短編小説「一番乗りの笑い」
新作アニメのDVDが今日発売となり、街には興奮と期待が漂っていた。かずやは早朝から出発し、行列ができることを予測して早めに到着した。しかし、到着してみると、誰も列には並んでいない。
「えっ、どうしてだろう?」
かずやは驚きながらも、嬉しさが勝って「やったー、一番乗りだ!」と喜びを爆発させた。そんな瞬間、インタビュアーの人がかずやに近づいてきて、マイクを手に質問をぶつけた。
「一番乗りおめでとうございます!今日の気持ちはいかがですか?」
かずやは微笑みながら答えた。「すごく嬉しいですね。このアニメが大好きで、今日のために早起きしました!」
インタビューが進む中、行列がどんどん伸びていく様子が見受けられた。再びインタビューアーがかずやに向けて質問をしようとしたが、どこにもかずやの姿は見当たらない。
一方で、かずやは行列の最後尾に並んでいた。再びインタビューアーがかずやに向かって歩み寄り、不思議そうな表情で問いかけると、かずやはにっこりと笑って答えた。
「おなかがすいたので、ご飯を食べに行っていました。」
おしまい。
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