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おバイク一人旅~山形県酒田市→秋田県大潟村→角館温泉(2日目)2021.4.23

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秋田へのバイク旅は、2日目も抜けるような青空だった。
この旅最大の目的地、大潟村の菜の花ロードへ向かう日だ。
今年は桜が早く、散ってしまうだろうと一時は諦めたが、寒くなった時期があったおかげか、何とか花が残っているとの情報を得ていた。
一直線に伸びた道路の両側に咲く、菜の花と桜の光景。本当に間に合ったのか、一抹の不安を抱えながら、愛機に跨った。

美味しい和食の朝食をいただいてから、鳥海山荘を後にして、山道を下りる。まだタイヤも道も温まっていない上に、意外と対向車が来るので、慎重に走った。
国道へ出て、R345を北西に走ると、日本海のそばでR7へぶつかる。そこからは秋田を目指し、北へと進路をとった。

R7は酒田市から秋田市まで、ほぼ日本海に沿うように、北上していく。平日のせいか渋滞もなく、快適に走ることができた。
途中、山形と秋田の県境にある、三崎公園の駐車場にバイクを止めて、少しだけ海を眺めた。凪いだ日本海は、私が見慣れた太平洋より、少し海がせり上がって見える。
そして、秋田県を走っていくうちに、海の上に島影が見えてきた。あれが飛島かな、と思いつつ、さらに北上を続けると、にかほ市の道の駅象潟(さきかた)に到着した。

道の駅象潟はとても大きな駅で、日本海を一望できる丘が裏手に作られていた。
遠くに、飛島がはっきり見える。夕方だったなら、どれほど美しい夕陽が拝めるのだろうと、深呼吸をしながら思った。

駅の展望台からは、JRのCMで吉永小百合さんが訪ねている、天然記念物の九十九島が見えた。
鳥海山の噴火や、大地震で現在の形になったが、かつては本当に、水面に浮かんでいたらしい。
田んぼに水が張られると、その頃のような風景になるそうだが、見られなくて残念だった。
また、にかほは無花果の北限とのことで、それを使ったソフトクリームを迷わず購入(この後、別なソフトクリームを食べる予定なのに・・・)。さっぱりしていて、とても美味しかった。

象潟を後にして、日本海を眺めながらさらに走っていくと、今度は水平線に、2つの島のようなものが見えてきた。
飛島は過ぎたし、なんだろうと思っていると、2つに見えた島が、実はつながっていることがわかった。
あっ、男鹿半島だ! そう思った瞬間、大袈裟ではなく、胸が鳴った。
2年前に訪ねたその半島が、秋田市に近づくにつれて、ぐんぐん大きくなってくる。写真を撮れなかったのだが、その光景はなかなか面白く、まるで海に浮かぶ要塞のような、圧巻の見応えだった。
R7から、火力発電所の所で県道56号に入り、男鹿の手前から大潟に向かう。このルートを選んだのは、途中にある、道の駅てんのうに寄りたかったからだ。私はこの2年間、そこで食べた、生キャラメルソフトクリームの味が忘れられず、恋焦がれ続けていた。

見た目は地味だが、私が食べた数々のソフトクリームの中で、これがぶっちぎりのナンバーワン。とにかく、とにかく美味しい!!
注文しながら「私、2年前に食べた、これが忘れられなくて」とスタッフの方に話したら、一盛りおまけして下さった。
神対応に大感謝しながら、甘い甘いひと時を過ごして、エネルギーも心も充填してから、大潟村へと走り出した。

R101を男鹿方面へ向かい、右折して県道42号へ。北へ向かうその道が直線に入ると、両側に咲き誇る菜の花が迎えてくれた。
今回の1番の目的地、菜の花ロードの始まりだ。
華やかな黄色にわくわくしながら、広い田園の中で、道村大川線と呼ばれる県道296号に入り、進路を東に変える。
そこに、ずっと見たかった光景があった。

まっすぐな道路の両脇に、桜と菜の花が同時に咲く、幻想的な世界。
それは、北東北の雄大な干拓地が迎えた、圧倒的な春の風景だった。
私の拙い写真では、その圧巻の景色を伝えられないのが、もどかしくて仕方ない。実際に目にしたその春は、思わず涙がこみあげたほど感動的で、あまりにも美しかった。
道の両側には、1件の建物もない。空と桜と菜の花、そして気持ちよく伸びる道路、それだけ。本当に日本なのかな、と思ってしまうほど、潔かった。

愛機も楽しげに、ミラーやタンクに、その春を写し取っていた。
この風景は、また見たい。何度でも見たい。きっと、飽きることなどないだろう。

宿へ向かう前に、ツーリングマップルに「花の道の駅」と書かれていた、道の駅しょうわに寄った。
広い敷地に、たくさんのチューリップが一角を作り、道を作り、可愛らしく春を告げている。大潟とはまた違う、カラフルな光景だった。

身近な花から鮮やかな蘭まで、バラエティー豊かな温室も、見ていて楽しかった。
小人のようなストロベリーポットは、私の友人が好きそうな愛嬌があり、思わず撮影した1枚。 

昭和男鹿半島ICから、大仙市の協和ICまで、少しだけ秋田自動車道を使った。
大潟の桜は散り始めだったが、大仙市では、いちばんの見頃を迎えていた。
ちょうど、午前中は海を、午後は花を追いかけて走ったような、贅沢なツーリングとなった。

この日のお宿は、角館温泉の花葉館に予約していた。
通された和室は畳が新しく、い草の香りが清々しかった。露天風呂には小さなしだれ桜が咲いていて、期せずして贅沢な、花見風呂を楽しむことができた。
夕飯のメインディッシュは、秋田らしくきりたんぽ鍋。郷土料理を宿で楽しめるのは、その美味しさと、遠くに来たという満足感も相まって、本当に嬉しくなる。

この日の走行距離は、約250kmだった。思ったより短かったのは、いろいろな風景や味覚がぎゅっと詰まり、立ち寄った絶景を見ている時間が長かったためだろう。
その夜も、ぐっすりと眠って、疲れを癒すことができた。実は、思い切り爆睡することも、旅の楽しみのひとつだったりする。

3日目はこちら

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