お母さんが神様だった頃。
自分が小さい頃、母親が完璧で神様のような存在に見えたのは僕だけだろうか。
僕だけなら、ぼくのことをピュアな人間だと感じて聞き流してほしい。
ご飯の食べ方を教わって、お風呂に入れてもらって、買い物に連れて行ってもらったり、習い事に送りに行ってくれたり。
学校の宿題を見てもらって、時々怒られて、おもちゃや洋服を買ってもらって時々お父さんも登場したり、家族みんなで遊園地に行ったり。
毎日毎日、色んなことを教えてもらって、喜怒哀楽、沢山の感情が湧き出て
また新しいことを知ってワクワクしていた日々。
自分の世界がお母さんからふってきているような感じ。
ぼくの経験するあらゆる体験が、母がプレゼントしてくれてたものだったのかもしれない。
ぼくたちが、少し大きくなると母が神様でないと気づく。
ぼくたち自身が世界に飛び込んでいく。母は手助けをするくらいになって、背中を押すくらいになって、母の手から離れてどんどん自分で進んでいく。
時には母が正しくなかったことにも気づく。
自分の考えをもつ。自分なりの正解を出すようになる。
でも、その正解が未熟だったりもする。自分の若さからでる勢いだったりもする。
色んな人に沢山出会って、よく社会を見渡すと答えは一つではないことにも気づく。答えがないときもある。
もっと進んでいくと、自分の家族や子供ができて、答えが分からなくても
何らかの答えを探さないといけないこともある。
小さい頃に母から沢山のものをもらってきたように、
今度はぼくたちが沢山のものを与えるようになる。
沢山もらったから、自分も沢山あげることができる。
そのうちに、正しいかどうかはどうでもよくなる。
自分の為に、与えてくれていたこと自体が尊くて、ありがたく感じる。
たとえ神様ではなくても、自分にとって唯一無二の存在だと思うのかもしれない。
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