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なんとなく

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とりとめもない話
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助手席

助手席

「吉野家、エネオス…」

「眠いんだろ」
自分で気付いていなかったクセ。
助手席で睡魔におそわれると目についた看板の文字を声に出して読み始める。
楽ちんだったけれど、ただ助手席に座っているだけの女にはなりたくなかった。

仕事仲間が若い頃に会社の女性の先輩から「自分で電球を取り替えられるようになったらおしまいだよ」と言われたらしい。
脚立を持ってきて電球どころかシーリングライトも取り替えるし、自慢

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水

白くなったり、灰色になったり、オレンジ色に染まったり、伸びたり切れたり…
雲には同じ瞬間は絶対になくて。
山々を季節ごとに彩る葉や花たちは毎年同じように見えても、やっぱりまったく同じではなくて。
風に急かされ、季節にまかせ、太陽や月とすれ違いながら…

洗車機の中にいるような激しい雨が降りました。
前を走る車、見上げる高速道路の裏側…
輪郭を縁取る雨の模様が美しい。
水って、色なんてないのにね。

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