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週末に肉を焼く

高けりゃ旨いに決まっているし、高くて不味けりゃ腹がたつ。
でも、安くて旨いなら、言うことなしだ。
自宅で焼くステーキの話である。

奮発して黒毛和牛など買って焼いても、自分で焼くとそれなりにしかならないし、失敗すればもう残念でならない。はたまた、安い輸入肉を焼けば、想像どおりにがっかり仕上がり。ただ、肉に塩胡椒して焼くだけなのに、ステーキって、なんて激ムズな料理なんだろう。
テレビで、「ひと工夫でお手頃輸入肉が、あなたでも、美味しくジューシーに焼きあがります!」なんてやっていても、そのひと工夫が面倒である。

それが先日、ある本に書いてあったやり方で、半信半疑ながらもやってみたら、なんと!お手頃ビーフが柔らかジューシーに仕上がり、本当に嬉しかった。それも、普通に塩胡椒して、普通にフライパンで焼いただけ。何かに漬け込むとか面倒で、私には無理なんだ。

そのやり方は以下のとおりだ。

まず、肉の表面に塩胡椒をする。フライパンにはオリーブオイルを入れ中火でよく熱する。香りが出てきたら肉を入れる、中火キープで、そのままじっと焼いておく。触らない。動かさない。側面が7〜8割白くなってきたら焼き色をチェックする。全体に均一にいい感じになっていたらひっくり返す。肉に金ぐしを刺し、唇で温度を確かめる。いい湯加減くらいだったらOK。ここにバターを加える。バターが溶けたら火を止める。溶けたバターを肉の表面にかけながら2分待つ。

1.5㎝厚程度の肉だと、片面を7〜8割焼いて、あとは余熱で火を通すのがいいらしい。
今までにない柔らかジューシーなステーキをカットして、さらに黒胡椒もたっぷり挽いて、シャキシャキ生野菜サラダにのっけてもりもり食べた。非常に美味しく、至福の時間だった。

なんでも、肉のタンパク質は、50〜60℃で凝固が始まるのでそれ以上にならないように焼けば柔らかさがキープでき、肉汁も滲み出さないらしいのだ。この片面を焼いて、残りは余熱でというやり方がそれを実現しているみたいだ。また、よく温めたフライパンで焼き始めるので、均一にメイラード反応が起き旨味を閉じこめるのに効果があった。さらに香ばしさが加わった。また、温度の上がりやすいオリーブオイルで焼き始め、最後にバターで風味づけするのも理に適っている。ついでに言うと、塩をふることで溶け出すタンパク質が表面をコーティングするので保水性がアップし、加熱によって肉汁が外に逃げ出すのを抑えてくれるらしい。だから塩は、細かいものを使う方がいいらしい。

ちょっとのコツで、こんなに上手く焼けてしまって嬉しいので、次は5㎝厚ステーキにトライしてみる。

参考にした本
朝日新聞出版:編『ー食材事典シリーズー調理科学×肉の事典 』、朝日新聞出版、2019/4/19

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