ツーリングマップルに記されていた「大梵字おやき」を狙っていたのだが、時間が早かったため食べられず、珍しい「山ぶどうシャーベット」の甘酸っぱさで気合を入れた。
月山道路(月山花笠ライン)は、R112のバイパスであり、自動車専用道路であり、おそらく山形自動車道の一部にもなっている、素晴らしい山岳ルートだ。道路は整備され、急カーブやきつい峠もない。下手くそな私でも、五月の山々に溢れる緑と、標高の高さを実感させる、ひんやりとした空気を楽しみながら走ることができた。

月山道路を抜けると、月山湖の寒河江ダム近くに出た。
穏やかな水面と、やわらかい春の陽射しに、思わず愛機を止め、ヘルメットを被ったまま写真を撮っていると、十数台のツーリンググループが通りかかった。カワサキが多いなと思いながら、何となくぼんやりと、そのバイクたちを見送った。
このグループの正体は、旅から帰った後、思いがけず明らかになる。けれど、この時は特にナンバーも見なかったので、そんな未来があることなど、想像さえしなかった。

寒河江ダムから、今度は西へ向かって、再びR112を走った。
次の目的地、道の駅寒河江は、寒河江川沿いに建つ、とても大きな道の駅だ。道の向かい側に、一面のさくらんぼ畑が広がっているのが、山形の象徴に思える。
この日は痛車のイベントがあり、その中に、アニメ「ばくおん!」の主人公が乗っている、ピンクのCB400SFを模したバイクが展示されていた。
道の駅に併設されたレストランを見ると、前日の夕食を、コンビニのお弁当で済ませてしまった悔しさが蘇ってきた。こうなったら、1食ぐらい贅沢してやると、ここで山形牛のステーキ丼・1,500円也を堪能した。

寒河江からはR287に出て、最上川と追いかけっこをするように、南へ下った。
最上川では鮎がとれるそうだ。実際、道の駅白鷹ヤナ公園に立ち寄ると、裏手の川に漁をするための「ヤナ場」があり、その上で鯉のぼり達が空を見上げる、なんとも五月らしい風景がはためいていた。
そのままR287で米沢市まで南下し、R13で東に方向転換、栗子峠(を抜けるふたつのトンネル)を通って福島市に入り、東北道に乗る予定だった。しかし、困ったことに、ここで東北道が大渋滞しているとの情報が届いたのだ。
それは嫌すぎる、さてどうしようと地図を開き、にらめっこを始めると、ちょうど米沢市から始まるR121が、栗子峠とは逆方向の、会津地方へと伸びていることに気づいた。
そうだ、これを通って、会津若松から磐越道に乗って帰ろう!
東北道と違って、磐越道は渋滞知らずだ。しかも会津若松から、私の地元いわきまで、まっすぐ一本で帰れる。
急な予定変更になったので、ここからはヘルメットのインカム(通信機のようなもの)とスマホのナビをBluetoothでつなぎ、音声だけを聞きながら、会津を目指した。

期せずして走ることになったR121だったが、信号がなく、路面の状態も良い改装路だった。
風情のある、道の駅田沢で休憩を取り、缶コーヒーを飲みながら、このルートで逆に良かったと思ったほどだ。
改装路ゆえに飛ばしてくる車に道を譲ったり、4km近くあるトンネルを抜けたりして、まだ明るいうちに会津若松に着き、磐越道で無事に帰ることができた。

この旅には、後日談がある。
旅の2日後、私はいつもお世話になっているバイク屋さんに行ったのだが、社長が私の顔を見るなり「連休、どっか行った? 」と、勢い良く聞いてきた。
山形に行きましたよと答えると、今度は「3日の午前中、月山道路通らなかった?」という、ピンポイントな質問。
実は、私が寒河江ダムで見送ったツーリンググループは、このバイク屋さんと常連さんの御一行だったのだ!
社長と整備士さんが私に気づき「絶対アイツだ」という話をしていたというのだから、世の中はおもしろい。
私がバイクを買った頃、なかなか乗れるようにならなかったことを知っている社長が、ひとりでどこにでも行けるようになったんだねぇ、と目を潤ませてくれたのが、とても、とても嬉しかった。

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