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『ちむどんどん』第52回 わきまえない女たち

 アッラ・フォンターナで着々と実力を伸ばす暢子です。とはいえ、入院中の二ツ橋の代理としてシェフ代行は反発されてしまいます。

女のくせに!

 賢秀が「謝るな、下手に出るな、喧嘩上等でいけ!」とアドバイスした結果、暢子はオラオラ系リーダーになりました。その結果、矢作はじめ皆が反発する。もうちょっと言い方があればいいのに。そして出てくる本音。
 女のくせに!
 そういうジェンダーの差別意識が根底にあると顕になるのでした。

石川家の見下し感と、優子の優しさ

 そして良子は、本家長男の嫁という立場にがんじがらめにされました。石川家は本土から移住してきたぽい。男尊女卑があるし、沖縄の人を見下すようなニュアンスがありそう。
 家長がどーんと座り、命令する和室の場面。あまりに下手といえばそうなんだけども、わかりやすくてよいとは思った。そして石川家の意向を受け、周りまで良子を嗜めにかかる。
 ここで優子がキッパリと、良子は悪くないと言い切るところがよかった。優子は賢秀だけに甘いのではなくて、どの子にも優しいのです。優子は優しい。名前通りの素敵な人だ。

ポークと卵

 作りが堅実な本作は、水曜日にタイトルの料理を出してきました。ポークと卵。ポークを無意識のうちに男に多く分けてしまうこと。それを先進的でありながら女性がしてしまうこと。
 暢子が「女だけど私秦べる!」と言い張る。

 これは土井たか子の発言を踏まえると実に感慨深い。生活保護費はカロリーを踏まえて、女性の方が二割ほど低い時代がありました。それに土井さんが「私は大食らいです!」と問題提起して変わったんですね。
 暢子にはそういう下から持ち上げるフェミニズムがある。

 朝ドラって、フェミニストがヒロインであることが多くなければならない。『花子とアン』の村岡花子にせよ、『あさが来た』の広岡浅子にせよ、『とと姉ちゃん』の大橋鎭子にせよ、バリバリのフェミニストの系譜に立つ女性です。それがドラマではほんわかされてしまった。このうち『とと姉ちゃん』は、パンツスタイルで動き回り、まずスカートを履かなかったモデルに反し、メインビジュアルまでスカートということで、モデル会社が抗議したほど。他にもモデル関係者が不愉快に思った朝ドラはあるのですが(ここでタイトルを上げたものにもあります)、なかなか表に出ないようでして。

 それにこうした女性はアカデミック、高学歴という点が共通しています。そこで低学歴、草の根フェミニズムまで、やっとまっとうな朝ドラは意識して到達するようになった。
 ただ、そういう朝ドラって、なんか知らんけど「ヒロインが生意気!」と叩かれやすいんだよなあ。

朝ドラ批判が暴く差別の構造

 昨日も突っ込んだけど、朝ドラヒロインが嫌われる法則って、以下の条件がある。

・大企業関係者ではない
・低学歴、大学を出ていない
・フェミニストとしての主張をする

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