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学級経営における人間関係づくり

学習効果を上げるには、子ども達の情緒の安定が大前提です。それには、学級経営の中の集団づくりと人間関係づくりが欠かせません。こうした人間関係を築く方法はいろいろありますが、ここでは、トマト・ゴードンの提唱する「親業訓練」を紹介します。下記の報告文は、安全教育の研修会で話された内容を簡便にまとめたものです。

ア 行動の四角形

私たちは 、 みんな1人ずつ心の窓を持っており、 この窓を通して、 相手の言動を見たり聞いたりして、 嫌だと感じたり、 別に気にならなかったり、 いいなと感じたりしている。 これを行動の四角形(四角形の中に一本線を入れる。これを受容線と呼び、この線が常に上下している)として整理してみると、 私たちが、如何にこの心の窓を通して、 相手を見 、自分の気持ちが揺れ動いている状態で人に接しているかが分かる。

イ 能動的な聞き方(親業訓練講座の第1の柱)

子供がパニック(問題を持っている)のとき、私たちは、12通りの対応(命令・指示・注意・脅迫等)をしがちであるが、それは効果的ではない。 教えること自体は大事であるが、 子供がパニックの時にせっせというのは、 子供をますますパニック状態にし、 大事なことが聞けないという状況に追い込んでしまう。 大事なことが聞けるようにするためには、 まず子供のモヤモヤした困った状態をなくしてあげることが先決である。 そのためには、 積極的に子供の気持ちがわかったということを言葉にして伝えるという能動的な聞き方(聞き方には、受動的な聞き方と能動的な聞き方がある。前者は、相手が言ったことをそのまま返すオウム型の聞き方、後者は相手の伝えたいことを推し量り、言い換えて返す聞き方)が必要である。 子供たちは、 自分の気持ちがわかってもらえたら、 私たちが考えている以上に自分で考える力を発揮して自分で決めていくことができる。

元来、その問題を解決するために、考えたり、努力したり、解決策を決めたりするのは、問題を所有している子供自身であって、親や教師ではないのである。

ウ 私メッセージ(親業訓練講座の第2の柱)

私自身が問題を持っている時、カウンセリングマインドができにくくなる。こういう状態のときは、無理にカウンセリングマインドを行おうとしないで、子供の行動を一つずつ具体的に見ながら、私がそれをどう感じているかを、「わたし」を主語にして、3部構成(行動・感情・具体的な影響)で伝えていくことが必要である。しかし、その行動を変えるかどうかは、相手の判断次第である。ここでは、緊急時を除いて 、あくまでも相手を信頼し、相手に判断させることが常に求められている。

エ 第3法:勝負なし法(親業訓練 講座の第3の柱)

イとウの方法がうまくいくと、「問題なし領域」が増え、親子関係あるいは師弟関係を壊すことなく、こちらの望む行動を子供自身が変えていくように持っていくことができる。それでも、子供の行動が変わらない時は、「親(教師)が勝って子供が負ける」あるいは「子供が勝って、親(教師)が負ける」といった解決策ではなく、「誰も負けない」方法、つまり、共に解決策を出し合い、評価し合って決めることが必要である 。これが親業訓練講座の第3の柱、「第3法:勝負なし法」である。

もっと詳しく知りたい方は、小学館出版の「親業訓練」をお読みください。

(See you)

                    追記 

『親業』の知識を修得しても実践出来なければそれは絵に描いた餅です。だから訓練(トレーニング)が必要なのです。私は近藤千恵先生による最後の30時間に及ぶ一般講座を受講する栄誉にあずかることが出来ました。

追記日時 2022/04/29 16:06