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忍殺第1部再読感想ログ

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忍殺第1部の再読記録です。
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【忍殺第1部再読】再読感想文一覧

【忍殺第1部再読】再読感想文一覧

 AOMシーズン3を大興奮で読み終わり「忍殺、やはり最新話が一番おもしろいんだよな~最高~」と暢気していた私ですが、殺気に気がつき振り向くと、過去の私がこちらに銃を突きつけ「じゃあ、第1部は一番つまらないってのか……?」とぶちギレていました。もちろんそんなことはありません。第一部だってめちゃくちゃおもしろいのが忍殺です。むしろ、一番おもしろいかもしれません。第2部以降、失われたおもしろさがそこには

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【忍殺第1部再読】「トレジャー・エヴリー・ミーティング」感想

【忍殺第1部再読】「トレジャー・エヴリー・ミーティング」感想

合縁死縁 物理書籍限定エピソード。ほんの一瞬交錯する、死と絶滅の奇縁。「一期一会」と題されながらも、今後、長く長く続くいてゆく、ヤモトとシの眷属の物語の前夜祭めいた一編となっています。登場人物が限定されていた第1部において、思わぬキャラクター同士が起こすケミストリーを描いた本作は、第1部でありながら、どこか第3部やAOMに近しい雰囲気を備えているような……。いずれにせよ、非常にスペシャルなトラック

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【忍殺第1部再読】「パンチキ・ハイウェイ・バーンナウト」感想

【忍殺第1部再読】「パンチキ・ハイウェイ・バーンナウト」感想

静かに乾き沈むもの 物理書籍限定収録エピソード。巨大ハイウェイ高架下の朽ちたマンション。そこに住み着いた救いのないヨタモノめいた人間たち。あまりにも脈絡なく、何かしらの比喩めいて物語に登場するネオサイタマの死神。印象的に繰り返される「半額シール」のガジェット。そして、示唆的に倒壊するグローリアス・フジサン。物語の構成要素の多くが荒廃した静けさを帯びており、それらを取り扱う手つきがどこが古典文学作品

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【忍殺第1部再読】「ボーン・イン・レッド・ブラック」感想

【忍殺第1部再読】「ボーン・イン・レッド・ブラック」感想

神話性の裏地 物理書籍限定収録エピソード。小説『ニンジャスレイヤー』第1話。……第1話!? 10年を超える連載期間を持ち、文庫100冊以上にもなる大サーガの、第1話!? 改めて向き合うにはあまりにも重すぎるランドマークであり、「クリスマス・イヴだから、久しぶりに読むか~」とのんきしてた私も、扉絵を見た瞬間、思わず姿勢を正すことになりました。しかし、いざ読み返すとシヨンが脳内で再生されて気が狂いそう

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【忍殺第1部再読】「ネオヤクザ・フォー・セール」

【忍殺第1部再読】「ネオヤクザ・フォー・セール」

悪の組織の原風景 「サプライズド・ドージョー」前のソウカイヤでの一幕を切り取った掌編。非常に短いエピソードということもあり、この作品が忍殺初接触であるヘッズも多いのではないでしょうか。私はまさにそうですね。第一部物理書籍発売開始時、twitter読者であった友人に薦められて第一巻を読んだのが自分の『ニンジャスレイヤー』との出会いです。その時、目次を眺めて最初に選んだのが最も短いこのエピソードでした

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【忍殺第1部再読】「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」

【忍殺第1部再読】「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」

個人的にはシヨン版がベスト 第一部を、いや、『ニンジャスレイヤー』を代表すると言ってもいい、名作エピソード。下世話な言い方をするならばいわゆる「泣ける」作品であり、忍殺ニュービーにとって、「キックアウト・ザ・マザーファッカー」に並び、ネタ小説という第一印象を覆すきっかけになるお話ではないでしょうか。重篤ヘッズ的には「ニンジャの子づくり」が写実的に描かれた貴重な資料ということになるのかな? シルバー

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【忍殺第1部再読】「ネクロマンティック・フィードバック」

【忍殺第1部再読】「ネクロマンティック・フィードバック」

忍殺初の群像劇? 「デッドムーン・オン・ザ・レッドスカイ」と合わせて、ゾンビー二部作とでも呼びたいエピソード。ニンジャスレイヤー本人の物語が重点された前者とは異なり、モータルたちが主役が務め、フジキドはあくまで舞台装置に徹しているのが印象的です。何の前ふりも伏線もなくいきなり舞台上にあがりこんでくる赤黒の死神の異物感はちょっと驚かされるものがあり、何かの間違いが起きてしまったんじゃないか、ひょっと

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【忍殺第1部再読】「ガイデッド・バイ・マサシ」

【忍殺第1部再読】「ガイデッド・バイ・マサシ」

正気か? AOMで言うところのプラスエピソード味を感じる、番外編めいたエピソード。サツバツとした救いのない展開は言葉の上では確かに第一部のものではあるのですが、なんかエピソード全体のテンションが浮足立っているというか、地に足がついていないというか……とにかく頭から尻までヘンテコ(かっこよく「奇妙」と表現できるほど、座りのよいものではない)であり、読み直していて三回くらい「ボンモーこれひょっとしてふ

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【忍殺第1部再読】「チャブドメイン・カーネイジ」

【忍殺第1部再読】「チャブドメイン・カーネイジ」

物語の斬首台 ニンジャスレイヤー第1部、「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」の続編にして、ユカノ捜索編からの一編。それにしても何とソリッドな短編なのでしょう。ドラマやキャラクター小説としての解像度が上がった現行連載に親しんでいる身としては、この本身の小説が放つ殺気には身の危険すら感じてしまいます。ダークニンジャは各部のカラーに合わせて味変されてゆくキャラクターだと思うのですが

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