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白杯|アポロ賞六句(第一位)犬柴

流れ星君にもたれてストローを咬む

犬柴

月が輝きはじめたら、恋人を誘って
川べりのレストランへ行こうと思う。
魚か卵料理を食べたあと、
ミラーボールとEPレコードと、
フロアまでも回転する
ディスコで踊りあかそう。
スパンコールを蹴ちらして、
すべてを忘れて。

☆第一回みんなの俳句大会銀賞受賞
(サンドレスの君逆光の由比ヶ浜)

◎講評

流れ星君にもたれてストローを咬む

人気季語「流れ星」
この美しく儚い夜空のイメージを、独自の文學世界と繋げている。
若々しい感性と技巧のバランスが絶妙。

ロマンスは全人類にとって大テーマである。
今日までどれほど多く恋の句が生まれては消えていったか、想像を絶する。
「流れ星君に」ここまでが類想膨大だろう。

次に続く詩が、犬柴俳句の挑戦となる。
「もたれてストローを咬む」こう来た。
徹底して冷静な主観だ。想像でこれを書ける(詠める)作家が現代に何人いるだろう。

「君にもたれて」は安心や共依存の暗示か。
「ストローを咬む」は退屈や不満の暗示か。
恋愛の倦怠期とはこのようなものだったかもしれない。冒頭「流れ星」はかすかな希望。

ストローを咬むの「を」は、無くしても通じるかもしれない。しかしこの一字を消すと句全体の時間的印象が変わってしまうし、余韻を残すためにも原句のままが良い。

下五字余りの技法を学ぶ教材としても良句だが、それより評価されたいのはやはり説明や解説の要らない、全体の詩感だ。
良いものは良い。それ以上の言葉が出ない。

作者のみずみずしい魂の宿った一句を、また読みたいと思う。
読者諸氏の盛大な拍手を乞う。
審査員特選、アポロ賞の第一位である。

アポロ賞の副賞として、一枚の絵画を描かせていただいた。ストローは描けなかった(笑)

出会えて良かった!ありがとう🏆✨

ラブあんどピース🙌

アポロ

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