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10月19日(水)は台湾在住作家の片倉佳史さんと台湾のお粥について対談しました。

 対談で話題にした台湾式朝食店「永樂雞捲大王」は 1907 年に永楽市場で始めて、現在は延平北路上に店を構える100 年以上続く老舗です。(営業時間は朝7時半から午後 1時まで)この店の名物は「雞卷 (ke-kńg)」です。で早朝に行かないと売り切れます。僕は先日、この店で香菇肉糜 (hiun-koo-bah-môe) と紅燒肉 (âng-sio-bah)を頼みました。

香菇肉糜 (hiun-koo-bah-môe) と紅燒肉 (âng-sio-bah)

 紅燒肉 (âng-sio-bah) は紅糟 (âng-chau=もち米に、紅米、 麹を加えてお酒を作った時に出来る酒粕)と米酒(bí-chiú)、醤油、砂糖、 塩、胡椒、ニンニクなどを混ぜ合わせたタレを三層肉 (sam-chân-bah=豚ばら肉) にたっぷりと塗り、2、3 日寝かせた後に番薯粉 (han-chî-hún=サツマイモの粉)をかけて、油で揚げた惣菜です。店によっては紅糟燒肉 (âng-chau-sio-bah) や紅糟肉 (âng-chau-bah) または燒肉 (sio-bah) とも呼ばれています。 食用色素を多く使ったものは肉の衣の色がかなり赤い色をしていて、見た目にインパクトがあります。

紅燒肉 (âng-sio-bah)

 香菇肉糜 (hiun-koo-bah-môe) というのは椎茸と豚肉の入ったお粥。 細かい具の入った塩味のお粥は一般的に鹹糜 (kiâm-môe) と呼ばれますが、肉糜 (bah-môe) は鹹糜 (kiâm-môe) の一種です。鹹糜 (kiâm-môe) の一種には他にタロイモの入りのお粥、芋仔糜 (ōo-á-môe) があります。

肉糜 (bah-môe)

 家庭では前の晩に食べ残ったおかずを次の日の朝や昼に細かく切って鹹糜 (kiâm-môe) にすることがよくあります。

鹹糜 (kiâm-môe)
鹹糜 (kiâm-môe)
芋仔糜 (ōo-á-môe)
芋仔糜 (ōo-á-môe)
芋仔糜 (ōo-á-môe)
清糜 (chheng-môe=白粥 : しろがゆ)と角豆 (kak-tāu=オクラ)、 麵麶 (mī-thi:ミィティ=グルテン食品)など。台湾では白粥と一緒に食べるグルテン食品の種類も豊富だ。

 台湾には秫米 (chu't-bí =糯米 / もち米 ) と龍眼干(lêng-kéng-koan =干し龍眼)や紅棗(âng-chó =ナツメ)、砂糖で作る甘いお粥、米糕糜 (bí-ko-môe) というものもあります。

甘いお粥、米糕糜 (bí-ko-môe)

 肉糜(bah-môe)を売る店では牡蠣やエビなどのフライを一緒に売る場合も多いです。

肉糜(bah-môe)と蚵仔酥(ô-á-soo=カキフライ)
肉糜(肉粥:bah-môe)を売る屋台

 上記写真の屋台でも雞捲 (ke-kńg : ケェクン ) を売っていました。雞捲は雞という字が名称に使われますが、鶏肉は使われていません。肉が使われるとしたら豚肉です。肉が入っていない物も多いです。雞捲は網紗 (bāng-se) =網脂 ( あみあぶら:豚の内臓周りについている網状の脂) または湯葉で豚肉や玉ねぎ、クワイ (馬薺 : bé-chî) を包み巻いて、揚げた惣菜です。 南部では繭仔(kián-á)や肉繭仔(bah-kián-á)と呼ばれ、台北市内でも店によっては五香肉捲 (ngóo-hiang-bah-kńg)という名称になっていることもあります。五香 (ngóo-hiang)と呼ばれる八角(スターアニス)、丁香(クローブ)、肉桂(シナモン)、花椒(中国山椒)、小茴香(フェネル)などをミックスした香辛料が使われることから、五香の名称が付きます。この惣菜に類似したものは中国の福建省南部や広東省東部、東南アジアのシンガポールやマレーシアなどにも存在します。中国では「五香」「肉卷」「雞卷」「肉卷」「卷煎」などの名称が使われ、シンガポールやマレーシアでは「Loh Bak」と呼ばれているそうです。

雞捲 (ke-kńg : ケェクン)

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