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2020年2月の記事一覧

さくら

さくら

それはいつの頃からか、時々私の夢の中に現れる風景だった。
気が付くと私はいつも桜の木の下にいた。とても大きいだとか、樹齢何百年だとかそういう特別神々しい佇まいをしている訳ではなく、どこかの学校や公園にありそうなよくある感じの一本の桜の木だった。その桜の木の他には特に何もないような場所で、時々風に吹かれながらたった一本だけそこに立っていた。夢の中に出てくるその風景は不思議といつも同じ場所だった。

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